【短編小説】月の光/星新一
十五歳の少女と、言葉なくペットとして暮らす話し。状況に賛同できるわけでもないし、またそれがなり立つわけもないと思うしかなかった。この本(『ボッコちャん』)は何度が読んでいるはずだが、違和感を初めて抱くのは、今読んだからだろうか。情緒的な終わり方をしているが、後味はあまりよくないのである。
【詩・俳句・短歌・歌詞】落葉/ポール・ヴェレーヌ
落葉と言っているくらいだから、もの哀しい作品だと思う。ただ言葉が少ないせいか、翻訳のせいか、胸にぐっと来ないのが残念である。とはいっても、トーンや愛囲気は伝わってくるから、不思義にも感じる。
【論考】存在について/森本哲郎
ハイデッガーに直接会っているということに驚いた。それを題材に、存在と無に切り込んでいくのは、心地ヨイ試みである。「人びとは、日常のおしゃべりの中で自分を忘れている」というのは、矮小なようで、もっともな指摘に思う。