ケンドリック・ラマーを聴いたのは、rockin’onで猛プッシュしていたから、そしてこの『DAMN.』を手の取ったのは、凄いアルバムだよと各方面から聞いたため。結構、長い物には巻かれる性格というか、世間でヨイと言われているものは、一応試してみるのだ。
『DAMN.』を聴く前に、既にリリースされていた『Good Kid, M.A.A.D City』『To Pimp a Butterfly』『Untitled Unmastered』を聴いていたが、ピンと来こないなぁというのが、アタクシのケンドリック・ラマー評。ザックリなのにバッサリな判断で、恐縮してしまう。
なので、このアルバムがいくら話題になっていても、半信半疑で聴き始めたし、聴いたばかりの頃は、そんなにヨイとは思わなかった。「これまで同様、パッとしないアルバムかな」と感じていたのが、正直なところである。
それでも、激プッシュしているWebサイトの記事なんかを改めて見かけて、再度聴いているうちに、段々と癖になってきた。言葉では説明しづらいのだが、何だか“現在の音”がなっているし、だからこそ“今”聴くべきだと感じるようになったのである。
例えば1曲目の内容は(アタクシ、英語はできないので、解説記事などによると)、探し物をする盲目の女性に手を貸そうとして、「何か失くされましたか?」と問いかけると、「失くしたのは、あなたの命よ」と言われ、銃声が響く――、という感じだ。歌われるストーリーは不条理だし、銃を撃ったのは誰で、誰に対してなのかは言及されず、謎めいている。
また、タイトルになっている「damn」という言葉は、かなり行儀のよくないスラングだそうで、「くそっ!」「ちくしょう!」を意味するらしいが、もともとは「~を永遠に罰する、地獄に落とす」という意味だという。英語知らないせいかもしれないが、『DAMN.』というタイトル名にも深い含意があるように思えてならない。
実際『DAMN.』は、ジャーナリズムや文学、作曲などについて、アメリカで最も権威のある賞と言われるピューリッツァー賞の音楽部門を受賞した。ヒップホップ作品やラッパーとしての受賞は史上初の快挙。ピューリッツァー運営委員会は、「現代のアフリカ系アメリカ人の生活の複雑さを見事に捉えた名曲集」だと評価しているそうだ。
日本に暮らしていると、“現代のアフリカ系アメリカ人の生活の複雑さ”というのは、勝手に想像するしかないのだが、やはり現在性が圧倒的だからこそ、ピューリッツァー賞をという栄誉に輝いたのだろう。
DAMN./Kendrick Lamar(2017)
1. BLOOD.
2. DNA.
3. YAH.
4. ELEMENT.
5. FEEL.
6. LOYALTY.
7. PRIDE.
8. HUMBLE.
9. LUST.
10. LOVE.
11. XXX.
12. FEAR.
13. GOD.
14. DUCKWORTH.
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