「日本の朝食」が歌う亡き母のための鎮魂歌:Psychopomp/Japanese Breakfast【CD千本ノック 0039本目】


「日本の朝食」というアーティスト名とジャケットに惹かれて購入した。アジア人と思われる女性2人のやや古ぼけた写真がとにかく印象に残った。アタクシにも理由はよくわからない。そんな魅入られ方をしたこともあり、買う前に視聴したりせず、音はわからないままである。大丈夫なのかー。

ジャパニーズ・ブレックファストは、フィラデルフィアで結成されたインディ・ロック・バンド、リトル・ビッグ・リーグのボーカリストであるミシェル・ザウナーによるソロ・プロジェクトだそう。

とにかくサウンドに関する事前情報は何もなく、その音に耳を傾ける。自分勝手に想像していたよりは、ポップな印象だ。それでも歌声はとてもエモーショナル。そして、なぜだか少し懐かしい感じがする。ジャケット写真にイメージを引っ張られているだけかもしれないが、何か郷愁のような感覚が沸き上がってきた。

聞けば、ジャケット写真の女性は彼女の母親で、このアルバムを制作する少し前に病気で亡くなっていた。タイトルの『サイコポンプ』は、心理学者のカール・ユングの著書に登場する「死者の魂を霊界に導く道案内人」を意味するという。つまりこのアルバムは、亡き母に捧げられた、ミシェル・ザウナーによる鎮魂歌だったのだ。

既にジャパニーズ・ブレックファストとして、セカンド・アルバム『ソフト・サウンズ・フロム・アナザー・プラネット(Soft Sounds from Another Planet)』もリリースしている。こちらと聴き比べると、ファーストの『サイコポンプ』はとてもメランコリックなアルバムだったことがわかる。もし「日本の朝食」に興味を持ってもらえたとしたら、どちらも完食してみてはどうだろう。

Psychopomp/Japanese Breakfast(2016)
1. In Heaven
2. The Woman That Loves You
3. Rugged Country
4. Everybody Wants to Love You
5. Psychopomp
6. Jane Cum
7. Heft
8. Moon on the Bath
9. Triple 7

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