岡本太郎【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#007】


【1月7日】岡本太郎:1911.2.26~1996.1.7

いつも読書しながら、一種の絶望感をおぼえる。確かに面白い。対決もある。だが目と頭だけの格闘はやはり空しい。人生はまたたく間もないほど短いのである。ハイデッガー、ヤスパース、サルトルにしても、実存を説きながら、なんであのようにながながと証明しなければならないのか。その間に絶対の時間が失われてしまう。サルトルに言ったことがある。「あなたの説には共感するが、あのびっしりと息もつまるほど組み込まれた活字のボリューム。あれを読んでいる間、いったい人は実存しているだろうか。」彼は奇妙な顔をして私を見かえした。
私はいま生きているこの瞬間、全空間に向かって、八方に精神と肉体を飛び散らしたい。(「思想とアクション」)

『エッセイの贈り物』2、岩波書店、1999年

【アタクシ的メモ】
岡本太郎らしい言葉。目と頭だけの格闘ではなく、精神と肉体を飛び散らす――。こんな発言を聞くだけで、パワーとワクワク感をもらえるから不思議である。