ホフマン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#024】


【1月24日】ホフマン:1776.1.24~1822.6.25

そのとき、けだかい美しさと気品を備えたゼルペンティーが寺院の奥からすがたを現す。彼女は黄金の壺をたずさえている。その壺から美しい百合の花が一輪咲き出ている。かぎりないあこがれが言い知れぬほどの歓喜となって、彼女のやさしいひとみにもえている。こうして彼女はアンゼルムスをじっと見つめて、口をひらいた――「ああ、いとしいかた! 百合が花を開きましたわ――最上の願いが達せられました。わたしたちのしあわせに比べられるようなしあわせがこの世にあるでしょうか」

『黄金の壺』神品芳夫訳、岩波文庫、1974年

【アタクシ的メモ】
百合の花が咲くことが、最上の願いであり、それがしあわせだという。ささやかな事柄でも大いに喜べるのか、それとも、これまでの何らかの経緯で、強い願いになっていたのだろうか。