「少年A」とは私たちのことだ:Kid A/Radiohead(2000)【CD千本ノック 0001本目】


レディオヘッド(Radiohead)にとって、4枚目のオリジナルアルバム。個人的な好みではあるが、レディオヘッドで一番好きなアルバムは5枚目の「Hail to the Thief」だ。この作品が2003年に発表されたとき、彼らは「Kid A」から着実に進化し、「より優れたアルバムを世に送り出した」と感じた。

しかし、あれから10年以上経ってみると、レディオヘッドやロック全体にとっても、引き返せないような大きな転換点になったのは、「Kid A」だと思っている。このアルバムによって、すべてが変わってしまった。ロック史上、最も衝撃的で、最も大変革をもたらしたアルバムではないだろうか。

CDが発売されて初めて聴いて感じたのは、「ギターロックバンドがギターを弾くのを放棄し、全く予想だにしなかったような音楽を提示された。ただ、その電子音こそが自分たちが、たった今感じている不安や虚無を言い当てている」ということ。自分たちでは思いつかなかったものの、当時、日々生きている中で真に求めていた欲求を、レディオヘッドが音像にまとめ上げ、見事に突きつけたのだろう。

発売当時に書かれたライナーノーツによれば、「キッドA」という言葉は、「もはやどこでも生まれているはずの“世界最初のクローン人間”を示唆した」ものだそうだ。2018年時点、医学的な意味で、まだクローン人間は生まれていない。それでも、改めてアルバムを聴いていると、「君たちこそがキッドAではないのか?」と、問われているように思えてならないのである。

Kid A/Radiohead(2000)
1.Everything In Its Right Place
2.Kid A
3.The National Anthem
4.How To Disappear Completely
5.Treefingers
6.Optimistic
7.In Limbo
8.Idioteque
9.Morning Bell
10.Motion Picture Soundtrack

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