かそけき音に耳をかたむける【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0043】


【短編小説】おみやげ/星新一
原爆の実験によって、フロル星人たちが残してくれた素晴らしい知見、文明が粉々になってしまう。何と皮肉な結果だろうか。少し拡大解釈をすると、善なる方向に進もうとしなければ、善を後押しする力は得られないということではないだろうか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】二十億光年の孤独/谷川後太郎
小学校の教科書で読んだのが最初だろうか。タイトルは覚えていたが、中身は記憶になかった。二十億光年という圧倒的な広がりと、僕のくしゃみとが、対照的すぎるし、普段はあまり置くことのない宇宙全体からの視点は、ある意味で言葉、詩だからこそ表現できると思った。

【論考】静かについて/森本哲郎
古典を題材に出されると、ちょっと苦手意識が先行してしまう。筆者は、静寂の重要性やかそけき音に反応できる日本人の豊かさを説いている。確かにと思う反面で、現在私たちを取り巻く環境は、音だけでなくあらやる刺激だらけで、いつも落ち着かない。静寂は勝ち取らなければならないのか。


清少納言【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#0016】


【1月16日】清少納言:996頃~1025頃

ただ過ぎに過ぐるもの、帆かけたる舟。人の齢。春、夏、秋、冬。
      *
雪は、檜皮葺、いとめでたし。すこし消えがたになりたるほど。また、いと多うも降らぬが、瓦の目のごとに入りて、黒うまろに見えたる、いとをかし。
時雨・霰は、板屋。霜も、板屋。庭。

『枕草子』池田亀鑑校訂、岩波文庫、1962年

【アタクシ的メモ】
ただ過ぎさってゆくもの、人の年齢というのはその通りだと思うが、「いとめでたし、いとをかし」の部分は、あまり共感できないというか、情景も想像しづらい。


「パブロ・ピカソ」「新生児呼吸窮迫症候群」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#015】


第3週第1日(月)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
15 歴史:スパルタ対アテネ――古代世界の覇権争い
スパルタの兵士は、生まれたときから血を吐くような訓練で鍛えられ、古代世界で最も恐れられた軍隊であった。隣国のアテネと対立していたが、アテネでは哲学、美術、科学の分野で多くの成果を残し、民主制が生まれた。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
15 指導者:キュロス大王(キュロス二世)
キュロス大王(前600頃~前530頃)は、現在のトルコ、イラン、イラクに当たる地域を征服し、ペルシア帝国を築いた。リディア王のクレイソス(前595~前547頃)を捕らえたが、神のお告げで命を助けた。また、バビロン制圧後、ユダヤ人が祖国へ戻る許可を与えた。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
15 人物:パブロ・ピカソ
スペインに生まれたパブロ・ピカソ(1881~1973)は、20世紀で最も独創的で、最も力に満ちた芸術家。1907年ごろにキュビズム(立体派)を創始したひとりと考えられる。主要な作品は、『アヴィニョンの娘たち』(1907年)、『ゲルニカ』(1937年)。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
15 子ども:新生児呼吸窮迫症候群
早産児は、特に呼吸窮迫症候群のリスクがある。サーファクタントと呼ばれる物質は、胎児の発育の最後の3カ月になって初めて肺の中でつくられるためだ。かつては、早産児の死亡原因の第一位であったが、医療の発達によって減少した。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
15 自然:海岸線と海域
日本は海岸線に囲まれた島国であり、その総延長は約3万4000キロに達する。日本を取り巻く領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積は世界第6位の広さ。国土面積の11.8倍にのぼる。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
15 政治:邪馬台国
邪馬台国が存在した場所には、北九州説と畿内説があり、今現在決着がついていない。「魏志倭人伝」によれば、もともと男子を王としていたが、国が乱れたため女性の王、卑弥呼や壹與(とよ)を立て、国が平定したという。


美を「無常の相のなかに」ながめる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0042】


【短編小説】特許の品/星新一
ストーリー自体は面白いと思ったものの、何だかスッキリしない感じがして、ちょっと考えてみると、快楽を受けつづけると、生物(人)は意欲が減退するという点がかもしれない。書かれた当時は、当てはまったかもしれないが、現在は快楽と意欲は相似的な関像にあると考えられているのではないだろうか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】蛙の死/萩原朔太郎
難しい言葉は使っていないが、難解な詩である。ネット検索ではあるものの、いくつか解説的な言説を読んだが、すべて理解できたという感じには至らなかった。なので、あくまで感覚的ではあるけれど、作者の描こうとしたものに共感を覚えた。幼い人間の凶暴性とか、それを振り返って見る自分自身とか。

【論考】美について/森本理郎
「日本の美とは、永遠なものではなく、移りゆく『時間』のなかで形づくられ、成長し、そして衰微してゆくもの」という筆者の主張に賛同する。ただし、今回言われて、ハッとした感じではあるが。日本人が変わりやすいのも、一神教ではないからかもしれないと思った。


「ヒポクラテス」「仏教伝来」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#014】


2週第7日(日)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
14 宗教:ノア
神は、自ら創造した世界で人間が罪を重ねるのに腹を立て、40日間昼夜にわたって雨を降らせ、大洪水を起こすつもりだとノアに告げる。ノアは箱舟を作り、人間やあらゆる動物の雌雄を乗せて、大洪水から逃れる。水が引いた後、神は「産めよ、増えよ」と言って、子作りに励ませた。  

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
14 伝道者・預言者:エレミヤ
エレミヤは、紀元前586年のエルサレム破壊や、その後のバビロン捕囚などの大きな災いを、ユダヤ人の罪に対して神が罰を与えたと考えた。そのため彼は、強い言葉で警告を発しており、ユダヤ人からの評判は芳しくなかった。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
14 大衆文化:麻雀
中国生まれの麻雀(マージャン)は、1907年にイギリス人によって西洋に消化され、アメリカでは1920年代に流行。その絶頂記には、麻雀牌の需要が高まり、中国でも150万ドル規模の産業となった

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
14 医学の歴史:ヒポクラテス
ヒポクラテスの誓いは、患者の健康のために医師が常に最善を尽くすと誓約したもの。ヒポクラテスは、病気が超自然的な力や神の力によって引き起こされるという迷信を最初に否定した医師である。『ヒポクラテス全集』においても、医学の実際的な問題に言及している。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
14 哲学・思想:仏教伝来
紀元前5世紀末頃にインドで成立した仏教は、中央アジア、中国、朝鮮半島を経て、6世紀半ばに日本に伝えられた。仏教の受容に対しては、蘇我稲目が賛成したが、物部尾輿と中臣鎌子は反対を表明。これが武力衝突に発展し、受容派の蘇我氏が勝利した。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
14 文化・芸術:縄文土器・弥生土器
草創期の縄文土器は無文だが、時代に縄目の文様がつけられるようになり、火焔土器や出産土器などが登場する。祭祀や弔いにも使用されていたようだ。弥生土器は、縄文土器より薄くて硬く、実用的な造形が特徴だ。ろくろは発明されておらず、縄文土器同様に紐作りの技法で形成された。


徳川家康【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#0015】


【1月15日】徳川家康:1542.12.26~1616.4.17

人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し。いそぐべからず。不自由を常とおもへば不足なし。こころに望おこらば、困窮したる時を思ひ出すべし。堪忍は無事長久の基。いかりは敵とおもへ。勝事ばかりを知りてまくる事をしらざれば、害其身にいたる。おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。
  慶長八年正月十五日     家康

「東照宮遺訓」編者校訂

【アタクシ的メモ】
確かにその通りと思うことばかりで納得させられる。個人的に一番印象に残ったのは、「不自由を常とおもへば不足なし」である。


月と浜べとボタン【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0041】


【短編小説】愛用の時計/星新一
ある意味では、アニミズム的なストーリー。表現がさらっとしたせいか、話の筋をつかむのに、少し苦労した。結論だけ見ると、そんなこともあるのかなというフィクションではあるが、少し夢がある感じが気持ちを幾分前向きにさせる。ただ2020年代っぱくはないとも思う。

【詩・俳句・短歌・歌詞】月夜の浜べ/中原中也
月が出る浜べでボタンを拾ったが、それを投げ捨てられなかったという詩。事象としては単純だが、作者の心持ちやなぜ詩として表現されたのかは、想像するしかない。私の解釈では、ボタンは中也自身であり、月や波は世間や社会をイメージしているのではないだろうか。捨てないという判断をしても、それは力を生み出すわけではないけれど。

【論考】渡世について/森本哲郎
一読、二読して思ったのは、ちょっと分かりづらいなぁということ。結局は、日本人の生き方がアンビヴァレンツ(両価的)であり、自由であると言いたかったのか。それ自体には異論はないが、何だかかえって分かりづらく説明されているように感じた。また、エコノミック・アニマルという言葉については、隔世の感がある。


マルティン・ニーメラー【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#014】


【1月14日】マルティン・ニーメラー:1892.1.14~1984.3.6

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した――しかし、それは遅すぎた。

ミルトン・マイヤー『彼らは自由だと思っていた』(田中浩・金井和子訳、未来社、1983年)

【アタクシ的メモ】
当時、ナチ党が段階を追って社会を変容させていたようだが、それを感じながらも、対応が「遅すぎた」というのが残念に思える。


「ソクラテス」「天照大神」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#013】


第2週第6日(土)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
13 哲学:ソクラテス
ソクラテス(紀元前470~前399)は、西洋哲学の創始者。著作は何も書き残していない。もし自分が他の人より賢いとすれば、それは自分の無知を自覚しているからだと語った。いわゆる「無知の知」である。また、自他を吟味しない人生は、生きるに値しないと主張した。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
13 反逆者・改革者:ソロン
古代ギリシア七賢人のひとりとして知られるソロン(前640頃~前560頃)。厳しすぎる法律を見直し、刑罰を軽くした。また政治改革を行い、政治的権限を貴族から一般市民へ移した。四百人評議会という代表による評議会を設置したが、これは民主主義の集会の元と言えるものだ。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
13 スポーツ:サイ・ヤング
サイ・ヤングは、偉大な右投手として大リーグで22年間活躍し、勝利数(511)、敗北数(316)、投球イニング数(7356)、先発試合数(815)、完投数(749)で通算最多記録を持っている。5つのチームでプレーし、30勝以上を5回、20勝以上を15回マークした。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
13 ライフスタイルと予防医学:アミノ酸
タンパク質は、数多くの異なるアミノ酸から作られている。健康に欠かせないアミノ酸は22種類あり、そのうち13種類はタンパク分解によって体内で合成できる非必須アミノ酸だ。残り9種類は必須アミノ酸で、食物を食べることによってのみ摂取でき、肉、ミルク、チーズ、卵、野菜、ナッツ、穀物に含まれている。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
13 伝統・文化:正月
正月とは、一年の初めに新しい年を迎えられたことを祝い、その年の豊作と家族の健康を約束してくれる歳神様(ご先祖様)を迎える行事。「明けましておめでとうございます」は、歳神様を迎える挨拶といわれている。鏡餅は、歳神様へのお供えもの。お節料理は五穀豊穣、子孫繁栄を祈り、保存食としての役割も果たす。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
13 人物:天照大神
天照大神(あまてらすおおみかみ)は、伊弉諾(いざなぎ)と伊弉冉(いざなみ)が、月読尊(つくよみのみこと)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)とともに、最後に生んだ神で「三貴神」と呼ばれる。なぜ日本では最高神が女神なのか。日本書紀編纂に、女帝である持統天皇が関わったことが大きいようだ。


おお 雨の音 雨の歌【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0040】


【短編小説】程度の問題/星新一
疑り深いスパイ、エヌ氏の物語。一方でのん気なスパイも失敗に終わる。読み終えると「確かに程度の問題だな」と思う。しかし、実際に現場で仕事をしていると(もちろんスパイ活動ではないが)、どの程度にすればヨイのか、なかなか判断が難しい。人というのは思った以上に、俯瞰して物事を見られないのである。

【詩・俳句・短歌・歌詞】都に雨の降るごとく/ポール・ヴェルレーヌ
訳のおかげか語感がとても気ちよく、それだけで読みたくなる感じだった。個人的には「おお 雨の音 雨の歌」の行で、ギアが上がる感覚にグッときた。ホップ、ステップ、ジャンプみたいな。詩全体としては抽象度が高いので、虫の目のような、ミクロな視点があってもよかったのでは。

【論考】忘却について/森本哲郎
筆者の意見は、「日本は過去を大事にせず、新しいものばかりに目を向ける」といったところだろうか。確かに、建物などはスクラップ&ビルドで新築にしか価値を認めない傾向がある。ただ、たまたま読んだ教養書によれば、正月は歳神様を迎える祝い事で、歳神とは先祖たちのこと。そう考えると、日本も過去を大切にしているように思う。