地虫が鳴き始めていた【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0189】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ハナレイ・ベイ/村上春樹 ○
若くしてサメに命を奪われたサーファーの母親の物語。事故があった場所に10年以上通うものの、母親には息子の姿は見えず、サーフインをしに来た別の若者たちには見えたという。なぜ息子は、母の前に立とうとしないのか。その謎は解かれぬままで終わる。この小説は、映画にもなっているようだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】地虫出て/上野章子 大岡信 ○
「地虫」というと、中上健次の『岬』を思い出してしまう。かの小説は「地虫が鳴き始めていた」で始まる。この五七五の地虫は、目の前に出てきて、土につまずいただけのようだ。大岡信さんは、語り口を天真関漫と評している。正直、大した描写ではないが、素直に語ることで趣きが感じられるから不思議である。

【論考】「コンビニエントな人生」を哲学する/池田晶子 ○
「足るを知る」。一言で言えば、そういうことだ。便利を求めすぎると、自己の功利ばかりが目的になってゆき、なぜ人は生きるのか、人生とは何かを考えなくなってしまうだろう。生活の利便性が、生きる目的になってしまいかねないからだ。足るを知り、あるがままを受け入れることが肝要なのだ。