良心をめざめさせる薬【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0045】


【短編小説】盗んだ書類/星新一
星新一さんらしいショート・ショート。でも、今になって読むと、効果、効能が分からない薬の書類を盗んで、自分で作って飲むだろうか、すごい薬なのにセキリティがゼロに近く、大丈夫だろうか、など色々と突っ込めなくもない。なので、リアリティというよりも、ストーリー構成のみで勝負しているのだろう。

【詩・俳句・短歌・歌詞】わたしが一番きれいだったとき/茨木のり子
自分のようなベビーブーマー世代は、戦争はなかったけれど、バブルも崩壊し、失われた30年だったり、あまりヨイことはなかったと思っている。それでも人は、その時を生きるしかなく、その状況を受け入れるしかない部分がある。作者のように発奮しながらも、「その時」を見渡して、自らの生き方を決める必要があるのだろう。

【論考】女の美しさについて/森本哲郎
女性に限らず人の美しさは、生きていること、あるいはどのように生きているかによって大きく変わると思っている。顔立ちの よさも、全く無開係だとは言わないまでも、同じ人物でもその瞬間の状態によって、美しく見えたり、見えなかったりするからだ。そうした意味では、筆者の意見がとても納得できる。


モンテスキュー【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#018】


【1月18日】モンテスキュー:1689.1.18~1755.2.10

国家、すなわち、法律が存在する社会においては、自由とは人が望むべきことをなしうること、そして、望むべきでないことをなすべく強制されないことにのみ存しうる。
独立とはなんであるか、そして、自由とはなんであるかを心にとめておかねばならない。自由とは法律の許すすべてをなす権利である。(第二部第11編)

『法の精神』(上)野田良之ほか訳、岩波文庫、1989年

【アタクシ的メモ】
法の下で、自由が認められていることは、普段は気づきづらいことではあるが、やはり十分に感謝すべきことだと思う。


「パルテノン神殿」「日本書紀」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#017】


第3週第3日(水)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
17 視覚芸術:パルテノン神殿
パルテノン神殿は、政治家ペリクレスの命により、ペルシア軍にギリシア軍の勝利を記念して紀元前447年から前432年に建設された。その建築は、ドーリア式とイオニア式が組み合わせており、資格補正と言って、形をゆがめることで、建物が美し見える技も使われている。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
17 革新者:ヒッポクラテス
古代ギリシアでは、疾病は神による罰であると解釈されており、治療には祈祷や神へのいけにえなどが使われた。しかしヒッポクラテスは、疾患には自然の原因があり、食事を変えたり薬を使ったりすることで治療できると考えた。また、「ヒッポクラテスの誓い」が含まれる『ヒッポクラテス全集』を書いたとされる。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
17 音楽:アルノルト・シェーンベルク
オーストリアの作曲家アルノルト・シェーンベルク(1874~1951)は、無調という概念の普及に貢献した。無調とは、クラシック音楽で従来の和声を排して不協和音を組み合わせる革命的なスタイルである。彼は「不協和の解放」と呼び、協和音と不協和音の違いを取り払った。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
17 薬と代替療法:アスピリン
1899年、バイエル社は筋肉や関節の痛み、頭痛を軽減し、解熱作用のある新薬アスピリンを市販した。アスピリンはアセチルサリチル酸という化合物で、サリチル酸同様の作用をもちながら、胃にずっとやさしかったのだ。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
17 文学:『日本書紀』
『古事記』の成立からわずか8年後、720年に完成したとされる『日本書紀』。2つを合わせて「記紀」と呼ばれ、日本文学の始まりを告げるものである。出来事を年代順に記載する「編年体」という形式をとり、歌謡部分以外は、ほぼ漢文で書かれている。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
17 外交:金印
古代日本において、後漢から印綬を賜った記録があるのは倭奴国だけである。その金印は、1784年に水田から偶然発見された。印の材質は、玉、金、銀、銅の順で地位が下がり、紐の色によっても地位が変わる。魏の時代には、邪馬台国の卑弥呼も金印を授かっている。


人間を越えたものに対する畏怖【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0044】


【短編小説】欲望の城/星新一
過ぎたるは及ばざるが如しな話ではあるが、夢を見ることで欲望が満たされるという。欲しがるたびに物が増え、そして増えてすぎて、眠るのも怖くなってしまったようだ。ただ、正直な所、そんなに夢に左右されるかなあと思う。夢はあくまで夢であって、現実の見え方まで変える力はないように感じる。

【詩・俳句・短歌・歌詞】死んだ男の残したものは/谷川後太郎
一読しただけではピンとこず、何度も読んで、解説も読んで、何となく理解できた気分になっているだけのような気がする。解説によれば、ベトナム戦争に対する反戦歌だとのこと。「死んだ兵士」という言葉はあるが、戦争がテーマとは感じなかった。

【論考】人間の限界について/森本哲郎
人間を越えたものに対る畏怖が大切さいうのには、同意するものの、その超越者が絶対化されてしまうと、かえって人は硬直的になってしまうようにも思う。やや凡庸ではあるが、中庸というかバランス感が大事なのではないか。とは言え、法然の専修念仏は筋も通っているので、非常に設得力があった。


「エレアのゼノン」「倭国大乱」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#016】


第3週第2日(火)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
16 文学:ハーレム・ルネサンス
ハーレム・ルネサンスとは、1920年代から1930年代初頭にかけて、ニューヨーク市のハーレム地区で花開いたアフリカ系アメリカ人の文学・芸術運動。基礎を築いたのが、歴史学者・社会理論家のW・E・B・デュボイスである。また、中心的作家のひとりがジェイムズ・ウェルドン・ジョンソンだ。音楽と文学が切っても切れない関係にある。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
16 哲学者・思想家:エレアのゼノン
哲学者ゼノン(前495頃~前430頃)は、「ゼノンのパラドクス」で知られている。一定の距離を進むには、必ずその中間地点が存在し、際限なくその中間地点が到来するため、いつまでも到達できないという考えだ。俊足の走者は、先に出発した亀に追いつけないとした「アキレスと亀のパラドクス」もある。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
16 文学:ウィリアム・バトラー・イェーツ
詩人ウィリアム・バトラー・イェーツ(1865~1939)は、アイルランド人の文化意識で大きな位置を占める。詩人ウィリアム・ブレイク(1757~1827)の作品と、アイルランド文芸復興運動の影響を受け、神秘主義にアイルランド固有の文化的インスピレーションを混ぜ合わせた世界観を育んだ。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
16 病気:病原体
病気を引き起こす病原体には、細菌やウイルス、カビ、原虫などがある。ウイルスは遺伝物質を含む小さなカプセルで、増殖するために宿主を必要とする。宿主となる細胞をハイジャックして、その細胞の中で増殖する。病原体の感染を防ぐには、頻繁に手を洗うことが最も効果的である。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
16 歴史:三内丸山遺跡(縄文時代)
縄文時代中期、約5900年前から約4200年前までの大規模集落が、青森県の三内丸山遺跡だ。中でも最も注目されるのは、6つの柱穴を持つ「大型掘立柱建物跡」である。これにより、文明や技術に乏しい原始社会という縄文時代のイメージを、一新させることになった。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
16 争い:倭国大乱
倭国の大乱は、『三国志』の「魏志倭人伝」や『後漢書』の「東夷列伝」などに記憶される、倭国内で起きた争乱のこと。邪馬台国など倭国の国々が畿内にあったら、ヤマト政権と熊襲の争乱とみられるが、邪馬台国が北九州なのだとしたら、熊襲の人々同士が戦っていたことになる。


フランクリン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#017】


【1月17日】フランクリン:1706.1.17~1790.4.17

もしもお前の好きなようにしてよいと言われたならば、私はいままでの生涯を初めからそのまま繰り返すことに少しも異存はない。ただし、著述家が初版の間違いを再販で訂正するあの便宜だけは与えてほしいが。

『フランクリン自伝』松本慎一・西川正身訳、岩波文庫、1957年

【アタクシ的メモ】
後悔のない人生を送ってきたということか。ただ、初版の間違いは訂正したいということは、少なからず改善の余地はあるようだ。


かそけき音に耳をかたむける【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0043】


【短編小説】おみやげ/星新一
原爆の実験によって、フロル星人たちが残してくれた素晴らしい知見、文明が粉々になってしまう。何と皮肉な結果だろうか。少し拡大解釈をすると、善なる方向に進もうとしなければ、善を後押しする力は得られないということではないだろうか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】二十億光年の孤独/谷川後太郎
小学校の教科書で読んだのが最初だろうか。タイトルは覚えていたが、中身は記憶になかった。二十億光年という圧倒的な広がりと、僕のくしゃみとが、対照的すぎるし、普段はあまり置くことのない宇宙全体からの視点は、ある意味で言葉、詩だからこそ表現できると思った。

【論考】静かについて/森本哲郎
古典を題材に出されると、ちょっと苦手意識が先行してしまう。筆者は、静寂の重要性やかそけき音に反応できる日本人の豊かさを説いている。確かにと思う反面で、現在私たちを取り巻く環境は、音だけでなくあらやる刺激だらけで、いつも落ち着かない。静寂は勝ち取らなければならないのか。


清少納言【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#0016】


【1月16日】清少納言:996頃~1025頃

ただ過ぎに過ぐるもの、帆かけたる舟。人の齢。春、夏、秋、冬。
      *
雪は、檜皮葺、いとめでたし。すこし消えがたになりたるほど。また、いと多うも降らぬが、瓦の目のごとに入りて、黒うまろに見えたる、いとをかし。
時雨・霰は、板屋。霜も、板屋。庭。

『枕草子』池田亀鑑校訂、岩波文庫、1962年

【アタクシ的メモ】
ただ過ぎさってゆくもの、人の年齢というのはその通りだと思うが、「いとめでたし、いとをかし」の部分は、あまり共感できないというか、情景も想像しづらい。


「パブロ・ピカソ」「新生児呼吸窮迫症候群」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#015】


第3週第1日(月)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
15 歴史:スパルタ対アテネ――古代世界の覇権争い
スパルタの兵士は、生まれたときから血を吐くような訓練で鍛えられ、古代世界で最も恐れられた軍隊であった。隣国のアテネと対立していたが、アテネでは哲学、美術、科学の分野で多くの成果を残し、民主制が生まれた。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
15 指導者:キュロス大王(キュロス二世)
キュロス大王(前600頃~前530頃)は、現在のトルコ、イラン、イラクに当たる地域を征服し、ペルシア帝国を築いた。リディア王のクレイソス(前595~前547頃)を捕らえたが、神のお告げで命を助けた。また、バビロン制圧後、ユダヤ人が祖国へ戻る許可を与えた。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
15 人物:パブロ・ピカソ
スペインに生まれたパブロ・ピカソ(1881~1973)は、20世紀で最も独創的で、最も力に満ちた芸術家。1907年ごろにキュビズム(立体派)を創始したひとりと考えられる。主要な作品は、『アヴィニョンの娘たち』(1907年)、『ゲルニカ』(1937年)。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
15 子ども:新生児呼吸窮迫症候群
早産児は、特に呼吸窮迫症候群のリスクがある。サーファクタントと呼ばれる物質は、胎児の発育の最後の3カ月になって初めて肺の中でつくられるためだ。かつては、早産児の死亡原因の第一位であったが、医療の発達によって減少した。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
15 自然:海岸線と海域
日本は海岸線に囲まれた島国であり、その総延長は約3万4000キロに達する。日本を取り巻く領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積は世界第6位の広さ。国土面積の11.8倍にのぼる。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
15 政治:邪馬台国
邪馬台国が存在した場所には、北九州説と畿内説があり、今現在決着がついていない。「魏志倭人伝」によれば、もともと男子を王としていたが、国が乱れたため女性の王、卑弥呼や壹與(とよ)を立て、国が平定したという。


美を「無常の相のなかに」ながめる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0042】


【短編小説】特許の品/星新一
ストーリー自体は面白いと思ったものの、何だかスッキリしない感じがして、ちょっと考えてみると、快楽を受けつづけると、生物(人)は意欲が減退するという点がかもしれない。書かれた当時は、当てはまったかもしれないが、現在は快楽と意欲は相似的な関像にあると考えられているのではないだろうか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】蛙の死/萩原朔太郎
難しい言葉は使っていないが、難解な詩である。ネット検索ではあるものの、いくつか解説的な言説を読んだが、すべて理解できたという感じには至らなかった。なので、あくまで感覚的ではあるけれど、作者の描こうとしたものに共感を覚えた。幼い人間の凶暴性とか、それを振り返って見る自分自身とか。

【論考】美について/森本理郎
「日本の美とは、永遠なものではなく、移りゆく『時間』のなかで形づくられ、成長し、そして衰微してゆくもの」という筆者の主張に賛同する。ただし、今回言われて、ハッとした感じではあるが。日本人が変わりやすいのも、一神教ではないからかもしれないと思った。