レイチェル・カーソン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#105】


【4月14日】レイチェル・カーソン:1907.5.27~1964.4.14

自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。裏庭の餌箱は、からっぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。ぶるぶるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。春がきたが、沈黙の春だった。いつもだったら、コマドリ、スグロマネシヅク、ハト、カケス、ミソサザイの鳴き声で春の夜は明ける。そのほかいろんな鳥の鳴き声がひびきわたる。だが、いまはもの音一つしない。野原、森、沼地――みな黙りこくっている。

『沈黙の春』青樹簗一訳、新潮文庫、1992年

【アタクシ的メモ】
筆者が見た自然の様子を、端的に描いている。引用の分量は、そんなに長くないが、沈黙の様子が生々しく感じる。