世界はいつも歌に満ちている【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0150】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】四半世紀ノスタルジー/町屋良平 △
今回も読むのが苦痛だった。一読して分かりづらいという点だけでも、作品として微妙だと感じる。登場人物の描き方も、結構乱暴に思えた。なので、誰がどんな人かといったことも、ほとんど頭に入ってこず、そのまま話が進むので、理解できないという悪循環にしかならなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】歌/谷川後太郎 ○
「だからぼく いつか死ぬときもきっと/歌っている/誰に聞こえなくても」と終わるのだが、タイトルにもなっている「歌」とは、文字通りソングのことなのだろうか。何かの比喩ではないのか。「いつも歌に満ちている」とも書かれているので、喜びの感情ではないかと思う。

【論考】三つの表現体/ロラン・バルト △
文楽について。何度か読んだが、今回もよく分からぬままだった。例えば、文楽は行為と身ぶりを分離すると書かれているが、行為とは何か、身ぶりとは何かについて、言及がない感じで、何とも煙に巻かれているような気分である。タイトルである三つの表現体も、何を指しているのか定かではなかった。


生まれることは意志と無関係【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0149】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ディア・プルーデンス/星野智幸 △
読むのが苦痛だった。元々人間がだったが、自分で青虫になったという。その青虫はもちろん、動物たちにも言葉があるという。よくわからない。完全なるフィクションであるため、どんなことが起きても、読み手は受け入れなければならない。理(ことわり)やロゴスのない世界で、ストーリーは成立しないのではないか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】生まれたよ ぼく/谷川俊太郎 ○
最近は、人が生まれることの暴力性(?)について、考えることが多い。生まれることは、まったくその人の意志とは無関存なのだ。そうしたことを考慮すると、この詩で示される、生まれてくるぼくのポジティブさや、前向きな点はとても素晴しいと思う。表現としては、「遺言する」や「忘れずに」がポイントになっているだろう。

【論考】包み/ロラン・バルト ○
「包みこんでいる内容はおおむね無意味なしろものである。つまり、内容の不毛が包みの豊饒と均衛がとれていない」ことが、日本の特殊性だという。包装が華美だと言いたいのだろうが、内容が不毛というのは、やや極言にも感じる。筆者の私見にすぎないのではないか。


時間は過ぎるものではなく、人々のリレー【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0148】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】なにも持っていない右腕/藤野可織 ○
舞台はコロナ禍を想定しているから、そもそも他者の意識が交錯することもなく、主人公の自意識のみが描かれている。それは「現在」を上手くすくい上げているのかもしれないが、読書としては、物語の声を聞くという点からは、物足りないというのが正直な印象だ。また、ただ一人の認識のみが示されているため、単純に単調でもある。

【詩・俳句・短歌・歌詞】朝のリレー/谷川俊太郎 ◎
少し前、夕陽を眺めていて、この詩を思い出したことがあった。言葉や文章というよりは、コンセプトを想起したのだ。ということは、私は文字よりも、概念として記憶していたことになるのだろうか。いずれにせよ、時間を地球上の人々がつないでゆくという考え、俯瞰力は驚嘆に値する。

【論考】駅/ロラン・バルト △
今回も、わかりづらい文章だった。前半は日本の駅は街の中心としてあるのではなく、マーケットなどすべてが詰め込まれていると述べる。いわやる駅ビルのようなもので、買い物の場所でもあるのは、確かに日本独自の駅のあり方かもしれない。ただ、後半については、何度も読んで解読不能だった。


「サヨナラ」ダケガ人生ダ、再び【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0147】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】イッツ・プリティ・ニューヨーク/東山彰良 ◎
ハチャメチャな登場人物が現れ、人間の本心に基づいて行動し、結果、物語が立ち上がっていく。ストーリーテリングの巧みさというよりも、人間が生きているドライブ感のようなものを強く感じた。自分に近しい人物像でもないし、強く共感したわけでもないが、読み終わると、生きるのも悪くないよねと思わされた。

【詩・俳句・短歌・歌詞】幸福が遠すぎたら/寺山修司 ○
干武陵の「勧酒」で、井伏鱒二が訳した「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」の返歌になるのだろうか。この詩の最後、「さよならだけが/人生ならば/人生なんかいりません」という気持ちも分かるが、やはり勧酒とは、シチュエーションが違いすぎるように思う、誰かとの別れと、巡り来る季節や日々の暮らしは同一視できないだろう。

【論考】所番地なし/ロラン・バルト ○
筆者は、日本には○○通りのような名称はなく、郵便用の住所区分しかないと指摘する。例えば、ある家に訪問する際には、地図などを書いてもらわなければならない。そのため、その場所を理解するには、手製の地図を覚えたり、実際に歩いてみることが欠かせないという。これに従えば、地図アプリなどスマートフォンを見ながら移動している現代人は、場所や空間を知らぬままなのかもしれない。


東京の中心は空虚である【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0146】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】それからの家族/早見和真 ○
母親が病気で亡くなってしまう、家族4人の物語。男3人はバラバラで、母親だけが太陽のようという設定が、ご都合主義に感じた。兄弟による見解の相違も、違うことが示されるのみで、理由や根拠が分からず、やや深みが足りないように思う。最後のハッピーエンド的な終わり方も、上手く理解できなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】美しい国/永瀬清子 ○
戦中から戦後への変化を詠んだ詩だと思う。戦争については何も書いていないし、「敵」というワードがちらっと出るくらいだが。やはり、感じたことを感じたままに語れることは、人間が生きていくためには重要である。本音、本心が表現できないのは、苦痛でしかないだろう。しかし、本音を語ることと、美しさは別だとも思う。

【論考】中心一都市 空虚の中心/ロラン・バルト ○
筆者は「中心へゆくこと、それは社会の《真理》に出会うことである」と言う。ただ東京の中心には皇居があり、「その中心は空虚である」と指摘する。長く私は、東京の中心は空虚であると考えていたが、社会的中心ではないだけで、精神的な寄り所にはなっているのではないかと、改めて思い始めた。


パチンコは集団的で、一人ぼっち【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0145】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】水曜日の山/津村記久子 ○
物語全体にコロナ禍が通底する中で、いくつかのエピソードが言られる。ただ、読む方が悪いだけかもしれないが、話が散漫な感じがして、ストーリーのつながりを感じなかった。冒頭の自転車をひいてしまいそうなるのも、どうして書かれていたのだろろ。表現、描写自体も、結構わかりづらかったし。

【詩・俳句・短歌・歌詞】タぐれの時はよい時/堀口大學 ○
タイトルにもなっているが、一番言いたいのは、「夕ぐれの時はよい時/かぎりなくやさしいひと時」なのだろう。だが、その説明も冗長で、ロジックにもなっていないから、なぜそう言うのが腑に落ちなかった。やや悪く言いすぎかもしれないが、言葉を継げば継ぐほど、詩の内容がぼんやりしてしまったように思う。

【論考】パチンコ/ロラン・バルト ○
現在のパチンコ(スロット)は、随分様変わりしているが、集団的で、しかも一人ぼっちな点など、とても日本的(非西洋的)なものに見えたのだろう。だが、筆者の分折力や洞察力は、それほど感じなかった。どうであるかばかり語っていたと思うからだ。とは言え、見知らぬものでも、ちゃんと見つめる姿勢は、見習うべきだろう。


戦争で殺すのはきょうだいなのか、敵なのか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0144】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】非美人/月村了衛 ○
単純化してまとめると、憧れていた人の美しくない姿を見て、それだけが忘れられないという話。それは理解できるのだが、小説にはならないだろうと思った。好意を寄せる理由もそれぼど深さがなかったし、なぜ興がさめてしまったのかも納得はできなかった。エピソードトークでしかなかったかもしれない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】きょうだいを殺しに/高良留美子 ○
争いに賛成しているわけではないが、今現在、反戦の詩を読むと、絶対的に反論できない窮屈さがある。こうした詩に、私たらは逆らえなくなっている。正しい主張なのかもしれないが、自由ではないだろう。一方で、「きょうだい」という言葉は「人類みな兄弟」と言わんとしていることは同じなのか。

【論考】すきま/ロラン・バルト △
読めば読むほど、よく分からなくなるというのが、正直な所。すきまとは何なのか、なぜうなぎの料理が語られ、《天ぷら》りが取り上げられるのか。確かに西洋(フランス)と日本は違っている。とは言え、それらの違いを示されただけでは、具体的なメッセージまでたどり着けないのだろう。


昨日はどこにもありません【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0143】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】旅の熱/高山羽根子 △
小説、ストーリーというより旅のエッセー、日記のような文章。一人称形式で書かれているが、私も僕も出てこないこともあり、人の顔が浮かび上がってこない。時間軸もあちこち行ってしまうし、淡々とした書き方で、体温や熱も感じられなかた。せっかく読んでいるのだから、ほんの少しでも心ない動く箇所があるとよかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】昨日はどこにもありません/三好達治 ○
タイトルである「昨日はどこにもありません」を、何度も繰り返す。ぼんやりと共感するというか、言いたいことが分かるような気もするが、作者のメッセージがビビッドに伝わってくるわけではない。「今日」や「今」だけが、存在すると言いたいのだろうか。ある瞬間は、まさにその瞬間だけ存在し、そしてすぐに消滅すると主張したいのだろうか。

【論考】中心のない食物/ロラン・バルト ○
筆者は、日本料理には《中心》がないと指摘する。食べる順番なども決まっておらず、断片のコレクションにすぎないという。そして、その例として《すき焼き》を取り上げる。なまの材料が持ち込まれ、食卓で調理される点も《中心》のなさのようだ。料理の「作る」と「食べる」が一緒くたなのも日本独自だと述べている。


箸はおびただしい機能をもっていて【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0142】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】終電過ぎのシンデレラ/新庄耕 ○
きちんと書かれた小説だと思う半面、情景が上手くイメージできず、何だか苦労して読んだ感じがある。全体を通じて、少しずつ設明が足りないのではないか。タイトルである終電後、駅に現れる女性も、シンデレラというあだ名と、ちょっとした行動のくせしか情報がないため、読み手としても人物像が想像できなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】まんきい/金子光晴 ○
父親が娘に対して、その心情を詠んだ詩である。自分にも娘がいるから、もちろん気持ちはわかるが、もう少し冷静になった方がよかったのではないか。我が娘である『若葉』が大切なのも理解できる。それでも、特定の人物だけに語りかけていると、読み手との共通点を手放してしまうように思った。

【論考】箸/ロラン・バルト ○
今回は箸について。冒頭のバンコクとの対比は、やや意味不明であった。箸には様々な機能があると筆者は語る。それは、指示する機能、つまむ機能、くずす機能、運ぶ機能だという。おびただしい機能という表現もあったが、確かにフォークやナイフと比べると多機能ではあると思う。


死は悲しみではなく、摂理【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0141】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】通話時間 4時間49分3秒/島本理生 ○
お洒落な文体。ただ、私自身は好きではない。人の息使いのようなものが、まり伝わってこないからだ。小説の内容は、ふとしたきっかけでかかってきた電話で、気づけば5時間近く話し込んでしまったというもの。コロナによって、人とのつながりが疎遠になっている状態を前提としているようだ。個人的には、電話代は大丈夫なのかと思ってしまった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】父に/江國香織  ◎
言葉や文章を飾り気はないものの、胸に迫るものがあった。詩というよりも、何か人が思わずつぶやいたことを、無心に書きとめた感じでもある。人は永遠に生きつづけられない。父や母も死ぬが、いつか私も死に、そのまた先では、子どもたちも死を迎えるだろう。それは悲しみではなく、摂理なのだ。

【論考】水と破片/ロラン・バルト △
タイトルは水と破片だが、日本料理について述べられている。「食膳は一幅の絵に似ている」と「《筆致》という肉体と開係する性質」が、日本料料理の特質だという。そうは言われても、難解な表現なので、頭の中で具体的なイメージは浮かばない。その他の部分も、いつも通り、いくら読んでも理解が進まなかった。