レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。
【短編小説】イッツ・プリティ・ニューヨーク/東山彰良 ◎
ハチャメチャな登場人物が現れ、人間の本心に基づいて行動し、結果、物語が立ち上がっていく。ストーリーテリングの巧みさというよりも、人間が生きているドライブ感のようなものを強く感じた。自分に近しい人物像でもないし、強く共感したわけでもないが、読み終わると、生きるのも悪くないよねと思わされた。
【詩・俳句・短歌・歌詞】幸福が遠すぎたら/寺山修司 ○
干武陵の「勧酒」で、井伏鱒二が訳した「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」の返歌になるのだろうか。この詩の最後、「さよならだけが/人生ならば/人生なんかいりません」という気持ちも分かるが、やはり勧酒とは、シチュエーションが違いすぎるように思う、誰かとの別れと、巡り来る季節や日々の暮らしは同一視できないだろう。
【論考】所番地なし/ロラン・バルト ○
筆者は、日本には○○通りのような名称はなく、郵便用の住所区分しかないと指摘する。例えば、ある家に訪問する際には、地図などを書いてもらわなければならない。そのため、その場所を理解するには、手製の地図を覚えたり、実際に歩いてみることが欠かせないという。これに従えば、地図アプリなどスマートフォンを見ながら移動している現代人は、場所や空間を知らぬままなのかもしれない。