月と浜べとボタン【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0041】


【短編小説】愛用の時計/星新一
ある意味では、アニミズム的なストーリー。表現がさらっとしたせいか、話の筋をつかむのに、少し苦労した。結論だけ見ると、そんなこともあるのかなというフィクションではあるが、少し夢がある感じが気持ちを幾分前向きにさせる。ただ2020年代っぱくはないとも思う。

【詩・俳句・短歌・歌詞】月夜の浜べ/中原中也
月が出る浜べでボタンを拾ったが、それを投げ捨てられなかったという詩。事象としては単純だが、作者の心持ちやなぜ詩として表現されたのかは、想像するしかない。私の解釈では、ボタンは中也自身であり、月や波は世間や社会をイメージしているのではないだろうか。捨てないという判断をしても、それは力を生み出すわけではないけれど。

【論考】渡世について/森本哲郎
一読、二読して思ったのは、ちょっと分かりづらいなぁということ。結局は、日本人の生き方がアンビヴァレンツ(両価的)であり、自由であると言いたかったのか。それ自体には異論はないが、何だかかえって分かりづらく説明されているように感じた。また、エコノミック・アニマルという言葉については、隔世の感がある。