あの場所から遠く離れて:君となら/松たか子(2009)【CD千本ノック 0113本目】


松たか子さんについて、ヨイ女優だとは思っていたものの、歌い手という印象は持っていなかった。ただ、小田和正さんが毎年年末に主催している「クリスマスの約束」というライブ・イベントをテレビ放映で見ていて、歌を歌う彼女に直面した。

正直、シンガーとして一級品のプロだとは思わない。でも、切迫感があるというか、何だか気になる歌声になっていた。どの年だったか記憶はあいまいなのだが、その「クリスマスの約束」で「500マイル」という曲をカバーしていたのも印象深い。

どうやら原曲は、ピーター・ポール&マリー(Peter, Paul and Mary)の「500miles」で、日本語への訳は、あの忌野清志郎は手がけたものらしい。

“汽車の窓に 映った夢よ
帰りたい心 抑えて
抑えて 抑えて 抑えて 抑えて
悲しくなるのを 抑えて”

こんな歌詞を聴くとと、過去に馴染みの場所を離れたときのことを思いだされる(アタクシ自身は親が転勤族だったこともあり、いわゆる地元や故郷と呼べる土地はないのだが…)。決して未来に確信があるわけではないが、新たな場所に可能性をかける、ここではない土地で再起を目指そうとしていたときのことを。

なので、この『君となら』は松たか子さんの「500マイル」を、もう一度聴きたくて買ったのである。「500マイル」については、国内でも多くのアーティストがカバーしているようなので、彼女のバージョンだけにこだわらず、一度聴いてもらいたい。

君となら/松たか子(2009)
1. 君となら
2. きっと伝えて
3. 500マイル
4. 君となら (instrumental)
5. きっと伝えて (instrumental)

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半世紀近く前に奏でられた穏やかで美しき歌:Bryter Layter/Nick Drake(1970)【CD千本ノック 0112本目】


初めて聴いたときから、どこか懐かしさを感じるCDで不思議な印象だった。実際に一部の曲を、どこかで聴いていたのかもしれない。ただ、明確に聴いたと言えるのは、リマスター版を購入した2000年以降である(ただ買った時期もあいまいなので、iTunesの登録時期を見ると明言できるのは2006年以降になる)。

そんなこともあり、いつ買ったのか、どうして買ったのか、ほとんど明確でないのが正直なところ。気づいたら家にあって、ヘビーローテーションしているアルバム、アーティストというのが実態である。このように入り口は、かなりあいまいで恥ずかしいのだけれど、ニック・ドレイクはアタクシにとって偉大なスターなのだ。

今回紹介する『ブライター・レイター』は、彼のセカンド・アルバム。ケンブリッジ大学を中退して制作した作品であるが、当時のセールスは1万5000枚とほとんど売れなかったようだ。お世辞にも派手で、ポップな曲が満載というわけではない。どれも地味だと言ってしまったら、確かにその通りなのだ。

だが発売当初、どうしてそれほどリスナーに注目されなかったのかを、振り返って推し測るのは容易ではないと思う。それくらい、美しい調べ、印象深い歌が多いのである。ボーカルのない1曲目「Introduction」なんかでも、その良さは色褪せないのだ。

誰もが知っているポップなアーティストではないし、音源としても50年近く経っているが、知らなかった、聴いたことがなかったという方には、試しに聴いて欲しいものである。

Bryter Layter/Nick Drake(1970)
1. Introduction
2. Hazy Jane II
3. At The Chime Of A City Clock
4. One Of These Things First
5. Hazey Jane I
6. Bryter Layter
7. Fly
8. Poor Boy
9. Northern Sky
10. Sunday

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バンドとしてオーラス前のアルバム:共鳴/チャットモンチー(2015)【CD千本ノック 0111本目】


2018年中に解散することを発表しているチャットモンチー。本人たちの表現に従えば、「完結」することになるらしい。そしてこの『共鳴』は、現時点で彼女たちにとって最も新しいオリジナル・アルバムになる。

なお、間もなくの解散をにらんでか、2018年3月には初のトリビュート・アルバム『CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~』がリリースされたし、2018年6月27日には『誕生』と題したラスト・アルバムの発売も予定されている。解散と言っても、湿っぽい感じとは程遠いようだ。

前作『変身』から2人編成のバンドになって、音楽性も随分と変わったと感じていたが、この『共鳴』ではさらにその変化が顕著だと思う。バンド・サウンドはすっかり後退しており、Jポップ・アルバムといった方がヨイだろう。

率直に言って、チャットモンチーのロック・サウンド、3ピースの織り成す音楽が好きだったアタクシにとっては、聴きやすいアルバムではない。気がつけば、購入時に1回聴いたきりになっていたくらいだ。

ただ、セルフ・プロデュースで制作されたアルバムだから、彼女たちにとって最も鳴らしたい音を鳴らしたと考えるべきだと思う。既存のファンも基本的に好意的に受け止めている。アタクシ個人としては最終アルバム『誕生』で、どんな音を聴かせてくれるのか期待したい。

共鳴/チャットモンチー(2015)
1. きみがその気なら
2. こころとあたま
3. ぜんぶカン
4. 隣の女
5. 毒の花
6. 私が証
7. 楽園天国
8. 最後の果実
9. 例えば、
10. いたちごっこ
11. ときめき
12. ドライブ

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タイトルは手巻きタバコ用巻紙の印刷「残り5枚」に由来:Five Leaves Left/Nick Drake(1969)【CD千本ノック 0110本目】


ニック・ドレイク(Nick Drake)は、1948年6月19日生まれのイギリス人シンガーソングライター。父親の仕事の関係で、生まれ自体はビルマ(現ミャンマー)だそう。アタクシ的には自分の誕生日と同じなのが、何だかとてもうれしいのである。本当に好きなアーティストだから。

彼は、このファースト・アルバム『ファイブ・リーヴス・レフト』を含め、『ブライター・レイター(Bryter Layter)』、『ピンク・ムーン(Pink Moon)』と3枚のアルバムを残している。生前は商業的成功に恵まれず、その死後に評価が高まった。

今こうして彼の音楽を堪能している身からすると、あまり信じられないのだが、発表当時の反応は周囲や専門家を除き、ほとんど芳しいものではなかったのだ。彼が亡くなったのは26歳。抗鬱薬の過剰摂取が原因である。

アタクシが初めてニック・ドレイクを聴いたのは、恐らくリマスター版CDが出た2000年以降だったと思う。発表から30年以上の時を経て聴くと、サウンド自体に古さを感じた。それでも、穏やかな旋律、歌声はグッと心に染みわたり、掛け替えのない音楽としてアタクシの中に定着したのである。そして、不思議なくらい懐かしさも感じた。

ニック・ドレイクが再評価されたのは1980年代以降。ドリーム・アカデミーやブラック・クロウズのリッチ・ロビンソン、ポール・ウェラーといったミュージシャンたちが、ニックからの影響を公言しているようである。もし生前にちゃんと評価されていたら、彼が創り出した音楽をもっと聴けたかもしれない。遅れて来たファンとしては、彼が残した3枚の素晴らしいアルバムを聴けることに感謝しつつも、どうしても生前の評価が残念でならないのだ。

Five Leaves Left/Nick Drake(1969)
1. Time Has Told Me
2. River Man
3. Three Hours
4. Way To Blue
5. Day Is Done
6. Cello Song
7. The Thoughts Of Mary Jane
8. Man In A Shed
9. Fruit Tree
10. Saturday Sun

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ジャケットは過激だが、ポップなオルタナティブ・アルバム:Green Mind/Dinosaur Jr【CD千本ノック 0109本目】


10歳に満たないように見える女の子が、口にタバコをくわえて立っている。よく見ると煙は出ていないものの、今だったらこのジャケットだけで物議を醸しそう。

ただアタクシは、初めて見たとき格好ヨイ写真だなと思ってしまって、それ以上の思いは抱かなかった。実際に、「オルタナ史上屈指の最高ジャケット」などと言われているくらい、インパクトがあるし、評判もヨイのである。

そんなジャケットのおかげだけでなく、『グリーン・マインド』は、ダイナソーJrの代表作と言ってヨイだろう。ちょっとやる気のないヘロヘロなヴォーカルにジャキジャキとノイジーなギター、ドライブ感のあるドラムが特徴である。

彼らの音楽は、オルタナティブ・ロックに分類されると思うが、少なくともこのアルバムはポップさが一番の売りになっていると思う。ほとんどすべてのパートを、バンドリーダーであるJ・マスシス(最近はMascisを「マスキス」と表記する場合が多い)一人が担当しているようだ。

オルタナティブ・ロック好きにとっては、ある意味定番の必聴アルバム。ニルヴァーナなんかと比べてしまうと、カリスマ性なんかは感じないものの、今聴いても古びていない。まだ聴いたことがない方は、ポップさを堪能するためにも、気軽な気持ちで聴いてはどうだろうか。

Green Mind/Dinosaur Jr(1991)
1. The Wagon
2. Puke + Cry
3. Blowing It
4. I Live For That Look
5. Flying Cloud
6. How’d You Pin That One On Me
7. Water
8. Muck
9. Thumb
10. Green Mind

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「祗園精舎の鐘の声」なのかもしれない:Notorious/Duran Duran【CD千本ノック 0108本目】


アタクシ自身、デュラン・デュランというと、初期の『リオ』や『セヴン&ザ・ラグド・タイガー』、ライブ盤の『アリーナ』なんかの印象は強い。きっとアルバム・セールスも、この辺りのCDが最もよかったのではないだろうか。

そのちょっと後にリリースされた『デュラン・デュラン(ザ・ウェディング・アルバム)』も、あまり目立たず、華々しさはないかもしれないが、結構な名盤だと思っている。

でも、アタクシ的にデュラン・デュランのアルバムというと、『ノトーリアス』が最初に思い付いてしまう。「ノ、ノ、ノトーリアス♪」という、リード・シングルでもある「ノトーリアス」の歌い出しが、頭にこびりついているからだ。

「ノトーリアス(notorious)」は、「悪名高い、名うての」といった意味。脱退したメンバーに対する揶揄を、この曲に込めたようである。当時のデュラン・デュランは、パワーステーションとアーケイディアに分かれて音楽活動をした後で、バンド内の関係性もバランスが崩れていたのだ。

ただ、曲自体はロックに、ダンスの要素も入ったある意味軽快なサウンドで、発売当時などこればかり聴いていた。もうちょっと正しく言えば、このアルバムを聴いて1曲目の「ノトーリアス」で大いに盛り上がり、その後の曲は、流して聴いていた(彼らには申し訳ないが)。なので、ほかの曲は記憶の彼方に行ってしまっていた。

改めてこのアルバムを聴くと、頭の中のイメージよりも小粒な作品に感じてしまった。「ノトーリアス」もそれなりに興奮できるものの、現在の音楽と比べてしまうと、かなりおとなしい音だったと感じる。聴き手であるアタクシも変化しているし、音楽シーンも様変わりしているので、諸行無常、盛者必衰なのかもしれない。

Notorious/Duran Duran(1986)
1. Notorious
2. American Science
3. Skin Trade
4. A Matter Of Feeling
5. Hold Me
6. Vertigo (Do The Demolition)
7. So Misled
8. Meet El Presidente
9. Winter Marches On
10. Proposition

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わけのわかる食卓vol.2「私立珈琲小学校さんに聞く、珈琲の世界」でコーヒーのあれこれを知る


多分コーヒーは、一年365日欠かさず飲んでいます。蘊蓄を語れるほど詳しいわけではないですが、好みのコーヒー豆を飲みたい、淹れたてを飲みたいと思うので、毎朝だったり、休日の昼食後だったり、自分でドリップしてコーヒーを淹れています。

ただ、そうやって自分流に消費しているばかりだと、コーヒーについて詳しく知る機会はななかな訪れません。そんなときに目にしたのが、わけのわかる食卓vol.2「私立珈琲小学校さんに聞く、珈琲の世界」というイベント。自分の会社のビルで行われるという気軽さも手伝って、階段をトントントンと降りて参加してみました。

講師は、私立珈琲小学校の吉田先生です。早速、美味しいコーヒーの淹れ方から習いました。ポイントは2点あり、「はかる」と「むら

す」。「はかる」は、量と時間について。豆の重さが15gだったら、仕上がりの重さ200g(お湯の量ではなく、出来上がりの量なのでお湯は235gになるそう)を目安に、3分くらいかけて入れるのがヨイそうです。ただ、この量と時間は豆によっても違ってくるので、これを基準にして、あれこれ調整するのが大事になるのでしょう。

もう一つの「むらす」は、コーヒー豆に満遍なく90度くらいのお湯をかけて、30秒程度蒸らすのを忘れないこと。苦みが強そうなときは、お湯の温度を80度くらいにするとヨイそうで、ある種の化学反応を理解したうえで、自分の好みの味、今飲みたい味に近づけるのが大切だと教えてもらいました。

そのほか、コーヒーブームの経緯や豆のグレードの違い、産地による特徴など、実際に自分たちでもドリップしながら、コーヒーについて学ぶ90分間でした。

特に印象に残ったのは、現在の第三次コーヒーブーム、サードウェーブについてです。豆の種類や産地だけでなく、どこの誰が、どのように提供しているのかまで把握したうえで、コーヒーを飲む時代になっていること。消費するというよりも、生産から提供までコーヒーにかかわる人たちの活動に賛同して、信任投票する感じになっているのだとか。

最後は、イベントを主催し、会場にもなっているtiny peace kitchenのスペシャルメニューのディナーでした。コーヒーに合う食事ということで、純喫茶をイメージしてカツサンド、ナポリタン、ポテトサラダを用意いただきました。カツサンドがボリューミーで食べきれるかなと思ったものの、フワフワパンで気づいたら完食していました。満腹ふとるです。

デザートは、tiny peace kitchen特製の豆腐アイスに、吉田先生が淹れてくれたエスプレッソをかけるという贅沢なアフォガード。上品なアイスの甘みとエスプレッソのコクが絶妙なバランスで、ディナーは最初から最後まで大変美味しくいただけました。やはり満腹ふとるです。ごちそうさまでした。


「あーあーあーあー…」という旋律だけで哀しい:Be My Last/宇多田ヒカル【CD千本ノック 0107本目】


今では珍しいことではないが、この曲の音源リリースはデジタルが先行しており、CDは1〜2週間遅れて発売されるスケジュールになっていたと記憶している。

アタクシはCDで発売されるものに関しては、基本CDで購入しようと思っていたので、「ビー・マイ・ラスト」を視聴して、すご〜くこの曲が気に入ったのだが、しばらくCD購入を待たなければならず、一人悶絶していたのだ。

「今回だけは、デジタル音源を先に買ってしまおうか?」と、何度も自分に問いかけた。もし今だったら二重購入になっても、すぐに買っていたかもしれないが、その時はデジタル音源を買うことにひどく心理的なハードルが高かったのである。

このようにアタクシは、宇多田ヒカルのたった一曲にたどり着くまで、ある意味無駄に待ったのであるが、この「ビー・マイ・ラスト」はそれだけの価値がある曲だった。

宇多田ヒカル本人のコメントに従えば、「Be My Lastは再生とか繰り返しとか、何かが始まって、それが育った時点でまた壊してとか、人生はそれの繰り返しで、それが辛いから終わってほしいなあっていう気持ちを中心にした歌詞」で構成されているようだ。

歌の冒頭でも「母さんどうして/育てたものまで/自分で壊さなきゃならない日がくるの?」と語られる通り、避けられない挫折に直面する人間の悲哀を、実に抒情的に歌っている。

もう「あーあーあーあー…」と旋律を歌う部分だけでも、哀しみがあふれてしまう。だからこそ、このCDは待ったかいがあったし、手に入れてからはもう何度もリピートして聴いてしまったのである。

Be My Last/宇多田ヒカル(2005)
1. Be My Last

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温故楽新:Human’s Lib/Howard Jones【CD千本ノック 0106本目】


ややあいまいな記憶だが、初めての洋楽体験はビートルズだったと思う。少し歳の離れたいとこのお兄さんがいすゞの117クーペに乗っていて、その車の中でビートルズのカセットテープを聴いたのだ。オリジナル・アルバムとかではなく、ビートルズ・ベスト的なテープで、今思えば海賊盤だったのかもしれない。

それからしばらく経って、思春期になって聴き始めたのが、デュラン・デュランやワム!、ハワード・ジョーンズだ。その時も、自分でアーティストを見つけてというよりも、同級生のクラスメイトに教えてもらって聴くようになった。当時は、友人のテープをダビングしたり、レンタル・レコード店(!)でレコードを借りてテープに録音して聴いていた(懐かしい…)。

なかでもハワード・ジョーンズは、アタクシたちの内輪で人気が高かったと記憶している。今ではシンセサイザーもありふれた音になってしまったが、その頃だと最新の音楽手法だったこともあり、かなりイケてるサウンドに思っていたのだ(カラフルな髪形は、当時からややダサいと思っていた)。

ただ、最新音楽を奏でていたハワード・ジョーンズも、気がつくとあまり聴かなくなっていた。意図的に離れていった覚えはないので、彼自身の活動が段々少なくなったのかもしれないし、アタクシが割と正統派ロックに傾倒していったからかもしれない。

それから数十年経った今、アタクシは渋谷のタワーレコードに行くと、例えばロック、ポップスのフロアにある棚を「A」から順に「Z」まで、CDを物色することがある。すると「ああ、お久しブリーフ!」と懐かしさあふれるアルバムに出会ったりする。この『かくれんぼ(Human’s Lib)』も、そんな一枚であった。

改めて「ニュー・ソング」や「ホワット・イズ・ラヴ」を聴くと、消えかかった当時の感覚が薄っすらと思い出されてくる。一方で、こうしたヒット・ソングを今体験しても、ちゃんと聴きごたえがあるというか、十分に楽しめると感じる。故きを温ねて新しさを楽しんでいるのではないだろうか。

もちろん現在に、ハワード・ジョーンズの音楽が大復活を期待しているわけではない。それでも、たまにこうした過去の流行歌、ヒット曲を聴くのは、アタクシの音楽体験を新しく、豊かにしてくれるように思うのだ。

Human’s Lib/Howard Jones(1984)
1. Conditioning
2. What Is Love?
3. Pearl In The Shell
4. Hide And Seek
5. Hunt The Self
6. New Song
7. Don’t Always Look At The Rain
8. Equality
9. Natural
10. Human’s Lib
11. China Dance

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バンド自身の成長が、自らのサイズを拡大させていく:人間開花/RADWIMP【CD千本ノック 0105本目】


ラッドウィンプスのアルバムは、なぜか『アルトコロニーの定理』と『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』の2枚を持っていた。手元にある深い理由もなかったし、正直それほど頻繁には聴いてもいなかった。たまに気が向くとCDを聴くバンドという位置づけである。

そんな彼らが「前前前世」で、あれよあれよと言う間にメジャーになっていった。「僕は人間じゃないんです ほんとうにごめんなさい」と歌う「棒人間」も、すごくインパクトがある。TVドラマの主題歌にもなったから、アタクシの子どもも、この曲を知っているほどだ。

何だかバンドのサイズが、急速に膨張していくような感じがあって、2017年のフジロックのライブ映像を見ても(アタクシは苗場に行っていたが、子ども連れで全くライブは見られなかった…無念)、スケール感があり広いグリーンステージの隅々までちゃんと音楽を届けている。

そんなバンドの成長や変化を感じていたからこそ、ラッドウィンプスの今の姿、実態を知りたいと思って、この『人間開花』を聴いたのだ。

彼らの大きな特徴である独特な言葉づかい、節回しは、これまで通り健在。一方で、以前のアルバムときちんと比べたわけではないが、野田洋次郎のボーカルはより深さを増しているように思う。

注目を集めた曲は、ほかの曲と比べるとやや突き抜け感が大きいものの、これまでの音楽性がご破算になったわけではない。やはり、従来の延長線上に彼らが求める音楽のゴールがあるのだろう。それを、突き詰めていく彼らの今後に期待したい。

人間開花/RADWIMPS(2016)
1. Lights go out
2. 光
3. AADAAKOODAA
4. トアルハルノヒ
5. 前前前世 [original ver.]
6. ‘I’ Novel
7. アメノヒニキク
8. 週刊少年ジャンプ
9. 棒人間
10. 記号として
11. ヒトボシ
12. スパークル [original ver.]
13. Bring me the morning
14. O & O
15. 告白

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