僕は妻と娘をかわいいと思う【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0120】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ペチュニアフォールを知る二十の名所/津村記久子 △
旅行代理店の担当者が、おすすめの旅先として語るペチュニアフォール。実在する土地なのか、しないのかは定かではないが、場所ごとにエピソードが語られるので、何ともストーリーが有機的に立ち上がってこない。これは先の「十二面体関係」と同様。あちらよりは読みやすかったが、読み進める気持ちが出づらかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】君はかわいいと/安水稔和 △
二度ほど読んだ。何となくは理解できるが、作者の意図はストンと腹に落ちない。なぜ「かわいい」という言葉が、君とぼくの間をゆききしたがらないのだろうか。ぼくが、君のことをかわいいと思っているのなら、素直にその言葉で表現すれがヨイのではないか。

【論考】メタ・ノート/外山滋比古 ○
前回の通り、自分の頭に浮かんだことを、手帖やノートに書き留める。そうして寝さしたものを、また別ノートに移すのをメタ・ノートと呼ぶそうだ。ただ、個人的にはメタというより、選抜と言った方が正しく感じる。最近の膨大なデジタルデー夕を考えると、きちんと選別して、紙に集約した方が扱いやすいかもしれない。


李賀【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#094】


【4月3日】李賀:791~817

長安に男児有り
二十にして 心已に朽ちたり
楞伽 案前に堆く
楚辞 肘後に繋かる
人生 窮拙有り
日暮 聊か酒を飲む
祇だ今 道已に塞がる
何ぞ必ずしも白首を須たん

長安の一人の男。
二十にして心はすでに朽ちた。
楞伽経を机の前に積み上げ、
楚辞を手元に置く。
人生、行き詰まることがあり、
日暮れてまずは酒でもあおる。
今この時、道はもう先がない。
白髪になる時を待つこともないのだ。(「陳商に贈る」)

『新編 中国名詩選』(下)川合康三訳、岩波文庫、2015年

【アタクシ的メモ】
20歳で心が朽ちるというのが、なかなか想像できなかったが、李賀本人のことを詠ったようだ。若くして天才と呼ばれ、能力も高かったが、科挙の受験を拒まれ出世の道を断たれ、失意のまま27歳で亡くなったという。


「人生には正解がない」【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0119】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】いまニ十歳の貴女たちへ/白石一文 △
「人生には正解がない」と語る小説というよりは、スピーチのような文章。語っている主体は誰なのか全く分からない。筆者本人なのか、神のような超越者なのか、定かではないのだ。主語を明確にしないまま、不倫は悪とは言えないと明言されても、読み手としては偏った意見にしか感じられないのではないか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】嫁こ/斎藤庸一 △
こんなお嫁めさんが欲しいといったことを、ある意味、真正直に語っているのだろう。私自身も若いころ、まだ結婚を真剣に考えていないくらいの年齢の時に、理想の相手を夢見たかもしれない。ただ、既に結婚もし、令和の時代に読む女性差別的な印象を感じてしまうのだった。

【論考】手帖とノート/外山滋比古 ○
考えが浮かんだら、寝させておくために、手帖ノートに記録しておくべきだという。単にメモするのでなく、データ・ベースに貯めるようして、ちゃんて整理、管理する方法を示している、これで書かれたころは、一定の効果があったと思われるが、スマホ時代にある現在だと、手法としては、すべて塗り替えられてしまったように感じる。


アンデルセン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#093】


【4月2日】アンデルセン:1805.4.2~1875.8.4

そのとき、貧しい家の子供たちのうちでいちばん下の子がはいってきました。それは小さい女の子でした。その子は兄さんと姉さんの首にかじりつきました。なにかとても大事なことを話しにきたのです。でもそれは、ないしょで言わなければならないことでした。「あたしたち、今夜ね――なんだと思う?――あたしたち、今夜ね。あたたかいジャガイモがたべられるのよ!」
そして女の子の顔は幸福に光りかがやきました。ろうそくがその顔をまともに照らしました。(「ろうそく」)

『完訳 アンデルセン童話集』(7)、大畑末吉訳、岩波文庫、1984年

【アタクシ的メモ】
あたたかいジャガイモを食べられことが、幸せにつながるというのが、今の日本と状況が違いすぎる。私自身も過去に、多少食べ物に困ったこともあったが、そんなのたかが知れているので、食事ができることの有難さが、身に染みていないかもしれない。


理性や言葉に性別は関係しない【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0118】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】マダガスカル、バナナフランベを20本/桐野夏生 ○
ヨイ意味で癖がなく、読みやすい文章だというのが第一印象。ストーリーも別れ話を切り出そうとする女性が、何だか別の方向に行ってしまうという感じが、日常感もあり面白かった。とは言え、歌が下手な人が、ステージで歌い続けるなど、納得しづらいンテューシュもあり、後半は少し興が削がれた。

【詩・俳句・短歌・歌詞】海鳴り/高良留美子 ○
女性性について詠んだ詩なのだろうか。自分は男性なこともあり、比喩的な表現を含めて、内容があまり理解できていないように思う。理性や言葉は性別に関係ないと考えているので、女性らしさの詩であっても、性別を問わない表現にしてもらえるとよかったのにと感じた。

【論考】つんどく法/外山滋比古 ○
つんどく法とは、自分が調べたいテーマに関する書籍を片っ端しから集め、メモも取らず次々と読んでいく方法だという。前回は、メモを取ることを前提にしていたが、この方法では自分の記憶力を信じて、とにかくインプットを増やすようだ。自分はメモがやや苦手なので、無意識につんどく法をやってきた感じである。


チェ・ゲバラ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#092】


【4月1日】チェ・ゲバラ:1928.6.14~1967.10.9

僕はこの地に、僕を息子のように受け入れてくれた国民を残し、僕はこの地に、僕自身の一部を残して行く。僕は、新しい戦場に、君が僕に吹き込んでくれた信念と、わが国民の革命魂と、もっとも神聖な革命家としての義務を果たすための良心をたずさえて出かける。帝国主義のあるところ、いたるところで戦う。それが僕の決意を固め、僕の苦痛を柔らげよう。(「フィデル・カストロ宛書簡、1965年4月1日」

『ゲバラ 革命の回想』真木嘉徳訳、筑摩書房、1971年

【アタクシ的メモ】
革命魂がチェ・ゲバラの原動力であり、行為することが意志を強め、ある意味でストレス解消にもつながるのだろう。


山も空も青く見える【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0117】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】20光年先の神様/木皿泉 ○
学生時代の不合理で、微妙な人間関係の描き方は、とても上手くいっていたと思う。そこから、友人に死んでほしいと真剣に願う様子も、説得力があった。ただ、最後にほとんど言葉を交わさず和解できるのは、ちょっとご都合主義な印象がある。時を経て変化があったからといって、そんなに簡単に許せないと思うからだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】遠景/木山捷平 ○
たとえば、ここから見える景色は、一通りであろうが、人によって見え方は異なるのだろう。遠くの山と空を見ていても、青ばかりが目に入ってくる人があるかもしれない。受容体としての人間の違いを表現した詩なのだろうか。いずれにせよ、「正しい認知」が存在しないことを理解しなければならない。

【論考】カード・ノート/外山滋比古 △
知的創造性のために、カードやノートをいかに使うべきかを述べている。冒頭に百科辞典なども出てくるので、流石に古い手法だとは思う。現在だと、スマホやデジタル活用の話も加わると思うが、あまりにプラットフォームやツールが増えすぎて、無秩序になっているのが実情ではないだろうか。


ニュートン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#091】


【3月30日】ニュートン:1642.12.25~1727.3.31

世間の人びとの目に私という人間がどう映るかはわからない。しかし、私自身には、目の前に真理の大海が未知のまま広がっているというのに、私ときたらただ浜辺で遊び戯れ、時おり普通のものよりも滑らかな小石やきれいな貝殻を見つけては喜ぶ子供のようなものだった、としか思えない。

ブルースター『ニュートン伝』1855年(『バートレット引用句辞典』所収、編者訳出

【アタクシ的メモ】
無垢なる知的欲求が、ニュートンの原動力になっていたのだろうか。万有引力の発見は偉大な業績と思うものの、すごすぎて天才の嫌味に聞こえなくもない。


自分とは違う感性に触れる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0116】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】20/川上弘美 ◎
小学3~4年生くらいの主人公で、視点や思考が年齢に合っているのが、地味な点ではあるものの好印象だった。未成年なのに考えがやけに大人びている小説もよくあり、それは書き手都合だし、リアリティーがなく、作為を感じてしまう。内容自体も、幼いながらも、自分とは違う感性に触れられて、新鮮だったし、心地よかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】単純な朝餐/山村暮鳥 ○
パッと読むと、ちょっとアジテーションぱい感じもするが、家族との朝食に感謝したり、喜びを感じたりする、清らかな詩である。もしかすると、ここに、親の優しさや自然に対して感じる有り難さを盛り込めたら、もう少し立体的な感触が増したのではないか。

【論考】スクラップ/外山滋比古 ○
新聞などの切り抜きを、どのように扱えばヨイのかという話。紙が前提になっているので、単純に考えると、今だとやや古い内容になるが、メディアの特性を考慮しながら、管理の方法を検討するという点では、普通的だとも言える。ただ現在は、情報やプラットフォームが多すぎて、管理していな人が大半かもしれない。


ヴェルレーヌ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#090】


【3月30日】ヴェルレーヌ:1844.3.30~1896.1.8

秋の日の
ヸヴィオロンの
ためいきの
身にしみて
ひたぶるに
うら悲し。

鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。

げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。(「落葉」)

上田敏『海潮音』(『上田敏全訳詩集』山内義雄他編、岩波文庫、1962年より

【アタクシ的メモ】
ネットで調べてみると、訳者が音数を意識しながら翻訳していると評価しているものがあった。確かに、とても悲しい詩であるが、リズミカルである。