とにかく書いてみる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0125】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】法則/宮内悠介 △
推理小説家、ヴァン・ダインの二十則に乗っ取った創作物。劇中劇というか、テレビの中のテレビというか。推理小説を書く上でのガイドラインに従って、 登場人物が死ななかったりする。何じゃそりゃという感じで、ストーリーの中に人々の息づかいや、人が生きていることの遠近感がないように思う。

【詩・俳句・短歌・歌詞】諸国の天女/永瀬清子 △
何度も読んだが、言葉から像を描けないまま終わってしまう。市井の女性についての詩なのだろうかと思ってはみたものの、比ゆ的な表現で、私には何もイメージが浮かばないため、自分の中を通り過ぎていってしまう。いつしか諸国の天女も老いてしまうということしか理解できなかった。

【論考】とにかく書いてみる/外山滋比古 ○
頭の中で考えていても、全くまとまらず、言葉が出てこないことがある。今はパソコンなどがあるので、書き直しも簡単だから、とにかく書いてみるということもあるだろう。しかし、手書きだとやや躊躇する。失敗すると大変だし、頭に具体的な言葉が浮かばないと、筆は遅々として進まない。それを乗り越えなければならない、と今万年筆で書いていて、心からそう思っている。


ブッダ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#099】


【4月8日】ブッダ:前463.4.8~前383.2.15

いかなる生物生類であっても、怯えているものでも強剛なものでも、悉く、長いものでも、大きなものでも、中くらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、粗大なものでも、目に見えるものでも、見えないものでも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、すでに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは、幸せであれ。

『ブッダのことば(スッタニパータ)』中村元訳、岩波文庫、1984年

【アタクシ的メモ】
最後の「一切の生きとし生けるものは、幸せであれ」という通り、人間だけを特別視することなく、命あるものすべてに平等な視線を投げかけるのが素晴らしいと思う。


自分なりの価値のものさしを持つ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0124】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ヴァンテアン/藤井太洋 ○
言語は明瞭であるが、科学的な知識が足りず、何がどうなっているのか、何がすごくて、すごくないのかなど、分からないまま終わってしまった。ページ数の少ない短編小説で、ノーベル賞級の発見をしてしまうのは、何だか安易な設定に思えてしまう。この辺りのギャップの作り方が、SFの難しさなのかもしれない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】レモン哀歌/高村光太郎 ○
作者、高村光太郎の妻である智恵子に、死が迫ってきた瞬間などを切り取った詩のようだ。レモンによって瀬戸ぎわから舞い戻ってくる様子が見られ、哀歌とはいうものの、悲しみだけに満ちているわけではないように感じた。人は必ず死に、自分で寿命を決められるわけではないのである。その理は、決して哀しいことではないだろう。

【論考】すてる/外山滋比古 ○
情報を整理して、捨てよと主張しているのだが、40年近く前に提言している点をよく考えてみると、その時代において卓越した見解ではなかったか。価値のものさしがはっきりしないまま整理しないよう、指摘していることにも着目したい。現在風に言えば、「ときめくか、ときめかないか」ということになるのだろうか。


法然【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#098】


【4月7日】法然:1133.4.7~1212.1.25

念仏を信ぜん人は、たとひ一代の法を能々学すとも、一文不知の愚鈍の身になして、尼入道の無智のともがらに同して、智者のふるまいをせずして、只一かうに念仏すべし。(「一枚起請文」)

『法然 一遍』大橋俊雄校注(『日本思想体系』10、岩波書店、1971年

【アタクシ的メモ】
かなり乱暴に要約すると、「経典で仏法を学んだとしても、自身の愚かさを自覚し、一心に念仏を唱えなさい」ということか。少しソクラテスの「無知の知」に似ている気もする。


いかにうまく忘れるか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0123】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】人生リングアウト/樋口毅宏 ○
文章のテンポもよく、短編ながら登場人物のそれぞれの物語を織り交ぜ、小気味よく読ませてもらった。一方で、怪我の表現がさらっと言葉だけという印象もあり、リアリティーを感じられなかったと思う。それでも、私自身はプロレス好きなので、感情移入をしないで読むのは難しかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】乳母車/三好達治 ○
何度か読んで、詩の全体像がイメージできなかったというか、伝えたいメッセージが浮かび上がらなかった。ネットで調べてみると、作者の代表的な抒情詩で、幼かないころ離れて暮らした母親への慕情を詠んだと書いている人がいた。そうなのかもしれないと思いつつ、あまり納得できていない自分がいた。

【論考】時の試練/外山滋比古 ○
例えば文学作品など、その瞬間の評価だけでなく、時の試練を経ないと、本物かどうかは分からないし、古典とはなり得ないという。それはまさにその通りだと思う。逆から言うと、100年前、200年前の人の言葉や考えが、今の誰かに届き心を動かしたとしたら、それは奇跡だと言ってヨイだろう。ただ、筆者の主張は、「思者の整理とは、いかにうまく忘れるか」だそうだ。


ジェームズ・ワトソン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#097】


【4月6日】ジェームズ・ワトソン:1928.4.6~

冷え切った、ほとんど暖房のきいていない汽車の客室で、私はB型の模様について覚えていることを新聞のすみの余白に書きとめた。それからケンブリッジへ向かってガタガタと走る汽車の振動に身をまかせながら、二本鎖と三本鎖のどちらが正しいか考えてみた。……自転車でカレッジへ帰り、裏門をのり越えるころには、私の腹は決まっていた。二本鎖で模型を組み立ててみよう。フランシスも賛成してくれるにちがいない。

『二重らせん』江上不二夫・中村桂子訳、講談社文庫、1986年

【アタクシ的メモ】
DNAの二重らせんモデルが、まさに誕生するシーンを引用しているので、生物学や医学の歴史としては貴重ではあろうが、なぜ三本鎖ではなく、二本鎖になったのか、理論的、科学的な考察が書かれていなので、そこは残念である。


30年間変わらないこと【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0122】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ブリオッシュのある静物/原田マハ ○
原田さんらしい作品なのかもしれない。芸術品を通じて祖母と娘、祖母の友人とのやり取りを描いている。ただ、割と簡単に医者になったりするのが、何とも安易な感じがしてしまう。自由自在に生きている人のストーリーに見えて、ちょっと共感しづらいのだ。作品も名前を出すだけの感じで、感情移入できない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】妻/大木実 ◎
30年間暮らしてきた妻に対する愛情を伝える詩。同性としては、やや気恥ずかしさも感じるが、自分の本音をそのまま語っているようで、とても清々しい。ただ、配偶者だけでなく、家族に対して、同じ気持ちを持ち続けるのは、実際は至業の業。20年に満たぬ自分は、どうやって暮らしてきたのだろうとも思ってしまった。

【論考】忘却のさまざま/外山滋比古 ○
「ひとつことに、こだわっていると、かえってできるものまで、できなくなってしまう」ということで、様々な忘れ方や頭の切り替え方を解説している。実践的な内容ばかりであるが、忘れることは十分条件でしかなく、必要条件とは言えないのではないか。手法に乗っ取っても、上手くいかないこともあるだろう。


ホッブス【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#096】


【4月5日】ホッブス:1588.4.5~1679.12.4

第一に、私は、全人類の一般的性向として、つぎからつぎへと力をもとめ、死においてのみ消滅する、永久の、やすむことのない意欲を挙げる。そして、このことの原因は、かならずしもつねに、人が、すでに取得したよりも強度のよろこびを希望するとか、ほどよい力に満足できないとかいうことではなくて、かれが現在もっている、よく生きるための力と手段を確保しうるためには、それ以上を獲得しなければならないからなのである。

『リヴァイアサン』(1)、水田洋訳、岩波文庫、1992年

【アタクシ的メモ】
人間の成長欲求というか、場合によっては、人間における資本主義的な意欲の際限のなさを表現しているのだろうか。


目に見えないことの憂鬱【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0121】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ウエノモノ/羽田圭介 ○
結論だけ言ってしまうと、リアルなつき合いは、相性があってもあわなくても、相手の感じ方に変化を与えるということか。正直、途中のエピソードの多くに、必然性を感じなかったが、最後の結末だけは、とても納得できた。一方で、実生活で私は下の階の方から直接、騒音を指摘されているのだが、顔を見ていてもほとんど納得していないし、仲違いのまま。小説のようにはならないのだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】男について/滝口雅子 △
自分は自身の性である男性を誇る気持ちはないけれど、「男は」という大きな主語で表現、規定されるのは、正直とても気分が悪かった。「女が自分のものだと/なっとくしたいために」という一節もあるが、こんなことを私は考えたこともなく、濡れ衣を着せられているようにしか思えないのである。

【論考】整理/外山滋比古 ○
自分が年齢を重ねて、忘れることが恐くなった。生活が上手くいかなくなりそうだし、人に対して不義理を働きそうだからだ。しかし、筆者は「頭をよく働かせるには、この“忘れる”ことがきわめて大切である」という。忘れることで、頭が爆発せず、整理できるのだそうだ。


モーツァルト【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#095】


【4月4日】モーツァルト:1756.1.27~1791.12.5

死は(厳密に考えて)われわれの一生の真の最終目的なのですから、私は数年この方、人間のこの真の最善の友としてとても親しくなって、その姿が私にとってもう何の恐ろしいものでもなくなり、むしろ多くの安らぎと慰めを与えるものとなっています! そして、神さまが私に、死がわれわれの真の幸福の鍵だと知る機会を(私の申すことがお分かりになりますね)幸いにも恵んで下さったことを、ありがたいと思っています。私は、(まだこんなに若いのですが)もしかしたら明日はもうこの世にいないのではないかと、考えずに床につくことは一度もありません。(1787年4月4日付、父宛書簡)

『モーツァルトの手紙』(下)、柴田治三郎編訳、岩波文庫、1980年

【アタクシ的メモ】
人が生きて死ぬことは必然である。とは言え、モーツァルトが若いころから、それを強く意識していたことに少し驚いた。死を身近に考えていたことが、音楽の創作活動にどのような影響があったのが、気になるところである。