徳冨蘆花【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#032】


【2月1日】徳冨蘆花:1868.10.25〜1927.9.18

諸君、幸徳君らは時の政府に謀叛人と見做されて殺された。諸君、謀叛を恐れてはならぬ。謀叛人を恐れてはならぬ。新しいものは常に謀叛である。「身を殺して魂を殺す能わざる者を恐るるなかれ」。肉体の死は何でもない。恐るべきは霊魂の死である。人が教えられたる信条のままに執着し、言わせられるるごとく言い、させられるごとくふるまい、型から鋳出した人形のごとく形式的に生活の安を偸んで、一切の自立自信、自化自発を失う時、すなわちこれ霊魂の死である。我らは生きねばならぬ。生きるために謀反しなければならぬ。

『謀叛論 他六篇・日記』中野好夫編、岩波文庫、1976年

【アタクシ的メモ】
「新しいものは常に謀反であり、生きるために謀反しなければならない」という。言葉だけ聞くと決して間違っていないのではあるが、なぜ「謀反」という言葉を使わなければならないのか。「肉体の死は何でもない」と言い切るのも、やや気になる。