ビートルズに肩を並べる奇跡の一枚:(What’s The Story)Morning Glory?/Oasis【CD千本ノック 0100本目】


いきなり「ワンダーウォール」に関するディテールの話しで恐縮だが、冒頭「ゴホン」と咳ばらいから始まるアルバム・バージョンの方が、何もないシングル・バージョンより好きだ。「これから歌い始めるぜ」という感じがするからだろうか。

この『モーニング・グローリー』は、1995年にリリースされたオアシスのセカンド・アルバム。もう20年以上前のアルバムになるが、彼らにとって最大のセールスを記録しているし、今でも聴き継がれていて数多くのリスナーに愛されているから、珠玉のロック・クラシックと言ってヨイだろう。

アタクシ自身、発売当初からずっと聴いてきたCDであるが、その時に感じたメロディの美しさ、歌声の力強さ、サウンドの瑞々しさは、今聴き直しても、全く変わらない。これからもエバーグリーンとして、彼らが敬愛するビートルズのように、世界中の人にずっと聴かれ続けていくのだと思う。

これだけ駄曲がなく、何度聴いても、いつ聴いても、グッとくるロック・アルバムは本当に珍しい。アタクシの私見ではあるが、少なくともこの『モーニング・グローリー』については、ビートルズに肩を並べたアルバムと評価している。そうした意味でも、20世紀を代表する奇跡の一枚と言えるだろう。

(What’s The Story)Morning Glory?/Oasis(1995)
1. Hello
2. Roll With It
3. Wonderwall
4. Don’t Look Back In Anger
5. Hey Now!
6.
7. Some Might Say
8. Cast No Shadow
9. She’s Electric
10. Morning Glory
11.
12. Champagne Supernova

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レッドベリーのカバー曲は、ロック史上に残る超名演:MTV Unplugged in New York/Nirvana【CD千本ノック 0099本目】


音楽が好きで、CDを買い込んでいると話すと、「おススメのCDはありますか?」と聞かれることがある。もちろんアタクシ、おススメしたいアルバムやアーティストは少なくないのだが、質問した方がきちんと満足することを考えると、この問いは簡単なようでいて結構回答が難しいお題だと思う。

ただ、そんな場合でも臆せず推薦できるアルバムが、ニルヴァーナの『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』である。顧客満足度、推奨度の指標NPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)で言ったら、アタクシはもうパンパンの10点満点だ。

アルバム自体は、アコースティック曲を中心に据えたセットを収録したライブ盤。1993年11月18日に、ニューヨークのソニースタジオで録音されたという。彼らのオリジナル曲だけでなく、カバー曲も数多く演奏されているのが特徴である。

タイトルの通り、全曲ノイジーなエレキギターが封印され、穏やかでエモーショナルなサウンドに終始している。そのせいかカート・コバーンも観客も、非常にリラックスしたヨイ雰囲気なのが印象的。彼のボーカルも、腹から存分に声が出ていて、魂のこもった歌声が聴ける。

彼らの普段の持ち味である大音量やノイズにあふれるグランジ・ロックではないのに、どの曲も聴き手の心を捉える新鮮な魅力をまとっているのもスゴイところだろう。

中でも、ラスト2曲の「オール・アポロジーズ」から「ウェア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト」への盛り上がりは圧巻である。特に、伝説的な黒人フォーク・シンガー、レッドベリーのカバーである最終曲は、ロック史上に残る超名演だ。時代や場所を越えて一人ひとりの心を揺れ動かす強い力があるからこそ、いつままでもこのアルバムは色褪せないのだろう。

アタクシのおススメを信じてみてもヨイという方は、アルバム全曲を聴いてほしいところだが、この「ウェア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト」だけでも試してみてほしい。ここでしか聴けない、至高の音楽体験ができるはずだ。そして、もし気に入ったら、DVDで実際の映像も合わせて確認してもらえるとうれしい。

MTV Unplugged in New York/Nirvana(1994)
1. About A Girl
2. Come As You Are
3. Jesus Doesn’t Want Me For A Sunbeam
4. The Man Who Sold The World
5. Pennyroyal Tea
6. Dumb
7. Polly
8. On A Plain
9. Something In The Way
10. Plateau
11. Oh, Me
12. Lake Of Fire
13. All Apologies
14. Where Did You Sleep Last Night

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いつか“アタクシの音楽”になるのだろうか:Memories…Do Not Open/The Chainsmokers【CD千本ノック 0098本目】


確かロッキング・オンで強くプッシュされていて、いわばその情報を鵜呑みにする格好で、『メモリーズ…ドゥー・ノット・オープン』を購入した。これまで聴いたことのないCDやアーティストを聴き始めるには、誰かのオススメを妄信するしかないだろう。当たるも八卦当たらぬも八卦、なのだ。

ザ・チェインスモーカーズは、アンドリュー・タガート (Andrew Taggart) と、アレックス・ポール (Alex Pall) の2人からなるユニット。ライナーノーツによれば、ジャンルはポストEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)になるようだ。EDMをそんなんい聴いていないアタクシからすると、 「EDMの次」と言われてもなぁと思わないこともない。これはあくまでも、アタクシの事情だが。

実際にアルバムを聴いてみると、人気が出たり、注目が集まりそうな曲ばかりだった。リズムにエッジや切れがあるし、メロディアスな曲もちゃんと用意されている。また、コールド・プレイのクリス・マーティンを筆頭に、凄腕ボーカリストを多数招いていて、ボーカルの歌声に説得力は十分。そうした意味でも、売れることがとても納得できるCDである(日本盤では人気のある曲をボーナス・トラックとして収録している)。

とは言え、なぜかアタクシ自身は、全曲通して聴いてもグッと来ないままであった。エレクトロニック・ミュージックということが影響しているのだろうか。まだまだ聴き馴染んでいないからかもしれない。何れにせよ、現段階では、“アタクシの音楽”と思えないのだ。

もちろん、彼らに何か問題があると言いたいわけではない。いくらヨイ曲をたくさん聴かせてもらっても、ちゃんと心が動くかどうかはまた別のことなのだ。好きなアーティストでも、ライブで聴くとしっくり来ないなんてこもとある。一筋縄でいなかないからこそ、音楽は面倒であり、面白いのかもしれない。

Memories…Do Not Open/The Chainsmokers(2017)
1. The One
2. Break Up Every Night
3. Bloodstream
4. Don’t Say
5. Something Just Like This
6. My Type
7. It Won’t Kill Ya
8. Paris
9. Honest
10. Wake Up Alone
11. Young
12. Last Day Alive
13. Closer
14. Don’t Let Me Down
15. Roses

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「変わる」と「変わった」との違い:変身/チャットモンチー【CD千本ノック 0097本目】


ドラムを担当していた高橋久美子が脱退して、2人編成のチャットモンチーとして最初のアルバム。アルバム・タイトルにもなっている「変身」という曲から始まる。

高橋脱退の理由は、当時発表された「音楽に向かっていくパワーがなくなっている」くらいしか知らないので、もちろん詳細や真相を理解しているわけではないだろう。

そんなアタクシにとってこのアルバムは、残念ながらドラムが刻むべきリズムに欠けてしまったCDである。ドラム自体は、橋本絵莉子や福岡晃子が担当することで何とか賄っているが、全体の音数が減っていたり、リズムそのもの気持ちよさが、物足りないというのが正直なところである。

「きらきらひかれ」や「満月に吠えろ」みたいに、チャットモンチーらしいロック・ナンバーもあるし、「ふたり、人生、自由ヶ丘」のような、東京の交通網、地名をうまくいかした微笑ましい曲もあり、全く精彩がないとは言わないまでも、かつて彼女たちが鳴らした、切なさと隣り合わせの瑞々しいオルタナティブ・ロックのサウンドは姿を見せていないのではないか。

当然、音楽に誰もが納得する正解はないし、真剣に鳴らされた音楽に文句をつけるのは、ゲスの極みであるだろう。それでもアタクシ自身は、このアルバムをなかなか好きになれずにいる。実際リリース後に1度聴いたら、その後何度も聴き直す感じにはなれなかった。

変身/チャットモンチー(2012)
1. 変身
2. ハテナ
3. テルマエ・ロマン
4. 少女E
5. コンビニエンスハネムーン
6. Yes or No or Love
7. 初日の出
8. 歩くオブジェ
9. きらきらひかれ
10. ふたり、人生、自由ヶ丘
11. ウタタネ
12. 満月に吠えろ

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オーガニック・リーチで、何度でも新しく好きになる:何度でも新しく生まれる/MONDO GROSSO【CD千本ノック 0096本目】


モンド・グロッソ(大沢伸一)は、以前から名前だけは知っていたけれど、ちゃんと音楽を聴いたことはないアーティストだった。そんな中、ある日Facebookでシャアされてきたのが、満島ひかりがボーカルを取った「ラビリンス」の動画である。

身の回りの人からの数多くのオーガニック・リーチ、絶賛の言葉に背中を押され、アタクシも動画を見た。多分、2~3度繰り返して再生したと思う。そして、この一曲の動画ですっかりモンド・グロッソが自分の頭の中にゆるぎない存在となったのである。

この「ラビリンス」も収録されている『何度でも新しく生まれる』は、モンド・グロッソとして、14年ぶりのオリジナル・アルバムだ。

モンド・グロッソ初級者のアタクシは知らなかったが、初めてボーカルが全曲日本語詞になったという。先の満島ひかりのほかに、bird、UA、齋藤飛鳥(乃木坂46)など、多彩なボーカリストとコラボしている。

ボーカリストだけでなく、サウンド・クリエイションも一つの手法にとどまらず、多彩多様な曲が編み上げられているのが大きな特徴だろう。全体的にスタイリッシュなサウンドではあるが、曲の途中でテンポが変わったりと、独自の美意識やクリエイティビティを感じさせるのも、聴き手の心をとらえる。

アタクシは、この『何度でも新しく生まれる』一枚だけで、すっかり大沢伸一のサウンドが気に入ってしまった。なので、過去にさかのぼる形で、あれこれ昔のアルバムにも手を伸ばし始めているところだ。

何度でも新しく生まれる/MONDO GROSSO(2017)
1. TIME
2. 春はトワに目覚める (Ver. 2)
3. ラビリンス (Album Mix)
4. 迷子のアストゥルナウタ
5. 惑星タントラ
6. SOLITARY
7. ERASER
8. SEE YOU AGAIN
9. late night blue
10. GOLD
11. 応答せよ

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スーパー早とちりで三文の徳:Volume 1/BNQT【CD千本ノック 0095本目】


実は、インディー・ロックのスーパー・グループが結成されたと聞き、焦ってCDを購入してしまったのである。

「BNQT」の読み方は「バンケット(Bansuet)」で「宴会」を意味する。ミッドレイクのエリック・プリードの呼びかけによって、フランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノス、バンド・オブ・ホーセズのベン・ブライドウェル、トラヴィスのフラン・ヒーリィ 、グランダディのジェイソン・ライトルらが集結した。

改めてメンバーを列挙すると、次の通りだ。
ミッドレイク:エリック・プリード(G&Vo)、マッケンジー・スミス(Dr)、ジョーイ・マクレラン(G)、ジェシー・チャンドラー(Key)
グランダディ:ジェイソン・ライトル(V&G&Key)
バンド・オブ・ホーセズ:ベン・ブリッドウェル(Vo&G)
フランツ・フェルディナンド:アレックス・カプラノス(Vo&G)
トラヴィス:フラン・ヒーリィ(Vo&G)

初めてこのバンドの情報を見たとき、「うわー、メンバーは自分の好きなバンドばかりだあ」と思ってCDの購入をすぐに決心した。しかし、実際にアルバムを手に取ってよく確認してみると、アタクシが知っているバンドはフランツ・フェルディナンドとトラヴィスだけだった。おかしい…。

そんな早とちりは置いておくとして、ちゃんと彼らの音楽に耳を傾けてみるとヨイ曲ぞろいのアルバムある。スケール感のある「リスタート」という曲から始まり、AOR調の曲やエリオット・スミスやドアーズを思わせる曲など、ポップさ、キャッチーさで勝負するのではなくじっくり聴かせる佳曲ばかりではないだろうか。

日本国内では、あまり話題になっていないようではあるが、スーパー・バンドのアルバムというよりも、粒ぞろいの曲をリリースしたイケてるプロジェクトと理解されたら、もう少し注目が集まるかもしれない。

ちなみに、このバンケットのメンバーは固定化されておらず、今後新メンバーが登場する可能性もあるようだ。そんなメンバー候補に、ルーファス・ウェインライトやノラ・ジョーンズの名前も挙がっている。このアルバムがきちんと評価されることもさることながら、ボリューム2、ボリューム3と続く新しい展開にも期待したいところである。

Volume 1/BNQT(2017)
1. Restart
2. Unlikely Force
3. 100 Million Miles
4. Mind Of A Man
5. Hey Banana
6. Real Love
7. Failing At Feeling
8. L.A. On My Mind
9. Tara
10. Fighting The World

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音楽を鳴らすのは人であり、形式ではない:Kitty, Daisy & Lewis The Third/Kitty, Daisy & Lewis【CD千本ノック 0094本目】


キティー・デイジー&ルイスは、イギリス・ロンドン生まれの3兄弟のロックンロールバンドだ。父親はマスタリング・エンジニアで、母親もポストパンク・バンドのメンバーと、まさに音楽一家である。

『キティー・デイジー&ルイス・ザ・サード』は、2015年にリリースされた名前通りサード・アルバム。2008年にはファースト・アルバムを出しているので、若いながらも結構なキャリアになる。

ただ、アタクシ自身はつい最近知ったバンドなので、このアルバムが彼女たちの初体験だし、正直それほど聴きこんでいるわけではない。

CDのライナーノーツなどによれば、レコーディングにあたり音楽機材は最新のものを利用せず、自分たちで探し出して結構古いアナログ機材を使っているのだとか。

それも、手法としてアナログ回帰を目指しているのではなく、自らが鳴らしたい音を求めているうちに、そうした機材に行き当たると彼女たちは話している。

10代前半から音楽活動を始めて、今でもまだ20代のようであるが、自分たちのスタイルや見え方に耽溺せず、本質的に音楽を探求しているように感じる。

実際に彼女たちの演奏は、形式としてはオールド・ファッションではあるが、その一つひとつの音や声はビビッドで、どこかで聴いたことのある懐かしさと今だから聴ける初々しさのようなものがない交ぜになっていると思う。そして、それがとても新しいものとして響いてくる。一言で表現すると、温故知新バンドなのかもしれない。

そう言えば、キティー・デイジー&ルイスはテレビ番組の『関ジャム』でも取り上げられていた。どうやらライブが圧巻らしいので、このCDだけでなく生の演奏を体感したいと思っている。

Kitty, Daisy & Lewis The Third/Kitty, Daisy & Lewis(2015)
1. Whenever you see me
2. Baby bye bye
3. Feeling of wonder(feat.Mick Jones)
4. No action
5. Good looking Woman
6. Turkish delight
7. It ain’t your business
8. Ain’t always better your way
9. Never get back
10. Bitchin’ in the kitchen
11. Whiskey
12. Developer’s disease
13. I should have known

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おパリのジャケット写真もオシャレなのでアール:Café Bleu/The Style Council【CD千本ノック 0093本目】


いつ、どんな形で聴いたのか定かではないが、ポール・ウェラー初体験はこのザ・スタイル・カウンシルの『カフェ・ブリュ』だった。

初めて聴いて、「これぞオシャレ音楽」と思った。「さすが洋楽だ」とも思った。それくらいアタクシの音楽体験は初級だったし、昔は「洋楽=カッコいい、オシャレ」というイメージが多分にあったのだ。

『カフェ・ブリュ』は確かに、ジャズっぽさもあったり、ソウルやファンクの要素もあって多様な音楽で構成されている。幅広いジャンルが詰め込まれたサウンドは、ムーディーさもあり、聴きやすくオシャレなアルバムだと思う。

実際にポール・ウェラーは、音楽のジャンルにとらわれない様々な音を鳴らしたいからと、ザ・ジャムを解散したようだし、ザ・スタイル・カウンシルというユニットを始めたみたいである。

一方でアタクシは、後々になってポール・ウェラーがザ・ジャムを結成していたと知って、かなりビックリした。パンク・ロックと、このアルバムのようなスタイリッシュな音楽が、全く結びつかなかったからだ。

ザ・ジャムの延長線上にない、ポール・ウェラーの大転換ともいえるこの新たな音楽は、多くの人から受け入れられた。その結果、『カフェ・ブリュ』は彼が発表してきたアルバムの中で最大のセールスを記録しているという(1998年6月付のライナーノーツの記述による)。

アタクシ的に、ポール・ウェラーのキャリアの頂点はザ・ジャムではなく、ザ・スタイル・カウンシルでもなく、ソロ時代だと思っている。なので、何だよ皆んなーと思わなくはないが、売れ行きは時代状況の影響も大きいので、一つの数値情報にすぎない。音楽の価値を絶対的に示すものではないことを、改めて意識したいと思う。

Café Bleu/The Style Council(1984)
1. Mick’s Blessings
2. The Whole Point Of No Return
3. Me Ship Came In!
4. Blue Café
5. The Paris Match
6. My Ever Changing Moods
7. Dropping Bombs On The Whitehouse
8. A Gospel
9. Strength Of Your Nature
10. You’re The Best Thing
11. Here’s One That Got Away
12. Headstart For Happiness
13. Council Meetin’

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ロック史上最もハイテンションのアルバム?:Kick Out The Jams/MC5【CD千本ノック 0092本目】


CDの帯に書かれた表現に従えば、「リアル・パンク・オリジネーター」ということらしい。MC5は、アメリカのデトロイトを拠点にしたロック・バンドである。

アタクシ的にこのアルバムは、誰かに薦められたとかではなく、CD屋の棚で見つけて、何かジャケットも見たことがあるし、バンド名も聞いたことがあるような…という感じで購入した。特に予備知識のないまま、本作を手に取ったのだ。

かなりフラットな気持ちのまま、このアルバムを聴いた。こういう暑苦しい感じの音楽、アタクシは大好きなのである。何でもっと早く聴いていなかったんだろうと思ったほど、すぐに気に入った。

特に、デビュー・アルバムである、この『キック・アウト・ジャムズ』はライブ盤。熱狂するステージ上の雰囲気が伝わってくるせいか、音が聴き手に飛び込んでくる感じがする。もう50年くらい前のパフォーマンスなのに、驚くほどのハイテンション。ロック史上最高かもしれない。

何だか聴いているだけで、こちらの気持ちも高揚してくる。ヤクザ映画を見終えた後、誰もが肩を張って出てくるではないが、朝の登校前、出勤前なんかに聴いて出かけたら、くそったれな世の中も一日中、テンション高く過ごせるかもしれない。

セールス的には、それほど成功したわけではなないようだ。オリジナル・アルバムは3枚しかリリースしていない。それでも、後々のバンドやアーティストに多大な影響を与えたバンドである。デトロイト出身のジャック・ホワイト(ザ・ホワイト・ストライプスなど)も「幼少の頃はMC5の音楽で育った」と語っているようだ。

Kick Out The Jams/MC5(1969)
1. Ramblin’ Rose
2. Kick Out The Jams
3. Come Together
4. Rocket Reducer No. 62 (Rama Lama Fa Fa Fa)
5. Borderline
6. Motor City Is Burning
7. I Want You Right Now
8. Starship

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今作でも天性のキャッチ―さは健在:Life Without Sound/Cloud Nothings【CD千本ノック 0091本目】


『ライフ・ウィズアウト・サウンド』は、クラウド・ナッシングスの4枚目のアルバム。現時点では、これが最新作になる。もともと3人編成のバンドだったが、今作では4人編成になったようだ。そのせいもあってか、音に厚みが増し、バンド・サウンドらしくなっている。

楽曲自体は、前作『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』、前々作『アタック・オン・メモリー』の流れの延長線上にある。曲作りに1年以上の時間を費やしたり、録音にも3週間かけるなど(これまでは、大体1週間で録音していたそう)、バンドとしても念入りに作成したアルバムになったようだ。

ギターとボーカルを担当し、バンドの中心人物であるディラン・バルディは割と直感的な人のようで、その音作りにおいても、あまり戦略性みたいなものは感じない。持って生まれたセンスというか、天性のソング・ライティング能力を生かして、多くの人の心を捉えるキャッチーな曲を作り出してしまうから驚きだ。

それぞれのアルバムごとに、クラウド・ナッシングスとしても結構音楽的な変化が見られるが、楽曲のキャッチーさはデビュー当時からずっと続いていると思う。

今作についても、作品として一定の水準は超えているとは思うものの、ちょっと停滞期かなと感じたのも正直なところ。これからアーティストのキャリアとして、脂が乗ってくる時期だと思うので、次回作にも期待したいところである。

Life Without Sound/Cloud Nothings(2017)
1. Up To The Surface
2. Things Are Right With You
3. Internal World
4. Darkened Rings
5. Enter Entirely
6. Modern Act
7. Sight Unseen
8. Strange Year
9. Realize My Fate
10. Enter Entirely (Acoustic)
11. Internal World (Acoustic)

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