ジャケットは過激だが、ポップなオルタナティブ・アルバム:Green Mind/Dinosaur Jr【CD千本ノック 0109本目】


10歳に満たないように見える女の子が、口にタバコをくわえて立っている。よく見ると煙は出ていないものの、今だったらこのジャケットだけで物議を醸しそう。

ただアタクシは、初めて見たとき格好ヨイ写真だなと思ってしまって、それ以上の思いは抱かなかった。実際に、「オルタナ史上屈指の最高ジャケット」などと言われているくらい、インパクトがあるし、評判もヨイのである。

そんなジャケットのおかげだけでなく、『グリーン・マインド』は、ダイナソーJrの代表作と言ってヨイだろう。ちょっとやる気のないヘロヘロなヴォーカルにジャキジャキとノイジーなギター、ドライブ感のあるドラムが特徴である。

彼らの音楽は、オルタナティブ・ロックに分類されると思うが、少なくともこのアルバムはポップさが一番の売りになっていると思う。ほとんどすべてのパートを、バンドリーダーであるJ・マスシス(最近はMascisを「マスキス」と表記する場合が多い)一人が担当しているようだ。

オルタナティブ・ロック好きにとっては、ある意味定番の必聴アルバム。ニルヴァーナなんかと比べてしまうと、カリスマ性なんかは感じないものの、今聴いても古びていない。まだ聴いたことがない方は、ポップさを堪能するためにも、気軽な気持ちで聴いてはどうだろうか。

Green Mind/Dinosaur Jr(1991)
1. The Wagon
2. Puke + Cry
3. Blowing It
4. I Live For That Look
5. Flying Cloud
6. How’d You Pin That One On Me
7. Water
8. Muck
9. Thumb
10. Green Mind

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「祗園精舎の鐘の声」なのかもしれない:Notorious/Duran Duran【CD千本ノック 0108本目】


アタクシ自身、デュラン・デュランというと、初期の『リオ』や『セヴン&ザ・ラグド・タイガー』、ライブ盤の『アリーナ』なんかの印象は強い。きっとアルバム・セールスも、この辺りのCDが最もよかったのではないだろうか。

そのちょっと後にリリースされた『デュラン・デュラン(ザ・ウェディング・アルバム)』も、あまり目立たず、華々しさはないかもしれないが、結構な名盤だと思っている。

でも、アタクシ的にデュラン・デュランのアルバムというと、『ノトーリアス』が最初に思い付いてしまう。「ノ、ノ、ノトーリアス♪」という、リード・シングルでもある「ノトーリアス」の歌い出しが、頭にこびりついているからだ。

「ノトーリアス(notorious)」は、「悪名高い、名うての」といった意味。脱退したメンバーに対する揶揄を、この曲に込めたようである。当時のデュラン・デュランは、パワーステーションとアーケイディアに分かれて音楽活動をした後で、バンド内の関係性もバランスが崩れていたのだ。

ただ、曲自体はロックに、ダンスの要素も入ったある意味軽快なサウンドで、発売当時などこればかり聴いていた。もうちょっと正しく言えば、このアルバムを聴いて1曲目の「ノトーリアス」で大いに盛り上がり、その後の曲は、流して聴いていた(彼らには申し訳ないが)。なので、ほかの曲は記憶の彼方に行ってしまっていた。

改めてこのアルバムを聴くと、頭の中のイメージよりも小粒な作品に感じてしまった。「ノトーリアス」もそれなりに興奮できるものの、現在の音楽と比べてしまうと、かなりおとなしい音だったと感じる。聴き手であるアタクシも変化しているし、音楽シーンも様変わりしているので、諸行無常、盛者必衰なのかもしれない。

Notorious/Duran Duran(1986)
1. Notorious
2. American Science
3. Skin Trade
4. A Matter Of Feeling
5. Hold Me
6. Vertigo (Do The Demolition)
7. So Misled
8. Meet El Presidente
9. Winter Marches On
10. Proposition

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わけのわかる食卓vol.2「私立珈琲小学校さんに聞く、珈琲の世界」でコーヒーのあれこれを知る


多分コーヒーは、一年365日欠かさず飲んでいます。蘊蓄を語れるほど詳しいわけではないですが、好みのコーヒー豆を飲みたい、淹れたてを飲みたいと思うので、毎朝だったり、休日の昼食後だったり、自分でドリップしてコーヒーを淹れています。

ただ、そうやって自分流に消費しているばかりだと、コーヒーについて詳しく知る機会はななかな訪れません。そんなときに目にしたのが、わけのわかる食卓vol.2「私立珈琲小学校さんに聞く、珈琲の世界」というイベント。自分の会社のビルで行われるという気軽さも手伝って、階段をトントントンと降りて参加してみました。

講師は、私立珈琲小学校の吉田先生です。早速、美味しいコーヒーの淹れ方から習いました。ポイントは2点あり、「はかる」と「むら

す」。「はかる」は、量と時間について。豆の重さが15gだったら、仕上がりの重さ200g(お湯の量ではなく、出来上がりの量なのでお湯は235gになるそう)を目安に、3分くらいかけて入れるのがヨイそうです。ただ、この量と時間は豆によっても違ってくるので、これを基準にして、あれこれ調整するのが大事になるのでしょう。

もう一つの「むらす」は、コーヒー豆に満遍なく90度くらいのお湯をかけて、30秒程度蒸らすのを忘れないこと。苦みが強そうなときは、お湯の温度を80度くらいにするとヨイそうで、ある種の化学反応を理解したうえで、自分の好みの味、今飲みたい味に近づけるのが大切だと教えてもらいました。

そのほか、コーヒーブームの経緯や豆のグレードの違い、産地による特徴など、実際に自分たちでもドリップしながら、コーヒーについて学ぶ90分間でした。

特に印象に残ったのは、現在の第三次コーヒーブーム、サードウェーブについてです。豆の種類や産地だけでなく、どこの誰が、どのように提供しているのかまで把握したうえで、コーヒーを飲む時代になっていること。消費するというよりも、生産から提供までコーヒーにかかわる人たちの活動に賛同して、信任投票する感じになっているのだとか。

最後は、イベントを主催し、会場にもなっているtiny peace kitchenのスペシャルメニューのディナーでした。コーヒーに合う食事ということで、純喫茶をイメージしてカツサンド、ナポリタン、ポテトサラダを用意いただきました。カツサンドがボリューミーで食べきれるかなと思ったものの、フワフワパンで気づいたら完食していました。満腹ふとるです。

デザートは、tiny peace kitchen特製の豆腐アイスに、吉田先生が淹れてくれたエスプレッソをかけるという贅沢なアフォガード。上品なアイスの甘みとエスプレッソのコクが絶妙なバランスで、ディナーは最初から最後まで大変美味しくいただけました。やはり満腹ふとるです。ごちそうさまでした。


「あーあーあーあー…」という旋律だけで哀しい:Be My Last/宇多田ヒカル【CD千本ノック 0107本目】


今では珍しいことではないが、この曲の音源リリースはデジタルが先行しており、CDは1〜2週間遅れて発売されるスケジュールになっていたと記憶している。

アタクシはCDで発売されるものに関しては、基本CDで購入しようと思っていたので、「ビー・マイ・ラスト」を視聴して、すご〜くこの曲が気に入ったのだが、しばらくCD購入を待たなければならず、一人悶絶していたのだ。

「今回だけは、デジタル音源を先に買ってしまおうか?」と、何度も自分に問いかけた。もし今だったら二重購入になっても、すぐに買っていたかもしれないが、その時はデジタル音源を買うことにひどく心理的なハードルが高かったのである。

このようにアタクシは、宇多田ヒカルのたった一曲にたどり着くまで、ある意味無駄に待ったのであるが、この「ビー・マイ・ラスト」はそれだけの価値がある曲だった。

宇多田ヒカル本人のコメントに従えば、「Be My Lastは再生とか繰り返しとか、何かが始まって、それが育った時点でまた壊してとか、人生はそれの繰り返しで、それが辛いから終わってほしいなあっていう気持ちを中心にした歌詞」で構成されているようだ。

歌の冒頭でも「母さんどうして/育てたものまで/自分で壊さなきゃならない日がくるの?」と語られる通り、避けられない挫折に直面する人間の悲哀を、実に抒情的に歌っている。

もう「あーあーあーあー…」と旋律を歌う部分だけでも、哀しみがあふれてしまう。だからこそ、このCDは待ったかいがあったし、手に入れてからはもう何度もリピートして聴いてしまったのである。

Be My Last/宇多田ヒカル(2005)
1. Be My Last

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温故楽新:Human’s Lib/Howard Jones【CD千本ノック 0106本目】


ややあいまいな記憶だが、初めての洋楽体験はビートルズだったと思う。少し歳の離れたいとこのお兄さんがいすゞの117クーペに乗っていて、その車の中でビートルズのカセットテープを聴いたのだ。オリジナル・アルバムとかではなく、ビートルズ・ベスト的なテープで、今思えば海賊盤だったのかもしれない。

それからしばらく経って、思春期になって聴き始めたのが、デュラン・デュランやワム!、ハワード・ジョーンズだ。その時も、自分でアーティストを見つけてというよりも、同級生のクラスメイトに教えてもらって聴くようになった。当時は、友人のテープをダビングしたり、レンタル・レコード店(!)でレコードを借りてテープに録音して聴いていた(懐かしい…)。

なかでもハワード・ジョーンズは、アタクシたちの内輪で人気が高かったと記憶している。今ではシンセサイザーもありふれた音になってしまったが、その頃だと最新の音楽手法だったこともあり、かなりイケてるサウンドに思っていたのだ(カラフルな髪形は、当時からややダサいと思っていた)。

ただ、最新音楽を奏でていたハワード・ジョーンズも、気がつくとあまり聴かなくなっていた。意図的に離れていった覚えはないので、彼自身の活動が段々少なくなったのかもしれないし、アタクシが割と正統派ロックに傾倒していったからかもしれない。

それから数十年経った今、アタクシは渋谷のタワーレコードに行くと、例えばロック、ポップスのフロアにある棚を「A」から順に「Z」まで、CDを物色することがある。すると「ああ、お久しブリーフ!」と懐かしさあふれるアルバムに出会ったりする。この『かくれんぼ(Human’s Lib)』も、そんな一枚であった。

改めて「ニュー・ソング」や「ホワット・イズ・ラヴ」を聴くと、消えかかった当時の感覚が薄っすらと思い出されてくる。一方で、こうしたヒット・ソングを今体験しても、ちゃんと聴きごたえがあるというか、十分に楽しめると感じる。故きを温ねて新しさを楽しんでいるのではないだろうか。

もちろん現在に、ハワード・ジョーンズの音楽が大復活を期待しているわけではない。それでも、たまにこうした過去の流行歌、ヒット曲を聴くのは、アタクシの音楽体験を新しく、豊かにしてくれるように思うのだ。

Human’s Lib/Howard Jones(1984)
1. Conditioning
2. What Is Love?
3. Pearl In The Shell
4. Hide And Seek
5. Hunt The Self
6. New Song
7. Don’t Always Look At The Rain
8. Equality
9. Natural
10. Human’s Lib
11. China Dance

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バンド自身の成長が、自らのサイズを拡大させていく:人間開花/RADWIMP【CD千本ノック 0105本目】


ラッドウィンプスのアルバムは、なぜか『アルトコロニーの定理』と『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』の2枚を持っていた。手元にある深い理由もなかったし、正直それほど頻繁には聴いてもいなかった。たまに気が向くとCDを聴くバンドという位置づけである。

そんな彼らが「前前前世」で、あれよあれよと言う間にメジャーになっていった。「僕は人間じゃないんです ほんとうにごめんなさい」と歌う「棒人間」も、すごくインパクトがある。TVドラマの主題歌にもなったから、アタクシの子どもも、この曲を知っているほどだ。

何だかバンドのサイズが、急速に膨張していくような感じがあって、2017年のフジロックのライブ映像を見ても(アタクシは苗場に行っていたが、子ども連れで全くライブは見られなかった…無念)、スケール感があり広いグリーンステージの隅々までちゃんと音楽を届けている。

そんなバンドの成長や変化を感じていたからこそ、ラッドウィンプスの今の姿、実態を知りたいと思って、この『人間開花』を聴いたのだ。

彼らの大きな特徴である独特な言葉づかい、節回しは、これまで通り健在。一方で、以前のアルバムときちんと比べたわけではないが、野田洋次郎のボーカルはより深さを増しているように思う。

注目を集めた曲は、ほかの曲と比べるとやや突き抜け感が大きいものの、これまでの音楽性がご破算になったわけではない。やはり、従来の延長線上に彼らが求める音楽のゴールがあるのだろう。それを、突き詰めていく彼らの今後に期待したい。

人間開花/RADWIMPS(2016)
1. Lights go out
2. 光
3. AADAAKOODAA
4. トアルハルノヒ
5. 前前前世 [original ver.]
6. ‘I’ Novel
7. アメノヒニキク
8. 週刊少年ジャンプ
9. 棒人間
10. 記号として
11. ヒトボシ
12. スパークル [original ver.]
13. Bring me the morning
14. O & O
15. 告白

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邪悪なのび太くんが鳴らすオルタナティブ・ロック:School Girl Distortional Addict/Number Girl【CD千本ノック 0104本目】


ナンバーガールは、1999年5月にシングル「透明少女」でメジャーデビュー。2002年11月に解散しているので、メジャーでの音楽活動はわずか3年半とかなり短い。

ただアタクシは、解散後も変わらずCDを聴き続けていた。彼らが鳴らした荒ぶるオルタナティブ・ロックが気に入っており、勝手に今も活動し続けているバンドのような気がする。

この『スクールガール・ディストーショナル・アディクト』は、彼らのメジャー・ファースト・アルバムだ。ライブ盤ではないものの、とある夜、どこかの会場に迷い込んでしまい、ナンバーガールのギグを体験しているような感じがする。身近というのか、生々しいというのか、ザラザラしているというのか。

CDとしての音質は悪く、向井秀徳のボーカルも、演奏にかき消されそうな部分がある。バンドの初期ということもあって、やや難のあるアルバムなのかもしれない。それでも、この時にしか鳴らせなかった音が封じ込まれていると思う。

邪悪なのび太くんを思い起こさせる向井秀徳の見た目も含め、変な背伸びをしないで、自分たちが追求する音楽をきっちり演奏してくれたからこそ、アタクシたちにとって心に刻まれるロック・サウンドになったのではないだろうか。まだまだ、これからも聴き続けていきたい一枚である。

School Girl Distortional Addict/Number Girl(1999)
1. タッチ
2. Pixie Du
3. 裸足の季節
4. YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING
5. 桜のダンス
6. 日常に生きる少女
7. 狂って候
8. 透明少女
9. 転校生
10. EIGHT BEATER

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先輩から可愛がられる10代のシンガー・ソングライター:Illuminate/Shawn Mendes【CD千本ノック 0103本目】


ショーン・メンデスは、1998年8月8日にカナダのトロントで生まれたシンガー・ソングライターである。年齢は現時点で19歳と、まだとても若いアーティスト。しかし、音楽においては若さよりも、むしろ落ち着きや手堅さを感じる。

この『イルミネイト』も、日本ではデビュー・アルバムになるが、自国などでは2015年にファースト・アルバム「ハンドリトゥン(Handwritten)」をリリースしており、彼のキャリアとしては2枚目に当たる。また、ファースト・シングルを2014年に出していたりと、ベテランとは言えないものの、ティーン・エイジャーではあるが駆け出しではないのだ。

先輩アーティストからの評価も高い。テイラー・スウィフトが北米ツアーのオープニング・アクトに抜擢したり、ジャスティン・ビーバーがアルバムを絶賛したりと、文字通りの可愛がりエピソードに事欠かないのである。

その音楽性において、彼自身が憧れ、強く影響を受けたミュージシャンはジョン・メイヤーだという。そのせいか、1曲目の「ルーイン」は、ジョン・メイヤーを思い出させる曲で、「あれ、これって彼のカバーだっけ」と勘違いしたくらいだった。

もちろん、ジョン・メイヤー風の楽曲ばかりではない。少し南米を感じさせる曲やピアノの演奏で歌い上げる曲など、思った以上に収録曲はバラエティーに富んでいる。聴き手を選ばない、サウンドや歌の幅広さがショーン・メンデス最大の強みなのかもしれない。

Illuminate/Shawn Mendes(2017)
1. Ruin
2. Mercy
3. Treat You Better
4. Three Empty Words
5. Don’t Be A Fool
6. Like This
7. No Promises
8. Lights On
9. Honest
10. Patience
11. Bad Reputation
12. Understand
13. Hold On
14. Roses
15. Mercy (Acoustic)
16. Stitches
17. Treat You Better
18. Ruin [Live]

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傑作を1枚残したまま行方不明:Finelines/My Vitriol【CD千本ノック 0102本目】


マイ・ヴィトリオールは、2001年だったかにサマー・ソニックで初めて見て、まさにひとめぼれしてしまったバンドである。サマー・ソニックが終わると、いそいそとCD屋に向かって、この『ファインラインズ』を入手した。

一枚しかアルバムがなかったこともあり、アタクシはこのCDを繰り返し聴いた。鋭く叩きつけるようなドラムとノイジーなギターによって、疾走感が生まれ、激しさとクールさが見事に調和した音楽が鳴っている。

バンドの紹介に際しては、「マイ・ブラディー・バレンタインとニルヴァーナの融合」とも表現されたようだ。実際に、バンドのフロントマンであるソム・ウォードナー(Vo&G、作詞作曲担当)は、「音楽面では、カート・コバーンが僕のヒーローだね。だって彼に触発されてギターを始めたんだから」と答えている。グランジとシューゲイザーのいいとこ取りした音楽と言えるかもしれない。

ただ残念なことに、このファースト・アルバム以降、彼らはあまり活動をしておらず、ある意味傑作を1枚だけ残して行方不明になってしまった感じなのである。音楽としての完成度も高く、アタクシ含めリスナーの評価も非常に良かったので、本当にもったいないと思う。何らかの形で復活してくれたら、また聴きたいし、応援したいのになあ。

Finelines/My Vitriol(2001)
1. Alpha Waves
2. Always: Your Way
3. Gentle Art of Choking
4. Kohlstream
5. Cemented Shoes
6. Grounded
7. C.O.R. (Critic-Oriented Rock)
8. Infantile
9. Ode to the Red Queen
10. Tongue Tied
11. Windows & Walls
12. Taprobane
13. Losing Touch
14. Pieces
15. Falling Off The Floor
16. Under The Wheels
17. All Of Me
18. Another Lie
19. Safety Zones And Crumple Zones

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セカンドにして円熟する歌声:The Thrill Of It All/Sam Smith【CD千本ノック 0101本目】


「サム・スミスは、やはりサム・スミスだった」と、このセカンド・アルバム『スリル・オブ・イット・オール』を聴いて思った。何じゃそりゃな感想かもしれないが、それくらい彼の声に存在感があり、圧倒的だったのだ。

デビュー作『イン・ザ・ロンリー・アワー』でグラミー賞を4冠獲得するなど、ワールド・ワイドで大ブレイクしたサム・スミス。現役のボーカリストだと、女性ならアデル、男性なら彼が、声の力、説得力など、抜群に頭抜けた実力を誇っていると思う。

そんなサム・スミスが3年ぶりにリリースしたのが、このアルバム。ファースト・アルバムと単純に比べてしまうと、サウンド自体は地味になった感じがするかもしれない。

ライナー・ノーツにあった彼の言葉を借りると、「できる限りオーガニックな音楽にしようとしているんだ」とのこと。サウンド・プロダクションとしての抑揚は押さえられているが、そのおかげで彼の歌唱力がより際立っていると感じた。

『イン・ザ・ロンリー・アワー』について、すごくヨイCDだとは思っていたのだが、実は意外と聴かずにきてしまった。だが、このセカンドは、今後ことあるごとに再生するアルバムになるだろう。彼が追求したオーガニックさが、少なくともアタクシの耳には、本当に絶妙に気持ちよく響いたのである。

The Thrill Of It All/Sam Smith(2017)
1. Too Good At Goodbyes
2. Say It First
3. One Last Song
4. Midnight Train
5. Burning
6. HIM
7. Baby, You Make Me Crazy
8. No Peace
9. Palace
10. Pray
11. Nothing Left For You
12. The Thrill Of It All
13. Scars
14. One Day At A Time
15. Leader Of The Pack
16. Blind Eye

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