自分が今ここに存在する奇跡【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0100】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】旅する本/角田光代 ◎
事実に基づいているのか、フィクションなのかは分からないが読んでいるだけで、ワクワク、ドキドキした。本ではないが、よく会う人、モノもあったりするので、そうした自分の体験も思い出された。角田さんの文章を読むのは、とても久しぶりだったが、読みやすいし、気持ちもよかった。主人公の変化、成長を感じらたのもヨイ印象である。

【詩・俳句・短歌・歌詞】リンゴ/まど・みちお ◎
リンゴという題名だが、ある空間に存在できる存在者はたった一つであるということを詠んだ存在論的な詩である。一つの存在者が空間を専有するという摂理を、「あることと/ないことが/まぶしいように/ぴったりだ」と表現している。私にとっては驚きであったが、作者は明るい光ととらえたのだろう。

【論考】宗教/池田晶子 ◎
宗教を基点にして、神とは何か、自分が存在するとは何かといったことが語られている。自分が今ここに存在している奇跡に気づけば、神ではなく自分を待じられるだろうという。そう、私たちは、絶対的、超越的な神ではなく、自分を信じなければならない。そうすることで、時に苦しい自身のどんな人生でも受け入れられるのだ。


内に向かって、外へ抜ける【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0099】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】巣に帰る/ルシア・ベルリン △
自分の読解力にも問題があるのだろうが、いくら読んでも情景がイメージできなかった。解説文を読むと、原文ならではの良さもあるようだ。今回は諦めるが、いつかりベンジしたい。続編のような短編集が、もう一冊あるようなので、それにチャレンジしてみようか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】象/高村光太郎 △
象を飼う人間たちへの反乱の詩なのだろうか。しかし、現実なのか、象の想いの代弁なのかもわからない。最初と最後の行の「象はゆっくり歩いてゆく」以外は、どれも象による一人称であるのも、やや違和感。意図的なのだろうが、私にはその効果は感じられなかった。

【論考】宇宙/池田晶子 ◎
池田さんが書く文章で、宇宙の話はやや苦手にしている。「内に向かって、外へ抜ける」「自分を知るため内界に向かうと無限へ通ずる」といった言説が、腑に落ちていないのである。カントの上なる星空と、内なる道便律と同じなのだろうが、感覚的にしか理解できないのだ。


人間の意志を超えている力【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0098】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】あとちょっとだけ/ルシア・ベルリン △
ちょっと公私ともに悩みが多い状態だということもあってか、文字を目で追っていても、ほとんど内容が頭に入ってこなかった。だからといって、何度も読む気にもならない。夫を先に亡くした女性の物語。作者本人の経験に基づいているだろう。生きている人にできるのは、故人を思い出すことくらいなのか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】自分はいまこそ言おう/山村暮鳥 △
自分の人生は一回きりだから、のろくても休まず生きてゆくという宣言をしているようだ。それ自体に反論はないが、どうしてそうしたて生き方を詩の中で、“いま”こそ言い出さなければならないのかが、理解できなかった。作者のモケベーションがわからなかったのだ。

【論考】自然/池田晶子 ◎
人間対自然という考え方に違和感があったので、人間の体は自然であるという説明を読んで、何だかホッとした。また「自然というのは、人間の意志を超えているカのことを言うんだ」という文にも、非常に納得。多くの人が、自分たちの意志で生きていると考えすぎなのではないか。


時間によって前へ押し出される【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0097】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】さあ土曜日だ/ルシア・ベルリン △
主語が「わたし」ではなく「おれ」になった。読み手としては、それだけで大きな転換である。ただ、もちろん文体は変わらない。淡々としているので、なかなか頭に入ってこないのである。結末は悲劇のようである、色々と読み取れてはいないのであるが。

【詩・俳句・短歌・歌詞】前へ/大木実 ◎
時間は無限だから、私たちに終わりはない。次から次へと、今がやって来るのだ。作者は「――前へ」という言が好きだという。好き嫌いとは別に、私たちは前へ進まなければならない。私たちは押し出されるのだ。時間によって、前へと押し出されるのである。

【論考】戦争/池田晶子 ◎
例えば今、ウクライナで戦争はあるが、遠く離れた私たちは、単純に戦争は悪だと思っている。逆に平和であれば、多少のことは大目に見ても、仕方のないことだと感じていた。しかし、これを読んで、それは全くのサボりだと気づかされた。絶対的な悪だと思えても、考えることをやめてはいけないのだ。


言葉が瞬間を永遠に変える【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0096】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】沈黙/ルシア・ベルリン △
淡々と語る文体は相変わらずである。またも、モイニハン家の物語であり、アルコール中毒である。ただ、淡々というか、パッチワーク的な記述で、あまりストーリーが頭に入ってこなかった。そこそこ長いし、もう一度読心気にも、時間もなくてならなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】雁/千家元麿 ○
雁が空を飛人でいる様子を詠った詩。集団とはいえ、1分も経たない瞬間の出平事であろう。それでも、こうして詩や言葉で書きとめられることで、その瞬間は、永達の時間を得ているようにて感じられるから不思議である。

【論考】道徳/池田晶子 ◎
「社会が決めた法律に善悪はない」。自分の外にあるものは変化する。変わらない善悪は、常に自分の中にあると筆者はいう。本当によいこと、本当に悪いことを知ろうとするなら、私たちは自分の頭で考えなければならない。それが人間の自由につながっているのだ。


私も「愛こそすべて」が苦手【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0095】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ママ/ルシア・ベルリン ○
姉妹二人が、母親について回想する。その母親は、愛という言葉が嫌いだったり、一筋縄ではいかない性格だったようだ。ロ々に思い出が語られていくなかで、その存在が蘇るのだろう。妹は最後に「愛してるって伝えたい」となるが、姉はそうならない。姉妹でも母親のとらえ方はまちまちなのである。

【詩・俳句・短歌・歌詞】人間に与える詩/山村暮島 △
太い根のある樹木、大木を、人は見習えということか。ただ、そうだとしても、人間にとっての「根」とは何を指しているのだろうか。特に言及がないので、分からない。人間に与える詩と言っているので、人に対して語りかけているのだろう。しかし、その主旨が不明というのが正直な感想である。

【論考】社会/池田晶子 ◎
「社会」という確固たるものが存在するわけではない。複数の人間の集まりにつけられた呼び名にすぎない、と筆者は説明する。いやその通りだと思う。その前提から、自分はどうやって生きるのか、人間の集まり(=社会)にどう働きかけるのか。そうした自分の意志が問われている。


歴史に真偽を求めず、想像する【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0094】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ソー・ロング/ルシア・ベルリン ○
タイトルの「ソー・ロング」は、人生は長すぎるという意味だろうか。「わたし」が、自分の半生を回顧している。その時々の自身の心情はそれほど書かれておらず、起きたことが淡々と述べられる。多少ドラマチックな内容もあるが、人々が粛々と生き、死へ近づく姿を、冷静に起伏なく表現しようとしたのではないか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】ほほえみ/川崎洋 ○
「ビールには技豆」のように、セットになるような、対になるようなものを、いくつも並べている詩。日本的な、日本ならではのセットが多いだろうか。ただ、最後の組み合わせは、「ほほえみ には ほほえみ」と対ではなく、同じものを重ねていた。これについては、万国共通の感覚になるだろう。

【論考】歴史/池田晶子 ◎
言葉の端々で、理解できていない部分もあると思うが、「君は今の君ではなく、他の誰かでもあり得た」「だからこそ、君は、他の誰かであることができる」といった箇所がとても気になった。また、「歴史とは、真偽を求めるものではなく、想像するものだ」という文も重要だと思う。可馬遼太郎にも、つながるかもしれない。


子が生まれたときの喜び【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0093】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】苦しみの殿堂/ルシア・ベルリン △
一回しか読まなかったせいか、固有名詞や北米文化に関する言葉が多かったせいか、状況を端的に表現する文体のせいか、内容があまり入ってこなかった。読み手である自分の状態もよくなかったのだろうけど。なので、短編小説の中身に関するコメントはあまりできない。これが彼女の文体だと理解しつつも、もう少し分かりやすく書いてくれるとうれしいのだが。

【詩・俳句・短歌・歌詞】森の若葉/金子光晴 ○
孫むすめが生まれた喜びを詠んだ詩。作者に喜びがあるから、読むだけで自然と明るい気持ちになる。自分の子供たちが生まれた時のことを思い出した。成長とともに、良いことばかりでなく悩みも出てくるが、誕生したばかりの時は、明るい未来を信じられていたと思う。

【論考】勉学/池田晶子 ◎
「考えるということは、必ず、自分のこととして考えるということだ」という文が印象に残った。勉強も、無理やり学ばされていると思うのではなく、自分に関係していることとして学べば、ヨイのだろう。そうした意味で哲学は、人間の根本、本質、普遍性について問い、思考するからこそ、自分は楽しく感じるのだと思った。


家族に歴史アリ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0092】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】喪の仕事/ルシア・ベルリン ◎
人が亡くなり、残された家族と家、片づけをする掃除掃の物語。語り手である掃除場の「わたし」という現在の視点と、残された子供たちのこれまでの経緯が交錯する感じが、リアリティーを醸し出す。家族には、小さくでも歴史があるのだなあと改めて思い出され、切ない気持ちになった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】夕方の三十分/黒田三郎 ◎
恐らく父子家庭の夕方の一コマ。詩は夕食の用意から始まるが、段々と混乱をきたしてくる。そして、父と娘は小競り合いを起こし、食事をとることで平穏になっていく。我が家だともう少し登場人物が多くなるものの、どの家庭にも見られる風景ではないだろうか。視点が自分たらと同じ高さなのがヨイ。

【論考】意見/池田晶子 ◎
「君は、意見なんてものをもつべきではない」と筆者はいう。私たちがすべきは、誰にとっても正しい、本当の考えを自分で考えて知ることだけだとも語る。改めて言われてみると、その通りだと納得するのではあるが、日々の生活ではほとんどそうできていないことを反省する。私たちが持つべきは意見ではなく、(正しい)考えなのだ。


あなたとしずかにむかいあいたい【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0091】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】マカダム/ルシア・ベルリン ○
題名のマカダムは、フランス語で砕石という意味のようだ。ただ、小説を読むだけでは、全く想像もできず、検索してやっと分かった。小説自体もわずか1ぺージちょっとなので、詩に近い印象。ストーリーというよりも、砕石のイメージやそれにまつわる風景が書かれていた。

【詩・俳句・短歌・歌詞】ふゆのさくら/新川和江 ○
全編、ひらがなだけで構成されているため、まずとても読みづらく、理解しづらかった。「わたくしもあなたもえいえんのわらべで」という部分を意識してのことなのだろうか。「あなたとしずかにむかいあいたい」の箇所が、個人的には好印象であった。

【論考】性別/池田晶子 ◎
男性と女性の違いは、肉体の違いにすぎないと言い切り、人間として本質的な問いの前に男か女かは全く関待ないと指摘する。そうした意味でフェニミズム的な文脈も、相対的なこととしている。「人間はみな自由だ。不自由なのは、必ず自分のせいなんだ」という文が、心に残った。