【短編小説】分かれる道ノトルーマン、カポーティ
ティムの十ドルがなくなる(十ドルは現在の換算でいうと、20~30万円くらいか)。一緒にいるジェイクが取ったのか。物語は、ジェイクが最行の握手の際に、十ドルを渡すことで幕を閉じる。事実は分からない。ジェイクは脅かしただけなのか、餞別として自分の金て渡したのか。それぞれの行動と想いが錯綜している様子が、短い文章の中に凝縮していた。
【詩・俳句・短歌・歌詞】なのだソング/井上ひさし
文末がすべて「のだ」なので、リズミカルだし、ユーモラスな感じも出ている。ただ、それぞれ断言されているものの、作者のメッセージや意図が見えないため、読み終って「だから何?」と思てしまった。残念ながら、アイデアありきの詩に読めてしまった。
【論考】至福の世界について/森本哲郎
「子供だけが持ち得る純粋な世界が、ほんのわずかな時期だけ許される至福の世界だ」という筆者の主張に、私自身は賛同できない。自身の経験的にも違っているし、子供だけが純粋無垢だとは思いわない。至福は純粋さによってもたらされることもあれば、そうでないこともあるだろう。少し定型的すぎる考えではないか。