島崎藤村【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#085】


【3月25日】島崎藤村:1872.2.17~1943.8.22

愛憎の念を壮んにしたい。愛することも足りなかった。憎むことも足りなかった。頑執し盲排することは湧き上がって来るような壮んな愛憎の念からではない。あまり物事に淡泊では、生活の豊富に成り得ようがない。
長く航海を続けて陸地に恋い焦がれるものは、往々にして土を接吻するという。そこまで愛憎の念を持って行きたい。(「愛憎の念」)

『藤村随筆集』十川信介編、岩波文庫、1989年

【アタクシ的メモ】
それが正しいのか、正しくないのか置いておいて、極点に到達することが愛憎の念なのだろうか。愛憎の念があれば、自然に死と向き合えるということであろうか。