箸はおびただしい機能をもっていて【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0142】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】終電過ぎのシンデレラ/新庄耕 ○
きちんと書かれた小説だと思う半面、情景が上手くイメージできず、何だか苦労して読んだ感じがある。全体を通じて、少しずつ設明が足りないのではないか。タイトルである終電後、駅に現れる女性も、シンデレラというあだ名と、ちょっとした行動のくせしか情報がないため、読み手としても人物像が想像できなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】まんきい/金子光晴 ○
父親が娘に対して、その心情を詠んだ詩である。自分にも娘がいるから、もちろん気持ちはわかるが、もう少し冷静になった方がよかったのではないか。我が娘である『若葉』が大切なのも理解できる。それでも、特定の人物だけに語りかけていると、読み手との共通点を手放してしまうように思った。

【論考】箸/ロラン・バルト ○
今回は箸について。冒頭のバンコクとの対比は、やや意味不明であった。箸には様々な機能があると筆者は語る。それは、指示する機能、つまむ機能、くずす機能、運ぶ機能だという。おびただしい機能という表現もあったが、確かにフォークやナイフと比べると多機能ではあると思う。


与謝蕪村【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#116】


【4月25日】与謝蕪村:1716~1783.12.25

青楼の御意見承知いたし候。御尤もの一書、御句にて小糸が情も今日限に候。よしなき風流、老の面目をうしなひ申候。禁すべし。さりながらもとめ得たる句、御披判可被下候。
  妹がかきね三線草の花さきぬ
これ、泥に入て玉を拾ふたる心地に候。此ほどの机上のたのしびぐさに候。(弟子道立書簡、天明3年4月25日)

大谷晃一『与謝蕪村』河出書房新社、1996年より

【アタクシ的メモ】
検索などでも調べ、何度も読んで、色々と読解を試みたが、全文の意味はわからないままであった。それでも、引用の箇所は、どうやら小糸という若い女性に蕪村が熱を上げていて、別れることに決めたときの書簡のようだ。やれやれ。


死は悲しみではなく、摂理【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0141】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】通話時間 4時間49分3秒/島本理生 ○
お洒落な文体。ただ、私自身は好きではない。人の息使いのようなものが、まり伝わってこないからだ。小説の内容は、ふとしたきっかけでかかってきた電話で、気づけば5時間近く話し込んでしまったというもの。コロナによって、人とのつながりが疎遠になっている状態を前提としているようだ。個人的には、電話代は大丈夫なのかと思ってしまった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】父に/江國香織  ◎
言葉や文章を飾り気はないものの、胸に迫るものがあった。詩というよりも、何か人が思わずつぶやいたことを、無心に書きとめた感じでもある。人は永遠に生きつづけられない。父や母も死ぬが、いつか私も死に、そのまた先では、子どもたちも死を迎えるだろう。それは悲しみではなく、摂理なのだ。

【論考】水と破片/ロラン・バルト △
タイトルは水と破片だが、日本料理について述べられている。「食膳は一幅の絵に似ている」と「《筆致》という肉体と開係する性質」が、日本料料理の特質だという。そうは言われても、難解な表現なので、頭の中で具体的なイメージは浮かばない。その他の部分も、いつも通り、いくら読んでも理解が進まなかった。


ボルヘス【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#115】


【4月24日】ボルヘス:1899.8.24~1986.6.14

大乗仏教の哲人たちは、宇宙の本質は空であると説いている。同じ宇宙の一小部分であるこの本に関する限り、彼らの言うところはまったく正しい。絞首台や海賊たちがこの本をにぎわわしており、標題の「汚辱」という言葉は大仰だが、無意味な空騒ぎの背後には何もない。すべて見せかけに過ぎず、影絵に等しいのである。だがほかならぬその理由が、面白さを保証するだろう。(「汚辱の世界史」1954年版、序)

『砂の本』篠田一士訳、集英社文庫、1995年

【アタクシ的メモ】
「無意味な空騒ぎの背後には何もない。すべて見せかけに過ぎず、影絵に等しいのである」というのは、この宇宙についてなのか、汚辱についてなのか。


「日本は北朝鮮より怖い」の真意【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0140】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】しおかぜ/櫻木みわ ○
最初の読み始めは、ほとんど集中できず、文章も頭に入ってこなかった。だが、特定失踪者問題調査会のラジオ放送「しおかぜ」についての小説だと分かると、俄然、注意力が高まった。そして、失踪者の家族が語る「日本は北朝鮮より怖いんじゃないか」という発言を聞くに至り、無作為の日本が目の前に立ち現れてきて、急に恐ろしい気持ちになるのだった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】幻の花/石垣りん ○
作者の真意まで読み解けた感じはないものの、人が人生を重ねる中で、経験や記憶が積み上がり、一つの事象であっても複層的に見えることを詠んだ詩ではないかと思った。でも、まぼろしの花の意味や、なぜ今年の花を連れ去るのか、私は何の手に引かれているのかなどは、不明なままであった。

【論考】沈黙の言語/ロラン・バルト △
まだ始まったばかりだが、相変わらず理解できないまま読んでいる。この物言い(翻訳?)にも、いつか慣れるのではないかと思ってのことだ。今回は、日本語は非言語的なコシュニケーションの領域が広いということのようだ。一方、西洋ではコシュニケーションは言語(のみ)で行われるという。この辺りは、よく言われてきたことなので、新発見ではないだろう。


シェークスピア【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#114】


【4月23日】シェークスピア:1564.4.23~1616.4.23

明日、また明日、また明日と、小刻みに一日一日が過ぎ去っていき、
定められた時の最後の一行にたどりつく。
きのうという日々はいつも馬鹿者どもに、
塵泥の死への道を照らして来ただけだ。
消えろ、消えろ、束の間のともし火!
人生はただ影法師の歩みだ。
哀れな役者が短い持ち時間を舞台の上で派手に動いて声を張り上げて、
あとは誰ひとり知る者もない。

『マクベス』木下順二訳、岩波文庫、1997年

【アタクシ的メモ】
「人生はただ影法師の歩みだ」という言葉が強烈。これがシェークスピアの人生観ではないだろうが、生きることを非常に矮小に見ている。


日本語は非論理的って本当だろうか?【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0139】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】おとぎ輪廻/木下昌輝 △
昔話、おとぎ話の登場人物が、オールスター戦のように、この短編小説の中に数々現れては、一つの物語をつないでいる格好だ。ただ、読んで感じたのは、「だから何?」ということだ。自分たちの知っているキャうクターが現れ、特別な能力を示しただけでは、ストーリーは生まれないのではないか。かえって、物語構築の離しさに気づかされた感じだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】時代おくれ/茨木のり子 ○
最新のツールやデバイスを使っているからといって、優れているわけでもないし、ましてや幸福になれるわけではない。作者が言うように、時代おくれを自認しながら生きるのも、それは一つの考え方だと思う。例えば、最近の子どもたちは、小学生くらいでスマートフォンを使うが、それで賢くなっているわけでもないし、成長が促されるわけでもないと思う。

【論考】見知らぬ言葉/ロラン・バルト ○
またしても、全文を理解できぬままの読みで終わってしまった。日本語は、西洋の言語とは違い、主語、主体もあいまいで、客体もはっきりしないという。いわゆる西洋語は論理的で、日本語は非論理的、情緒的であるという言説であるうか。しかし、このロラン・バルト自身の文章は、主語と客体(目的語)がはっきりしていないと思うので、言語の間題ではないと思うのだが。


レーニン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#113】


【4月22日】レーニン:1870.4.22~1924.1.21

わたしはこう思うのです。このような奇跡を人間はつくることができるのだと……。……罪のないばかを言って汚らしい地獄に生きながら、このように美しいものをつくることができる人間の頭をなでてやりたくなるのです。でも、今日はだれの頭もなでてやるわけにはゆきません。手を嚙み切られてしまいますからね。逆に、頭をたたいてやらねば、情け容赦なくたたいてやらねばならないのです。われわれは、理想としては人間に対するあらゆる暴圧に反対なのですけれどもね。そうです、この仕事は、おそろしくむずかしいものですよ!(「レーニン」)

ゴーリキー『追憶』(江口朴郎「レーニンと現代の課題」、『レーニン』『世界の名著』52、中央公論社、1966年より)

【アタクシ的メモ】
どの辺りが、英知のことばなのか判然としない。地獄にいながらも美しいものをつくることができるという人間に対する肯定なのか、時に厳しく指導しなければ人間は成長しないという認識なのか。


表徴の帝国【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0138】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】洞ばなし/河﨑秋子 △
もうすぐ7歳になる女の子の話。前回の「泣くのにいちばんいい時間」とは非常に対照的な内容で、女の子が洞に飲み込まれていく、ホラー的なストーリーで、正直後味が悪い。洞とホラ(嘘)をかけているのだろうが、女の子が嘘をつきながら、母親の宝石を盗み出さなければならない理由がわからなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】焚火/北原白秋 ○
最近ではキャンプ以外で、焚火をすることもなくなり、何か火が燃えている状態を見ることもほとんどなくなった。なので、詩を読むと、とても遠いことが書かれた感じがある。何とか昔の思い出を呼び戻しながら読んだものの、今回も作者の真意はつかめなかった。

【論考】かなた/ロラン・バルト ○
原文がそうなのか、翻訳が悪いのか判然としないものの、主旨がつかめなかった。いくつか象徴的な言葉はあるが、全体的に言葉足らずというか、説明不足な感じである。断片的は言葉を、少し勝手につなぎ合わせると、日本は《言語の無化》により、意味が引き裂かれたまま、エクリチュール(表現体)となっているといったところか。


ケインズ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#112】


【4月21日】ケインズ:1883.6.5~1946.4.21

経済学者や政治哲学者の思想は、それらが正しい場合も誤っている場合も、通常考えられている以上に強力である。実際、世界を支配しているのはまずこれ以外のものではない。誰の知的影響も受けていないと信じている実務家でさえ、誰かしら過去の経済学者の奴隷であるのが通例である。虚空の声を聞く権力の座の狂人も、数年前のある学者先生から〔自分に見合った〕狂気を抽き出している。

『雇用、利子および貨幣の一般理論』(下)、間宮陽介訳、岩波文庫、2008年

【アタクシ的メモ】
経済学者や政治哲学者の思想は、過去の何らかの学説から強く影響を受けているため、強力であると言いたいのだろうか。もっと抽象化して言えば、人間が紡いできた知性は、その歴史によって強化され続けるということなのかもしれない。