ポスト・ダブステップの寵児は、革命的な音楽を鳴らしている?:James Blake/James Blake【CD千本ノック 0073本目】


ジェイムス・ブレイクはポスト・ダブステップの寵児だ(とのこと)。アタクシ、音楽ジャンルに疎く、苦手意識しかないのだが、「ダブステップ」を調べてみると、Wikipediaには「1999年にイギリスのロンドンで誕生した強くリバーブのかかったドラムを用いた2ステップの総称」と 書かれている。「リバーブ」とは残響効果であり、「2ステップ」はリズムにおけるノリのポイントが2種類存在していること(のようだ)。

こう書いている本人が、ダブステップに対して理解不足のまま話しを進めてしまうが、そのダブステップの「ポスト=次」に当たるのが、ジェイムス・ブレイクが鳴らすサウンドなのである。

実際に、初めてジェイムス・ブレイクのデビュー・アルバム『ジェイムス・ブレイク』を聴いた時は、これまで全く聴いたことがないサウンドに相当困惑してしまった(自分がよく把握できていない音楽の次であり、未来なのだから、当然ではあるのだが…)。

そんな“未知との遭遇”ではあったものの、彼のサウンドが不思議と耳に残ったというか、体験として心地よかったのである。

音楽における勝利の方程式をすべて解体するように、静かなビート、ダークな浮遊感、物悲しい歌声、優しい孤独感、デジタルな包容力など、これまでほとんど表現されていなかった要素が、一体になった曲が淡々と進んでいく。それは、革命的な音楽が穏やかに鳴り始めているようにも聴こえた。

James Blake/James Blake(2011)
1. Tep And The Logic
2. Unluck
3. The Wilhelm Scream
4. I Never Learnt To Share
5. Lindisfarne I
6. Lindisfarne II
7. Limit To Your Love
8. Give Me My Month
9. To Care (Like You)
10. Why Don’t You Call Me
11. I Mind
12. Measurements
13. You Know Your Youth

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穏やかな人柄を聴かせるロック:Let It Come Down/James Iha【CD千本ノック 0072本目】


このアルバムがリリースされた時は、ある意味衝撃的だった。あのスマッシング・パンプキンズのギタリスト(当時)が出すソロ・アルバムだから、きっと過激な音になるのだろうと思っていたら、予想に反してとても穏やかで、ピースフルなロックが鳴っていた。「えー、意外!」と、多くの人が感じたのではないだろうか。

ライナーノーツにある発売当時の本人へのインタビューでは、次のようなに言っている。「ただひたすら、すべての曲をストレートに、メロディアスに、正直に、ダイレクトに、って心掛けたんだ」。

実際にどの曲も、非常にソフトでまろやかなメロディー、サウンドにあふれている。ジェームス・イハという一人のシンガー・ソングライターが、飾ることなく、等身大の自分を表現したアルバムなのだ。

激しいロック・サウンドを期待したリスナーには、淡々としすぎに感じるだろうし、ジェームス・イハのボーカルも率直に言って上手いわけではない。一言で表現すれば地味なアルバムである。でも、取り立ててナニと言えない感じ、その普通さが、このアルバムの一番の聴きどころだと思っている。

彼自身が投影されたサウンドは、聴いていて落ち着くし、ホッとする。アタクシたちは、ジェームス・イハの穏やかな人柄を聴いて、喜んでいるのかもしれない。人柄で聴かせるアルバムって、あるようでなかなかないものだ。だからこそ、アタクシがこの珍しいCDを何度も聴き続けているのだと思う。

Let It Come Down/James Iha(1998)
1. Be Strong Now
2. Sound Of Love
3. Beauty
4. See The Sun
5. Country Girl
6. Jealousy
7. Lover, Lover
8. Silver String
9. Winter
10. One And Two
11. No One’s Gonna Hurt You
12. My Advice
13. Take Care
14. Falling

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カバーすることで、また別の名曲が生まれる:Fake Book/大橋トリオ【CD千本ノック 0071本目】


『フェイク・ブック』は、大橋トリオが宇多田ヒカル、海援隊、マイケル・ジャクソンの楽曲を歌ったカバー・アルバム。アタクシ的には、彼のアルバムとして初めて購入したCDになる。

もともと大橋トリオの名前は知っていたが、運悪くきちんとその音楽を聴けずにいた。ところが、ある時、ネット上で「贈る言葉」の動画をYouTubeで見かけ、印象的な映像含め一目惚れして、このアルバムにたどり着いたのである。

「贈る言葉」といえば、テレビで「金八先生」を見ていた者からすれば、もう何度も聴いていて、武田鉄矢のイメージが刷り込まれている。これまで、あの曲を仮にカバーしても、オリジナルを超えた印象を与えられる人はいなかった。

だが、大橋トリオはゆるりと、彼なりのアプローチで全く別の曲のようにしてしまった。しかも、歌い上げるわけでもないのに、歌詞の中にある一つひとつの言葉が、オリジナルよりもビビットに聴こえてくる。海援隊の歌からは感じ取れなかった、新たな魅力を引き出しているのだ。

この『フェイク・ブック』はカバー・アルバムではあるが、ある意味、大橋トリオのオリジナル・アルバムと言っても過言ではないだろう。それくらい、あまたの名曲を再解釈し、大橋トリオ自身の音楽に塗り替えてしまっている。

Fake Book/大橋トリオ(2010)
1. Dancing In The Moonlight
2. treaveling
3. 贈る言葉
4. HUMAN NATURE
5. I’m Yours
6. Greapefruit Moon
7. Dreames
8. 突然の贈り物

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過去に暮らした場所が「故郷」になるまでの道のり:わが美しき故郷よ/畠山美由紀【CD千本ノック 0070本目】


畠山美由紀さんの『わが美しき故郷よ』は、2011年の12月にリリースされた5thアルバム。ソロデビュー10周年の節目でもあったが、彼女は気仙沼出身で、同年3月に起きた東日本大震災がこのアルバムを出す大きな動機付けになっている。

あの「3.11」からちょうど7年経って、改めて聴き直してみると、彼女の詩や歌声にひどく心を揺さぶられた。「わが美しき故郷よ -朗読-」は、たまたま電車に乗りながら聴いていたのだが、自然と涙が出てきて、周りの人たちに、泣き顔を見られないようにしなければならなかった。

畠山美由紀さんはとても好きなボーカリストで、ほとんどのCDを購入し、愛聴している。だからこの『わが美しき故郷よ』も、リリースされて割とすぐに手に入れていた。

ただ、その当時はしっくりこなくて、あまり好きになれなかった。1~2度聴いただけで、少し距離のあるアルバムになり、ほとんど手に取らなくなってしまったのだ。震災の傷跡が深刻で、歌が過去を懐かしむだけの絵空事のように聴こえたのかもしれない。

今回、2018年3月11日を迎えるに当たり、意を決してもう一度聴いてみると、あの時の感じ方とは随分と変化していた。

彼女が気仙沼を振り返りながら書いた詩や、故郷を強く思った歌声を、落ち着いて聴いてみると、単に畠山美由紀さんの思い出が吐露されているだけではないことに気づいた。誰しもが抱く郷愁の大切さ、ふるさとを思うことのかけがえのさなど、普遍的なメッセージが浮かび上がってきたのである。

「わが美しき故郷よ -朗読-」には、こんな一説がある。

すべての希望が断たれた人々
全身全霊で助け合わなくてはいけないのだ
そのために生かされている
この世はずっとそうだったんだ
遅い 遅い いつでも遅すぎる
こんなことになるまでそれをわからなかったわたしの愚かさを
どうかお許し下さい

「この世はずっとそうだった」のなら、アタクシ自身もわかるのに6年以上も時間がかかってしまったことになる。やはり「いつでも遅すぎる」のだ。

わが美しき故郷よ/畠山美由紀(2011)
1. その町の名前は
2. 風の吹くまま
3. What A Wonderful World
4. Moon River
5. わが美しき故郷よ -朗読-
6. わが美しき故郷よ
7. 教えて、ママ
8. Over The Rainbow
9. 浜辺の歌
10. 花の夜舟
11. Untitled
12. ふるさと

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「マドンナ」という記号が生まれた原点のアルバム:Like A Virgin/Madonna【CD千本ノック 0069本目】


マドンナのセカンド・アルバムにして、大出世作。アタクシ的には、ちょうど洋楽をちゃんと聴き始めたころのリリースで、チャートや音楽番組を席巻していたのを目の当たりにした。なので、個人的にも記憶に残っているCDである。

全世界の売り上げでも、2100万枚を記録しているようで、メガヒットCDと言えるだろう。この成功後も皆さんご存知の通り、マドンナは時代の風を読んで、あるいは自ら風をくって、今でも現役バリバリのアーティストとして活動している。

そのサバイブ力、現役力は、もちろんスゴイことではあるが、例えばApple Musicにおけるマドンナのトップソングを見てみると、『ライク・ア・ヴァージン』に収録されている「マテリアル・ガール」や「ライク・ア・ヴァージン」がランキングの上位にきている。そうした意味でこのCDは、ポップ史に残るアルバムだと言えるではないだろうか。

ただ、今現在に聴き直してみると、やや80年代らしさというか、懐メロ感もなくはないだろう。こうした感覚は、ポップ・アルバムの宿命であるのかもしれないが、ビートルズやローリング・ストーンズがほとんど古びていかないのと少々違っているように思う。

さらに5年、10年の時間を経たときに、マドンナや『ライク・ア・ヴァージン』というアルバムが、どのように聴こえるのか楽しみである。

Like A Virgin/Madonna(1984)
1. Material Girl
2. Angel
3. Like A Virgin
4. Over And Over
5. Love Don’t Live Here Anymore
6. Dress You Up
7. Shoo-Bee-Doo
8. Pretender
9. Stay
10. Like A Virgin (Extended Dance Remix)
11. Material Girl (Extended Dance Remix)

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徳島出身の女性3人が響かせるオルタナティブ・ロック:耳鳴り/チャットモンチー【CD千本ノック 0068本目】


『耳鳴り』は、前作『chatmonchy has come』に続く、チャットモンチーのメジャーデビュー後2枚目のCD。初のフルアルバムであり、こちらがファースト・アルバムになるようだ。

ライナーノートの最後に載っていた彼女たちの写真を見ると、地方で就職した新人OLの休日のようにしか見えないものの、音はすっかり一級品。バンドとしては初期ではあるが、橋本絵莉子、福岡晃子、高橋久美子の3人がロック・サウンドを爆発させている。ファースト・アルバムで既に強いオーラを放っていると思う。

4曲目「ハナノユメ」では、「薄い紙で指を切って/赤い赤い血が滲む/これっぽっちの刃で痛い痛い指の先」と歌う。CDの中ではとても印象的に響くが、詞の世界観は日々の生活だったり、自分たちの手が届くことが中心。サウンドの感触は全然違うものの、女性のバンドということもあってふと少年ナイフを思い出した。

また、最終曲の「ひとりだけ」をはじめ、オルタナティブ・ロック的な音が随所に聴かれる。アタクシ的にもとても好みのサウンドであるし、日本のガールズ・ロックバンドという範疇で考えると、異例のサウンドプロダクションではないだろうか。プロデューサーであるいしわたり淳治(元SUPERCAR)の影響なのかもしれない。

耳鳴り/チャットモンチー(2006)
1. 東京ハチミツオーケストラ
2. さよならGood bye
3. ウィークエンドのまぼろし
4. ハナノユメ (ALBUM Mix)
5. どなる、でんわ、どしゃぶり
6. 一等星になれなかった君へ
7. おとぎの国の君
8. 恋の煙(ALBUM Mix)
9. 恋愛スピリッツ
10. 終わりなきBGM
11. プラズマ
12. メッセージ
13. ひとりだけ

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高校の交換留学生として小田原に住んでいた世界三大ギタリスト:Where The Light Is Live In Los Angeles/John Mayer【CD千本ノック 0067本目】


アタクシが今勤めている会社は、オフィスの一部をスペース貸しをしていて、そのフロアは基本的にいつも音楽が流れている。なぜだかジョン・メイヤーが多い。どうやら担当者の趣味で選曲されているようだ。それにしても彼の音楽は、嫌みはないし、心地よいサウンドなのである。

この『ウェア・ザ・ライト・イズ・ライブ・イン・ロサンゼルス』は、今から約10年前、ジョン・メイヤーの活動を総括するようなアルバムとしてリリースされた。そうした意味では、当時のベスト盤的な内容で、彼のキャリアを振り返るような網羅性もある。

ジョン・メイヤーは現代の三大ギタリストの1人にも挙げられているので(ちなみに、ほかの2人は、ジョン・フルシアンテとデレク・トラックス)、やはり聴きどころはギターだろう。何とも艶がある音色で、自然と引き込まれ、聴き入ってしまうのだ。

もちろん、歌声もヨイ。声量があるというよりも、少しかすれた感じで、味がある歌い方をする。この辺りは、ブルースにも造詣が深いからではないだろうか。

先のBGMではないが、結構多くの人が知らな間に、ジョン・メイヤーの音楽を聴いているのかもしれない。それでも、まだ未体験という方には、このアルバムはおススメ。彼のサウンドに初めて触れるのに最適な一枚だと思う。

Where The Light Is Live In Los Angeles/John Mayer(2008)
【Disc 1】
1. Neon
2. Stop This Train
3. In Your Atmosphere
4. Daughters
5. Free Fallin’
6. Everyday I Have The Blues
7. Wait Until Tomorrow
8. Who Did You Think I Was
9. Come When I Call
10. Good Love Is On The Way
11. Out Of My Mind
12. Vultures
13. Bold As Love
【Disc 2】
1. Waiting On The World To Change
2. Slow Dancing In A Burning Room
3. Why Georgia
4. The Heart Of Life
5. I Don’t Need No Doctor
6. Gravity
7. I Don’t Trust Myself (With Loving You)
8. Belief
9. I’m Gonna Find Another You
10. No Such Thing

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フランス発の「最終列車」に乗り遅れるな:Weathering/Last Train【CD千本ノック 0066本目】


ラスト・トレインは、フランス東部に位置するミュールズ出身の4人組バンド。ボーカル、ギター、ベース、ドラムスという、超オーソドックスな編成である。だからというわけでもないだろうが、彼らが鳴らす音も、超王道なロックンロール・サウンドだ。

ライナーノーツなどでは、その音楽性について、ブラック・レーベル・モーターサイクル・クラブやザ・ストロークス、ザ・リバティーンズの系統と説明されている。アタクシ自身は、このアルバムを聴いていてジェットを少し思い出した。

『ウェザリング』は、彼らにとってデビューアルバムになる。2017年にはサマーソニック出演のために初来日しているものの、まだまだ日本における認知度は高くないだろう。アタクシも、このCDをタワーレコードで見かけるまで、全く知らずにいたバンドである。

未知のバンドではあったが、視聴したりせずに、『ウェザリング』のジャケットを見ただけで購入に至った。正真正銘のジャケ買いである。楽器を演奏する後姿、モノクロ写真からあふれでる雰囲気に一目ぼれしてしまったのだ。このイカした写真で、音が悪かったら仕方がないと覚悟して買ったのである。

ただ、実際にアルバムを聴いてみると、青臭いくらい真っ直ぐなロックンロール・サウンドが響き、音楽に対する純粋で、熱い思いも感じられた。ややポップさには欠けるのだろうが、アタクシとしては、久々に周りの人にも紹介したいニューカマーだと思った。

本当ならアルバムを通して聴いてもらいたところだが、オフィシャルページに動画が掲載されていたので、以下にいくつか紹介する。ジャケットだけでは信じられないよという方は、まずは動画で体験してもらいたい。

Weathering/Last Train(2017)
1. Dropped By The Doves
2. Never Seen The Light
3. Jane
4. Between Wounds
5. Golden Songs
6. Fire
7. Way Out
8. House On The Moon
9. Sunday Morning Son
10. Time
11. Cold Fever
12. Weathering
13. Leaving You Now
14. Fragile

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「猶予期間は誰にでもある、無罪だ」ということらしい:無罪モラトリアム/椎名林檎【CD千本ノック 0065本目】


ノストラダムスの大予言によれば「恐怖の大王」が空から来ると言われていた1999年。その年にリリースされたのが、椎名林檎の『無罪モラトリアム』だ。世を儚んだ世紀末から、もう20年近く過ぎていることになる。

『無罪モラトリアム』は、彼女にとってデビューアルバム。今このタイミングで改めて聴いても、全然古びていないし、椎名林檎の初期衝動がパンパンに詰まっているように感じた。好き嫌いにすぎないが、彼女の作品の中で一番ヨイCDではなないだろうか。少なくともアタクシには、最も印象に残っているアルバムだ。

椎名林檎を知ったのは、サードシングルの「ここでキスして。」だったと記憶している。CDがスマッシュヒットして、「カウントダウンTV」で見たのが初めてだと思う。見たといっても10秒程度だったはずだが、「必ずこの人の音楽をチェックしなきゃ」と一発で覚えてしまった。

当時はまだまだJポップというか、日本の音楽シーンが元気な頃で、CDなんかもよく売れていたのだが、アタクシが聴きたいと思うサウンド、アーティストにあまり出会えないでいた。

国内でよく売れているCD、アーティストなんかも、自分の守備範囲とはやや離れていたので、彼女の音楽を聴いて、「そうそう、こんなロックが聴きたかったんだよな」と溜飲を下げたのである。

今ではオリンピック関連のサウンドも手がけ、ある意味日本を代表する音楽家になっている椎名林檎。年々進化を遂げ、日々洗練されてきたのであろう。もちろん、その仕事ぶりに不満があるわけではない。

それでも、彼女の原点ともいえる無罪モラトリアム的な音楽、女性らしいチャーミングさとべらんめいな巻き舌が同居するボーカルや、何かを叩きつけるような、まだ角が取れていないロック・サウンドを、またいつか聴いてみたいなと勝手に期待してしまうのだ。

無罪モラトリアム/椎名林檎(1999)
1. 正しい街
2. 歌舞伎町の女王
3. 丸の内サディスティック
4. 幸福論(悦楽編)
5. 茜さす 帰路照らされど…
6. シドと白昼夢
7. 積木遊び
8. ここでキスして。
9. 同じ夜
10. 警告
11. モルヒネ

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17歳の絶頂期を経て、今もギターを弾き続ける:Pictures For Pleasure/Charlie Sexton【CD千本ノック 0064本目】


今から30年以上前の1985年、チャーリー・セクストンが17歳の時にリリースしたファースト・アルバムが、『ピクチャーズ・フォー・プレジャー』である。セールス的には全米15位にとどまるものの、その当時は、日本を含めロック・アーティストとして評価されるだけでなく、アイドル的な人気を誇っていた。

確か若手の中でも、ある意味で超早熟な音楽性の高さが認められ、ロック界に現れた希望の星という感じだったし、そのスタイルやルックスのよさから、女性からキャーキャー言われていた。

もちろんアタクシも、その頃、彼のアルバムを聴いたがピンと来なかった。ロックの今後を担うアーティストやアルバムには思えなかったのが正直なところだ。決して、女子にモテているのを妬んだわけではない。

なので、最近までCDなどの音源も手元になかった。実力が伴わず人気先行というイメージを持ったまま、ずっと彼の音楽に触れずに過ごしてきたことになる。

ただ、数年前に紙ジャケ仕様のリマスター盤が出ていて、たまたまCD屋で見かけて、改めて聴いてみようと思った。いけ好かない印象よりも、懐かしさが勝ったのだろう。30年も経てば、聴く方も変わるのだ。

実際に『ピクチャーズ・フォー・プレジャー』を聴いてみると、「ビーツ・ソー・ロンリー」くらいしか聴き覚えがなかったが、当時聴いたのとはまた別の感覚も持った。周囲の評判やあの頃の喧騒がないせいか、フラットな気持ちで聴けて、普通のロックCDに聴こえた。アルバムの中にいた若くて嫌な感じのイケメンは消えてしまった。都合がヨイ年寄りだ。

チャーリー・セクストンというと、このアルバムくらいしか記憶にない。だが今も現役で、最近ではボブ・ディランのバックバンドでギターを弾いたりしているそうだ。きっとギタリストとして、生涯ロックを鳴らし続けていくのだろう。

Pictures For Pleasure/Charlie Sexton(1985)
1. Impressed
2. Beat’s So Lonely
3. Restless
4. Hold Me
5. Pictures For Pleasure
6. Tell Me
7. Attractions
8. You Don’t Belong Here
9. Space
10. Impressed (Extended Dance Remix)

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