40年間不変のバンドが見せた最初の変わり身:Achtung Baby/U2【CD千本ノック 0036本目】


この『アクトン・ベイビー』を初めて聴いたとき、「あれれ、あれれ」と思った。U2が変節してしまったうえに、駄作をリリースしたと感じたのである。

前々作の『ヨシュア・トゥリー』は、アタクシにとってロック・アルバムの金字塔。特に1980年代後半ころ、誠実で信頼に値するロックを鳴らしているのは彼らだけだと、勝手に思い込んでいたからなおさらだ。

実際にこのアルバムでは、従来の硬派なロック・サウンドから大きく変化して、打ち込みも利用したダンス・ビートを取り入れた音楽に様変わりしていた。今聴くと、かなり大人しい変化にも感じられなくもないが、当時においては激変でしかなく、別バンドのアルバムに聴こえたくらいである。

なので、発売当初はあまり聴いていないと思うし、正直嫌いなアルバムであった。でもいつのころからか、「ワン」や「ザ・フライ」「恋は盲目(Love Is Blindness)」なんかを、曲単位で聴くようになっていって、気づくとアルバム全体が好きになっていた。

そして、もし今「U2で一番おススメのアルバムは?」と聞かれたら、『アクトン・ベイビー』を挙げるかもしれない。ロック的なアプローチとダンス・ミュージックの配分が絶妙だと思うからだ。

U2は、1980年のデビューから現在に至るまで解散していないだけでなく、オリジナル・メンバーの脱退や変更もなく、40年近く4人でずっと活動してきた。そうした意味では、「不変のバンド」である。

一方で、先に述べたように、音楽性はその時々によって180度変わることも厭わない、「変化を先取りするバンド」でもある。『アクトン・ベイビー』は、そのU2にとっても、最初の大変革を成し遂げた記念すべきアルバムなのかもしれない。

Achtung Baby/U2(1991)
1. Zoo Station
2. Even Better Than The Real Thing
3. One
4. Until The End Of The World
5. Who’s Gonna Ride Your Wild Horses
6. So Cruel
7. The Fly
8. Mysterious Ways
9. Tryin’ to Throw Your Arms Around the World
10. Acrobat
11. Love Is Blindness

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