魂と言うけれど、その正体は何だろか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0014】


【短編小説】生活維持省/星新一
細かな仕組は表現されていないが、国民全員の幸福を担保するため、人の生死を国が決定するようだ。しかし、幸福が人間の外部に存在するような考え方には同意できない。生きている人間にしか、幸せは感じられないはずだし、人によって幸福であることは同じではないからだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】北の海/中原中也
中原中也の時集本は持っているが、特にこの詩が記接に残っているわけではない。それでも、淡々と特に前向きでもない記述が続く、この詩の印象は、思いのほかよかったかもしれない。海にいるのは、人魚ではなく、浪ばかり。現実には、理想的な存在は乏しく、違うもので満たされている。

【論考】魂の深さについて/森本哲郎
冒頭で取り上げられるネルーはインドの初代首相だそうだ。調べて初めて知った。そして、魂、魂の深といった言葉が使われるが、魂の意味がやや曖昧なまま話が進む。そのため、真の理解には 至ないというのが本音である。魂をすごくカジュアルに定義付けすると、国の価値観、何を大切にするか、ということだろうか。


今も絶望から始めなければならない【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0013】


【短編小説】不眠症/星新一
不眠症だけに、いわいる夢オチだった。眠れない段階での話は、非常識ながらも、不思議なほどスムーズに読めた。ただ薬を使ってからの話は、何だか急ブレーキがかかってしまった。星新一さんのショートショートのカタルシスも感じられなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】いまこの庭に/三好達治
グッと踏み込んで読まないと、なかなか詩の世界に没入できないように思うものの、詩では情景描写だけで構成されているのに、個人的にはとても好感を持てた。心情を著k説吐露されるよりも、むしろ行間や情感が想像でき、文章を読んでいる快楽を実感できるたのではないだろうか。

【論考】情報について/森本哲郎
「人間は、情報的動物である」という主張に、完全に同意するものの、現在のように情報化が極限にまで進んでいる状態では、ちょっと大きすぎるテーマだと思う。改めてさとなおオープンラボに通った意義や、情報を取り扱う難しさと感じていた。「絶望から始めよう」。


社会における“正しさ”の源泉【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0012】


【短編小説】猫と鼠/星新一
相手を脅す人物は、別の人物から脅されていた。負の連鎖は、もしかすると連綿と続いていなくのだろうか。嫌な予感がする。この話は、そもそも殺人者が招いた連鎖であり、一般人からすると教訓にしづらかったり、メッセージも受け取りづらいように思う。

【詩・俳句・短歌・歌詞】冬が来た/高村光太郎
細い言葉使いに共感しづらさもあるが、冬が来たことへの高場感が、強く伝わってくる。詩の醍醐味が感じられ、理屈ではなく、感覚として好感を持てた。『智恵子抄」のイメージしかなかったが、高村光太郎さんの熱が心地ヨイ。

【論考】人生について/森本哲郎
結末はどうであれ、過程こそ人生なのだ、という主張には同意する。結果ばかり求める現在の風潮が、短絡的だという指摘もその通りだと思いう。とは言え、社会という観点で考えると、本質や正しさがいつも担保されているわけではなく、マジョリティーであることが、正しさの源泉になったりするだ。


銀色に輝く飛行物体がどこからともなく現れる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0011】


【短編小説】約束/星新一
銀色に輝く飛行物体がどこからともなく現れてしまうのにも、少し慣れてきた。無垢なる子供と悪をなす大人との対立。しかし、それは時間軸が違うだけで、子供と大人は実は同じなのである。ある意味で必然的な帰結なのである。最後のオチは、結構早めに想像できてしまった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】わたしを束ねないで/新川和江
昭和生まれで、男性と女性が明確に区別されていた時代を見ていた世代としては、筆者の気持ちが、それなりによくわかると思う。私は男性だが、男性としても、子供としても、よく束ねられていた。まだ世問というものもあって、類型的な人になることを、誰もがよしとしていたと記憶している。

【論考】理想について/森本哲郎
ハムレット、ドン・キホーテ、ファウスト、ドン・ファンが世界文学の四大主人公だという。名前は知っているものの、物語などは浮かんでこない。無知であることを突きつけられた感じだ。教養に乏しいから、論述にもなかなかついていけなかった。ゲーテは好きだから、ファウストは読もうかなと思った。地道に自分を耕すしかないのだ。


さんま苦いか塩つぱいか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0010】


【短編小説】暑さ/星新一
常識的な巡査とおとなしそうな若い男のかけ合いを通じて、段々と男の狂気が垣間見えてくるのにゾクゾクした。今年の夏、男はどうするのだろうという所で終わるのも、余顔があって、個人的には好みである。星新一さんらしいとも言えるだろう。

【詩・俳句・短歌・歌詞】秋刀魚の歌/佐藤春夫
解説を読んだうえで、何度が読んでも、すべてを理解できていないと思うものの、「さんま苦いか塩つぱいか」は、ぐっと体温が上がる感じ。なぜなのか。特別なワードは何もないのに、ある意味コピーのマジックなのかもしれない。

【論考】文明について/森本哲郎
「文明とは港ではなく航海である」という言葉は、十分に共感できる。われわれの日々の生活も、明確なゴールや行き先が決まっているわけでもなく、時として進むべき方向も変えてしまうから。失われた文明のように大きなものではないが、言葉の意味や内実が、変化していくのに似ているのではないだろうか。


なぜ人は日常に留まらず、旅に出るのか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0009】


【短編小説】ツキ計画/星新一
宇宙進出のための「ツキ計画」と聞いて、月を思い起こしていたら、キツネツキの方だった。プロットというか、ツキを題材にするのは面白いが、オチが自分には向いていないものだった。「私」が、腹がよじれるほど笑うのも変だし、のどがかわくのも、何でだろうという感じである。最後は、ややご都合主義の印象で終わった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】歌/中野重治
中野重は知らなかった。だからというわけではないが、この詩も自分の中にすっと入っていなかった。解説を読むと、最初に自身が否定する抒情性にこそ、彼の本質があるとのこと。何度か読み返したものの、その解釈は腑に落ちないままであった。

【論考】旅について/森本哲郎
自分も学生のころ、オートバイで旅をした。お金がないので基本的にテントなどの野宿だ。なぜ旅をしたのか、なぜあれほど熱心だったのか、今思うと、やや説明がつかない。街動と言ってしまえば簡単だったが、未知なる世界に対して焦燥感に似たはやる気持ちがあったのは問違いないだろう。


もしも秋に蛙たちが語っていたら【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0008】


【短編小説】包囲/星新一
物語の構成が、ネットワーク状に広がりを見せ、愉快で喫飛ではあるが、ちょっと非現実的に感じる。たとえ私が2人から同時にある人を殺してくれと頼まれても、決して引き受けないだろう。人間の原理、倫理を超えるような動機付けが表現されたら、きっとうなってしまうのにと思った。

【詩・俳句・短歌・歌詞】秋の夜の会話/草野心平
二匹の蛙の詩とはわからなかった。でも、蛙の会話と思って読み直すと、まさにそれらしいと感じられる。もちろん、蛙と話したことはないけど、言いそうだなと思えるから不感議である。人間だけでなく、他の生き物たちも、言葉を使えたら面白いのに。

【論考】人間の本性について/森本投郎。
自分は、かなり性善説寄りのどちらでもない派なので、あまりはっきりと決めつけられない方がよかったものの筆者のメッセージとしては、やや煙に巻かれたようにも感じた。個人的には中国の思想について、あまり知らないため、勉強になったと思う。


無があるから存在がある【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0007】


【短編小説】月の光/星新一
十五歳の少女と、言葉なくペットとして暮らす話し。状況に賛同できるわけでもないし、またそれがなり立つわけもないと思うしかなかった。この本(『ボッコちャん』)は何度が読んでいるはずだが、違和感を初めて抱くのは、今読んだからだろうか。情緒的な終わり方をしているが、後味はあまりよくないのである。

【詩・俳句・短歌・歌詞】落葉/ポール・ヴェレーヌ
落葉と言っているくらいだから、もの哀しい作品だと思う。ただ言葉が少ないせいか、翻訳のせいか、胸にぐっと来ないのが残念である。とはいっても、トーンや愛囲気は伝わってくるから、不思義にも感じる。

【論考】存在について/森本哲郎
ハイデッガーに直接会っているということに驚いた。それを題材に、存在と無に切り込んでいくのは、心地ヨイ試みである。「人びとは、日常のおしゃべりの中で自分を忘れている」というのは、矮小なようで、もっともな指摘に思う。


共感が難しかったとしても【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0006】


【短編小説】変な薬/星新一
カゼが治るのではなく、カゼの症状が1時間だけ出る不思議な薬。ドラえもん的な斬新な発想と思ったが、ストーリーとして上手く回収できなかったと感じる。ズル体み以外では、あまり役に立つと思えない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】タぐれの時はよい時/堀口大學
この詩はピンと来なかったとないうのが第一の感想。タぐれ時に特別な雰囲気や感覚はあるものの、詩で表現されいることに共感できなかった。もしかすると堀口大學さんの詩は共感しづらく、苦手かもしれない。

【論考】ことばについて/森本哲郎
タイトルとは逆説的な主張が展開される印象。語られることばについてというより、沈黙とは何かりついて終始説明している。現代人を“ラジオ的人間”としており、思わずReadioheadのことを思い出してしまった。ピカートの論述と関係があるのかは後ほど調べたいと思う。


世界は「おどろき」に満ちあふれている【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0005】


【短編小説】来訪者/星新一
他星人の描写が少ないなあと思っっていたら、そういうオチでしたか。やはり論点にすべきは、地球人たちの対応だろう。異那人とコシュニケーションをするときに問われるのは、自分たちの本質である。自己をきちんと示さず相手と対していても、結局小説と同様に笑われてしまうのではないだろうか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】秋のピエロ/堀口大学へ
あまりこの詩の良さを感じなかった。道化であるピエロと涙とのギャップは表現されているものの、なぜその落差が生まれるかは、書かれていないように思う。アタクシが、行間を読めていないだけなのだろうか。

【論考】おどろきについて/森本哲郎
哲学の第一歩に「おどろき」があるという主張にまったく異論はないが、国木田独歩の作品から話を始めたことで、かえて話が分かりづらくなっているように感じた。池田晶子さんのように、もっと素直に、宇宙の不思議、世界の不思議を語った方が理解しやすいと思う。