光あふれるから、影が強くなるのか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0033】


【短編小説】プレゼント/星新一
核爆発を起こす地球に対して、ラール星からの贈り物。その結果、地球の人々は争いをやめる、結論だけ見れば美談のようにも感じるかもしれない。ただ、所変われば品変わるではないが、ラール星から送られたプレゼントの意図は違っていた。結果の整合よりも、意図の不整合に、どうしてもモヤモヤが残るのだった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】作品第肆/草野心平
詩を十分に理解できているとは思えないものの、あふれる光と「物憂く」の対照的な情景が気になる。そう、世界は光に輝いているのに、自分だけはなぜ影に入ってしまっているのか。全く理由は書かれていないので、無闇矢鱈に想像するしかないのだ。

【論考】運命について/森本哲郎
運命とは何なのか。ここでは、カフカの作品を通じて考えさせられた。どうしてそうであるなのか、人間誰しも理由を考えたくなる。しかし、カフカの小説までではないにしても、人生や運命の理由など解明できることの方が珍しいだろう。生きること自体、自らの意志に発関係なく、与えられたのだから。


「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読もう#005


第1週第5日(金)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
5 音楽:音楽の基礎
音楽とは、模倣や楽譜によって再現できる組織化された音のこと。その要素は、耳に聞こえる音の高低「音高(ピッチ)」、音高を高さの順に階段状に並べた「音階(スケール)」、音高を長音階か短音階の一つを基にして並べた「調(キー)」などがある。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
5 文筆家・芸術家:ホメロス
ホメロスは紀元前800年前後の人物で、長編叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』の作者。ただ、実在の人物かどうかはわかっていない。この2つの英雄叙事詩は西洋文学史上初の作品で、ウェルギリウス、ジェイムズ・ジョイス、ラルフ・エリソンなどに、影響を与えた。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
5 思想と社会:共産主義
19世紀初頭に始まった産業革命によって、労働者と工場主や投資家とで深刻な経済格差が生み出された。その解決策として、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは、労働者階級が生産手段を自らの手に握る「プロレタリアート独裁」を樹立することを提示した。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
5 性徴と生殖:卵子
女性は、生まれたとき2つの卵巣におよそ200万個の未成熟な卵子を持っている。思春期に達するまでに4分の1以下になり、およそ1カ月に1回、完全な卵子に成熟し、放出される。3日間は生存し続けるので、精子は72時間にわたって受精させられるようだ。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
5 芸術:土偶と埴輪
土偶は縄文時代に作られ、基本的に妊婦など女性の姿をしている。そのため、作物の豊穣や安産、子孫繫栄を祈る際に用いられたと考えられる。一方、埴輪は集落ではなく古墳から出土し、権力者の権威を示すために埋葬されたようだ。形も人型だけでなく、円筒形、家形、動物型など、多種多様である。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
5 暮らし・信仰:打製石器・磨製石器
人類の歴史は、世界的に見てもほぼ例外なく石器時代を経ている。加工された石器としては、打製石器と磨製石器がある。打製石器は、石に打撃を与えて割り、割れ目を刃として利用した。磨製石器は石を磨いて作られ、ナイフや斧、錐、錘などがある。また、生活道具ではなく、祭祀に使われた石器も多数見つかっている。


良寛【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#006】


【1月6日】良寛:1758~1831.1.6

冬ごもり 春さりくれば 飯乞(いいこ)ふと 草のいほりを 立ち出でで 里に行けば たまほこの 道のちまたに 子どもらが 今を春べと 手まりつく ひふみよいなむ 汝(な)がつけば 吾(あ)はうたひ あがつけば なはうたひ つきてうたひて 霞立つ 長き春日を 暮らしつるかも(「手まり」)

唐木順三『良寛』(『日本詩人選』20、筑摩書店、1971年より)

【メモ】
春の到来と、子どもたちが手まりで遊ぶ様子をリンクさせている。何とも優しい視線が感じられる。良寛は江戸末期、越後の出雲崎町の名家に生まれるも、世の中が政治経済上の争いが絶えず、そうした世情を悲観して、出家したようだ。

【関連リンク】
良寛 – Wikipedia


内なる宇宙を認識することから始める【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0032】


【短編小説】ある研究/星新一
読み手の先入観や勝手な想像を上手に利用したストーリーにしてやられた。研究と言われると、現在か未来を自動的に想定してしまうだろうが、全く別の時間軸の話だった。「新しい毛皮欲しいの」という妻の発言も、現代ではあまり言われなそうだが、書かれた当時はきっとそれらしいものだったはずだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】春暁/孟浩然
「春眠暁を覚えず」は、よく母親が口にしていたこともあり、懐かしさを感じるくらい。ただ、作者である孟浩然の名前は全く知らなかった。ある意味で当たり前なのであるが、古い詩は、描くことが身の周りのことで、情景も自然と頭に浮かんでくるから、シンプルだけど情感が豊かだと思う。

【論考】宇宙について/森本哲郎
カントの「わが上なる星らりばめたる空と、わが内なる道徳律と」という言葉を取り上げていて、ちょっと前に読んだ書籍で、池田晶子さんも似た主張をされていたこともあり、シンクロする感じがあった。確かに、限りない宇宙は、我々の外側に延々と広がり続け、一方で私の内にも宇宙のような無限が存在するように感じている。


「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読もう#004


第1週第4日(木)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
4 科学:クローン技術
1997年、クローン技術によりドリーと名付けられたヒツジが誕生した。最も衝撃的だった点は、個体の特定部位の細胞を使っても、全く新しい個体ができたこと。しかしながら、母親との違いは、テロメアというタンパク質が短かった。その働きは、まだ分かっていないものの、老いと関係があるように思えた。

テロメアは、加齢とともに短縮するため、細胞の寿命に関与しているよう。
知っておきたいテロメアとエイジングの関係

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
4 悪人:アメンパヌファ
アメンパヌファは、古代エジプト、ファラオの墓を荒らした盗賊で、7人ほどの仲間で「王家の谷」の黄金や埋葬品を奪った。最古の裁判記録として、その時の自供の様子も残っているが、生活苦から盗賊を始めて、癖になっていたようだ。王墓の盗掘は重罪で、かなり残酷な処刑の方法で殺されたらしい。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
4 映画:リュミエール兄弟
1895年、初歩的な動画用映写機(シネマトグラフ)を作り、特許を取ったことから、リュミエール兄弟は近代映画の父と考えられている。1895年12月28日には、パリのカピュシーヌ大通りのカフェで、有力の映画上映会を行ったため、映画誕生の日とされている。その中には、『工場の出口』もあった。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
4 こころ:自律神経系
身体の主な臓器や筋肉は、自律神経系が無意識に機能し、調整されている。大きな目的は、身体のホメオスタシス(恒常性)の維持。交感神経系と副交感神経系によって、身体の適切なバランスを保つのだ。交感神経系は危険を感じたり、緊急時に働き、副交感神経系はリラックスしているときに働いている。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
4 科学・技術:古墳
弥生時代になると、墓の共同化や集団化が進むと同時に、巨大な墓が造られるようになった。4世紀後半になると巨大な前方後円墳が築かれるようになり、現在は全国で約4700基が確認されている。古墳は、精密に測量、採寸、設計し、規格通りに土地を開拓、地ならしをして造成された建造物だとのこと。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
4 経済:狩猟・採集
縄文時代は、紀元前1万4000年頃から1000年ころとされ、かなり長い時代区分。気候の変化や「縄文海進」などもあり、生活様式を一言では示しづらいが、狩猟と漁労、植物の実などの採集が生活の柱だったようだ。


ウンベルト・エーコ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#005】


【1月5日】ウンベルト・エーコ:1932.1.5~2016.2.19

書物はしばしば別の書物のことを物語る。一巻の無害な書物がしばしば一個の種子に似て、危険な書物の花を咲かせてみたり、あるいは逆に、苦い根に甘い実をうれさせたりする。

『薔薇の名前』(下)川島英昭訳、東京創元社、1990年

【メモ】
書物のメッセージや何らかの考えが、ほかの書物に影響するというのは、その通りだと思う。それが今は、インターネットやソーシャルメディアを通じて、行われているのではないだろうか。ただし、誰でも参加できるという点で、「書物」といったある意味アカデミックな成果ではなく、やや質が下がったというか、庶民的になっているように思うが。

【関連リンク】
薔薇の名前 – Wikipedia


「サヨナラ」ダケガ人生ダ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0031】


【短編小説】波状攻撃/星新一
魚心あれば水心ありというのか、課題のあるところにソリューション(解決策)を持って行けば、容易に信じてもらえるものだ。エセコンサルティングがパッケージ化されたようなストーリーである。それにしても、タイトルが現代的ではなく、あまりピンとこなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】勧酒/于武陵
五言絶句、中国の詩ということもあってか、原文を読むだけでは、やや平板な感じがした。しかし、井伏鱒二さんの訳を読むんと、グッと立体的な時になってくる。「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」の件は、名訳だと思う。

【論考】自分について/森本哲郎
「汝自身を知れ!」というアポロンの神託から、ソクラテスの「無知の知」や哲学の認識論などに話を展開し、ある意味正しい論調だとは思うものの、ロジックがあまりつながっているように思えなかった。「自分」とは不思議な概念だとは理解しているのだが。


「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読もう#003


第1週第3日(水)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
3 視覚芸術:ラスコー洞窟の壁画
1万5000年から1万7000年前に描かれた最古の芸術作品の一つ。動物の絵が1500点近くあるものの、描かれた理由は諸説ある。先史時代に人々は、正確に書くことで、動物を自分たちの思い通りにしたり、増やしたりできると考えていたようだ。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
3 革新者:イムホテプ
ヒッポクラテス(前460頃~前375頃)を医学の創始者とするのが通例だが、紀元前2650年ころエジプトにいたイムホテプは、最初の医師だと考えられる。何百もの疾患の記録を残し、治療がよく効いたことから、死後何千年にもわたって神として崇められた。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
3 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ロシアの作曲家、チャイコフスキー(1840~1893)は、『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』などの人気バレエ音楽を書いた。死因は、同性愛を暴露されての自殺という説もあったが、現在はコレラとするのが定説である。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
3 薬と代替療法:モルヒネ
鎮痛薬、麻薬であるモルヒネは、痛みや不安を緩和する一方で、精神能力や身体能力も低下させる。極めて依存性が高い薬だ。19世紀末、快楽を得るための市販薬として、薬局でだれでも簡単に購入できた。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
3 文学:『万葉集』
『万葉集』は8世紀後半、奈良時代末期に成立した、現存する日本最古の歌集。当時は仮名文字がなかったため、全文、漢字で書かれている。歌の作者は天皇や皇族、貴族ばかりではなく、下級役人や庶民の歌も収録されている。詠まれた場所も、東海や関東、東北など、都周辺以外の地方も含まれている。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
3 外交:海を渡ってきた日本人
縄文人がどこからやってきたかはわかっていないが、弥生人が新しい文化を携えて日本列島に渡来したのは間違いないだろう。最終的には、縄文人と弥生人は共存し、現代の日本人につながっている。縄文人については、インドネシアやハワイ先住民と交流があったかもしれないそうだ。


カミュ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#004】


【1月4日】
カミュ:1913.11.7~1960.1.4

不条理という言葉のあてはまるのは、この世界が理性で割り切れず、しかも人間の奥底には明晰を求める死に物狂いの願望が激しく鳴りひびいていて、この両者がともに相対峙したままである状態についてなのだ。不条理は人間と世界と、この両者から発するものなのだ。いまのところ、この両者を結ぶ唯一の絆、不条理とはそれである。

『シーシュポスの神話』清水徹訳、新潮文庫、1969年

【メモ】
確かに不条理とは、人間理性での正しさや事実と、世界の現実や在りようとのギャップによるものなので、人間や世界の存在、それぞれだけでは成り立たないと思う。ただ、よく読むと、人間と世界は不条理にしか存在しえないと言いたいのだろうか。


レット・イット・ビーという漠たる宇宙【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0030】


【短編小説】妖精/星新一
何でも願いをかなえてくれる妖精。ただし条件があり、同時にその2倍が、ライバルにもたらされるという。そのため、あらゆる願いが求められない。ジレンマ。最終的には、ライバルの元へ行くよう願うが、自分にはずっと何も起きない。皮内な結果を受け入れるしかないケイ。妖精という特別な存在と、平凡な自分とのギャップが、鮮明に突きつけられただけに終わる。

【詩・俳句・短歌・歌詞】わたしと小鳥とすずと/金子みすゞ
解説にあった通り、「いつも見えないものを見ていたのだ」と思う。みすゞのとてもフラットで、ある意味で現代的な視点が心地ヨイ。書いた本人も、将来そんな世の中になると思っていたわけではないだろう。完全に後付けではあるけれど、予言のようにも聞こえるのが不思議である。

【論考】人間らしさについて/森本哲郎
ビートルズの「レット・イト・ビー」が出てきたのにびっくり。現在は、社会が情報化されており、世の中のシステム化も進んでいて、あるがままにと言われても、そのままの姿や行動を規定することが困難のように思う。文中に「さまざまに解釈でき」とあったが、私としては漠たる宇宙に投げ出されてしまったように感じる。