言葉は時空を超えて存在する【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0101】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】だれか/角田光代 ◎
タイでマラリアにかかった24歳の女性が、病床でたまたま手に取った本を通じて、ある人物の存在をまざまざと感じる。それは単なる妄想なのか、ある種の必然的な確信なのかは定かではない。まさに「だれか」であり、その人物像より風景の方が、ずっと残り続けているようだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】滅私奉公/吉野弘 △
この詩で訴えたい主旨が、ちょっとよく分からなかった。もしかして、原子力について言っているのかもなどと思ったが、単純に人が個を失って、国家のような全体に尽くすことを警告しているのであろうか。例えば、「虚無の手」といった表現も出てくるが、抽象的すぎて、それは何かがとらえられないままである。

【論考】言葉/池田晶子 ★
言葉が持つ特別な力を再認識した。聖書の「初めに言葉ありき」という言葉の真意、言葉が世界を創ったんだということ、目に見えない意味こそが、人や世界を動かしていることに改めて気づかされた。何百年前の言葉であっても、“今”分かるという時空を超えられる点も奇跡的だ。