まもなく死神と出会うだろう【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0075】


【短編小説】ここから世界が始まる/トルーマンカポーティ ◎
学校という目の前の現実を受け入れられず、空想に耽溺する少女の物語のようだ。もしかすると、同年代の当時者として、カポーティは書いたのかもしれない。最後の一文が「まもなく死神と出会うだろう」となっているので、ハッピーエンドではなく、バッドエンドを想像させる。学校という最初に出会う社会に居場所が見つけられないと、良くも悪くも人は本当に生きづらくなってしまう。

【詩・俳句・短歌・歌詞】六月/茨木のり子 ○
すっかり解釈できた感じはしないものの、ポジティブな詩だと思うので、読後感はよいものであった。ただ、なぜタイトルが「六月」なのか、「黒麦酒」に意味はあるのか、など分からないままである。作者の茨木のり子さんの詩も、ある程度読んできたせいか、親しみも感じている。

【論考】「世界」という書物について/森本哲郎 △
タイトルにある「世界という書物」、あるいは「書物としての世界」の話が後半になるまで出てこないので、ちょっと戸惑ってしまった。また、この論考の本題が語られるのも最後だけなため、やや拙速な感じがあり、説得力が十分ではないと思った。哲学のとらえ方も、論考ごとに違っている印象だ。