死者は自分の死を悲しむことができない【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0021】


【短編小説】誘拐/星新一
話としてはよくできているが、オチが予想できたこともあり、ちょっと興醒めしてしまった。それにしても、最近は誘拐の話を聞かない。単に報道されていないだけるかもしれないが、刑事ドラマでは定番のネタだっただけに、隔世の感がある。時代や社会の変化にともなって、小説で扱うテーマも変わってくるのだと再認識した。

【詩・俳句・短歌・歌詞】倚りかからず/茨木のリ子
著者の主張に賛同するものの、詩というよりも、個人の宣言にすぎないように感じる。正直、詩情が足りないと思った。一方で、このように単刀直入に言わなけれなならない時代だったのかも、と想像した。特に女性だったら、はっきりと宜言しないかぎり、誰も耳を傾けてくれなかったのではないか。

【論考】悲しみについて/森本哲郎
「人間は死というものからのがれることのできない悲しい存在」に引っかかってしまった。ただよく読むと、「一瞬、一瞬を、いとしみながら生きること」が大切というメッでージがあり、それについては同意できる。死に近い人ほど、一瞬を大事にできるというのは逆説的すぎる気もする。