八歳の活力と同年代に死の影【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0071】


【短編小説】これはジェイミーに/トルーマン・カポーティ ◎
もうすぐ八歳になるテディの物語。その年齢らしい純粋さや快活さにあふれた文体である。それだけでも価値のある作品ではないか。だだ八歳の活力、明るさの背後に、同年代ジェイミーの死を感じさせ、重苦しくはないが、悲しみがにじむ。読み手としては、これまでにないパターンに、してやられた感じだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】奴隷根性の唄/金子光晴  △
2023年現在では、なかなか受け入れられない詩ではないだろうか。焦点は、奴隷根性自体を責めているのか、奴隷根性を持つ「人」を非難しているのか。私には「人」を責めているように読めて、共感できなかった。そうした状況は、環境に由来することもあり、個人だけを問題視できないのではと思った。

【論考】生命の不思議について/森本酒郎  △
「自然は経験を必要としない」という言葉から、生物はそれぞれ世界を持ち、それは「総譜」や「意味の計画」だと説明する。しかし、私には「作曲」や、そもそも「意味」が何を差しているのか、よく分からなかった。特に意味というのは、人が、ある視点から見出すものであり、他の生物にとって、意味はあってもなくても構わないのだと思う。