ブーアスティン【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#010】


【1月10日】ブーアスティン:1914.1.10~2004.2.25

世の中に事件がなにも起きていない、ニュース取材者たちは眠っている、あるいは競争相手のニュース取材者たちのほうがもっと機敏である、といった印象を人々に与えないためには、どうしたらよいか? 印刷や放送の経費が増大するにつれて、輪転機をいつも動かし、テレビをいつも放送していることが財政的に必要になった。疑似イベントを製造しなければならない必要は、いっそう強くなった。かくしてニュースの取材は、ニュースの製造へと変化したのである。

『幻影の時代、マスコミが製造する事実』後藤和彦・星野郁美訳、東京創元社、1964年

【アタクシ的メモ】
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及によって、個々人の情報発信でも起きているのではないか。社会全体で情報量が増えれば増えるほど、ほかの情報に埋もれないよう、自分の情報を増やし、差異化して、強いインパクトを求めるようになるのだ。


恋にははじまりがあり、おわりがある【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0036】


【短編小説】なぞめいた女/星新一
すべて演技だったということか。とは言え、記憶喪失の演技は、さして難しいとは思えない(演級の素人ではあるけれど)。そうした意味で、あまりオチていないなと感じてしまった。昔のドラマなどでは、記憶喪失って、定番ネタだったが、今はあまり題になっていないなとも思った。

【詩・俳句・短歌・歌詞】はじめてのものに/立原道造。
ネットで調べて、いくつか解説のようなものも読んだが、難しかった。作者の言いたかったことの3分の1も理解できていないように感じる。ただ、灰が降るというのは、ある意味美しいと思ったし、恋のはじまりから、終わりまで描いてるのも、ヨイなと思えた。

【論考】友人について/森本哲郎
友人のたとえに、甘酒と水が適当かどうかは置いておくにしても、長く友人でいるためには、淡々とした付き合いの方がヨイというのは同意する。ただ子供の頃の友には作為がないというのも言い過ぎだと感じるし、真の友の定義が不明瞭な点も気になる。


「ハンムラビ法典」「アルベルト・アインシュタイン」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#008】


第2週第1日(月)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
8 歴史:ハンムラビ法典
ハンムラビは、現在のイラクにあった古代文明バビロニアの王。史上はじめての法律「ハンムラビ法典」を制定した。法律がすべての人に適用され、国民を支配する法律を為政者が勝手に変えてはならないという考えは、非常に画期的で、革命的な発想である。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
8 指導者:ネブカドネザル二世
新バビロニア王国のネブカドネザル二世は、紀元前598年、ユダ王国のエホヤキム王を打ち負かすと、何千ものユダヤ人を捕らえてバビロンに強制移住させ、ユダヤ教を消滅させようとした(バビロン捕囚)。また、「バビロンの空中庭園」を造ったとも考えられる。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
8 人物:アルベルト・アインシュタイン
アインシュタイン(1879~1955)は、1905年、光は波と粒子の両方の性質を持って伝わると、新たな光量子の理論を提唱。また、解明されていなかったブラウン運動という現象の説明、特殊相対性理論の概要を示し、脚光を浴びた。1916年には一般相対性理論を発表し、空間と時間はゆがむことがあると主張した。1921年、ノーベル物理学賞を受賞。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
8 子ども:未熟児
平均的な妊娠期間は40週間(9カ月)。8人に1人は予定日の3週間前に赤ちゃんを出産する。これを未熟児出産、早産と呼ぶ。未熟児出産は、子宮内で発育する期間が短いため、医学的、発育上のリスクがより高まるが、約40%でその原因がわからない。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
8 自然:日本列島の形成
日本はユーラシア大陸東端の沿岸沖に位置する弧状列島。陸地面積の75%が山地、山麓で、全体は6852の島々で構成されている。列島内に地球上の火山の約7%があると言われる有数の火山国である。季節風の影響を強く受けるため、台風や豪雪などの自然災害が少なくない。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
8 政治:縄文文化の成立
旧石器時代から縄文時代へと文化が移り変わった理由は、新しい民族が移入したためとも、激しい環境変化に対応したためともいわれる。この時代は、短い周期で温暖化と寒冷化を繰り返した。縄文時代草創期には竪穴式住居が作られ、定住化が始まったようだ。
いたという説もある。


ボーヴォワール【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#009】


【1月9日】ボーヴォワール:1908.1.9~1986.4.14

人は女に生まれるのではない、女になるのだ。社会において人間の雌がとっている形態を定めているは生理的宿命、心理的宿命、経済的宿命のどれでもない。文明全体が、男と去勢者の中間物、つまり女と呼ばれるものを作りあげるのである。

『決定版 第二の性II 体験』中嶋公子・加藤康子監訳、新潮社、1997年

【アタクシ的メモ】
「女」を一般名詞ととらえると、「男」「中年」「子ども」といった属性を示す一般名詞も、やはり文明全体からつくりあげられていると思う。


ホーキング【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#008】


【1月8日】ホーキング:1942.1.8~2018.3.14

宇宙にはじまりがあるかぎり、宇宙には創造主がいると想定することができる。だがもし、宇宙が本当にまったく自己完結的であり、境界や縁をもたないとすれば、はじまりも終わりもないことになる。宇宙はただ単に存在するのである。だとすると、創造主の出番はどこにあるのだろう。

『ホーキング 宇宙を語る』林一訳、早川書房、1989年

【アタクシ的メモ】
この文章だけでは、「自己完結的」の意味が不明瞭だが、「境界や縁をもたない」は空間の話しであり、はじまりと終わりを時間軸でとらえると、やや詭弁にも聞こえる。創造主(=神)を殺したいだけではないか。


楽観主義に包まれて【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0035】


【短編小説】被害/星新一
終わりが微妙だなと感じてしまった。貧乏神と言えば、ある意味で万能薬的な立て位置に思え、ストーリー構築として、安易すぎるよう思えた。どうしてエル氏につきまとっていたのか、貧乏神とはそもそもどんな性質なのかなど、背景的な情報が乏しいからかもしれない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】旅上/萩原朝太郎
言使いがちょっと古く、現代語ではないので、何度か読んだり、ネットでも少し調べたり。ちゃんと意味が分かってくると、何とも前向きな感じが微笑ましく思えてきた。正直、深さのようなものは、あまり感じないものの、若者(きっと)の楽観主義のようなものがにじみ出てきて、気持ちが軽やかにこなった。

【論考】遊びについて/森本哲郎
子どものころから「遊び」とは何か分かっていないなと思ってきたので、ちょっと注目しながら読んだが、一読しただけでは、上手く理解できなかった。「遊び」とは「ゆとり」のことだというのは賛同できるが、心のゆとりとなると、算定不能だし、何だか別の話になってしまったように感じた。


「モーセ五書」「神道(八百万の神)」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#007】


第1週第7日(日)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
7 宗教:トーラー
トーラーとは、ヘブライ語の聖書冒頭にある五つの書、いわゆるモーセ五書を指す名称。モーセ五書は、ユダヤ教信仰を規定する613の律法の根拠であり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という世界三大一神教の基礎だ。五書は「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
7 伝道者・預言者:アクエンアテン(アメンヘテプ四世)
アクエンアテン(アメンヘテプ四世)は、治世4年目に新しい宗教を創始すると、自分の名を「太陽神アテンに仕える者」を意味する「アクエンアテン」に改め、伝統的な神の崇拝を禁止し、多くの古い神殿の取り壊しを命じた。しかし、アクエンアテンの死後、息子のトゥトアンクアテン(ツタンカーメン)によって、宗教改革の痕跡は消えてしまった。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
7 大衆文化:コニ-アイランド
ニューヨーク市ブルックリン区の南端に位置するコニ-アイランドには複数の遊園地があり、開業した1980年代以降、数十年にわたりアメリカで最も大きく、人気のある観光地とされてきた。映画やテレビが登場する以前、遊園地は第一級の大衆娯楽だった。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
7 医学の歴史:マリ・キュリーとラジウム
マリ・キュリーは、夫であるピエール・キュリーとともに、放射性元素であるポロニウムとラジウムを発見した。ラジウムの発見は、X線、がんの放射線治療、原子に関する理解など、医学に大きな影響を与えた。また、1903年にノーベル物理学賞、1911年にはノーベル化学賞を授与された。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
7 哲学・思想:神道(八百万の神)
神道は、仏教やキリスト教のような開祖を持たない自然宗教。動植物、地形、物質など様々な神が信仰されていることから、アニミズムとされることも多いが、天照大神、須佐之男命などの人格神が中心になっているため、アニミズムだけで説明できるものではない。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
7 文化・芸術:土偶
土偶は妊娠した女性の像だと考えられるが、豊満な女性像は世界中の農耕社会で出土しており、大地母神への崇拝を示す、あるいは豊穣を祈るための祭具だと考えられている。土偶が破損した状況で出土することから、身代わりの呪具として使われていたという説もある。


語り得ぬことには、沈黙せねばならない【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0034】


【短編小説】肩の上の秘書/星新一
本音と建前のある日本社会を風刺しているのだと思うが、現在はちょっと変わったなとも思う。また、ロボットインコに要約してもらうのだとすると、何のための丁寧な説明なのだろうと、途中で段々と意味を感じられなくなった。そんなこともあり、最後の件は、ちょっと「?」になってしまった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】峠/真壁仁
一回読んだだけでは、作者の真意(恐らく)は理解できなかった。ただ、昔バイクでいくつもの峠を走った体験と重ね合わせると、峠に入る前と峠を下る際め心持ちの違いは、何となく共感できるようになった。とは言え、ひとつの世界とわかれるまでは、感じていなかったが。

【論考】哲学について/森本哲郎
「哲学について」というテーマで、ヴィトゲンシュタインを持ってくるかーというのが第一印象。カントが理性の限界をさぐり、ヴィトゲンシュタインはことばの限界をきわめようとした、というのはその通りかもしれないが、それを読み手が知識として知っても、あまり意味がなく、自らの頭で考えることこそが、やはり哲学なのだと思っている。


「現象と実在」「伊弉諾尊・伊弉冉尊」など【「1日1ページ教養シリーズ」を毎日読む#006】


第1週第6日(土)
■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
6 哲学:現象と実在
ソクラテス以前の哲学者たちは、実在するものの根本的な本質は、通常目にしている姿、つまり現象とは別にあると考えた。普段の無批判な観察からは、誤った世界像しか得られないと疑う。それゆえ、彼らの思索は現代科学の先駆けでもあった。

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【人物編】
6 反逆者・改革者:モーセ
モーセは、古代イスラエルの民族指導者。旧約聖書によると、彼がエジプトの王の圧政からヘブライ人を逃れさせ、後に「モーセの十戒」として知られる戒律をヘブライ人たちに伝えた。

モーセの十戒 – Wikipedia

■1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365【現代編】
6 スポーツ:ジェームズ・ネイスミス
野球、バスケットボール、アメリカンフットボールのアメリカ三大スポーツのうち、カナダ生まれの体育教師ジェームズ・ネイスミスが考案したのがバスケットボールだ。フットボールシーズンと野球シーズンに挟まれた冬に実施できる屋内活動として考えられた。

■1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365
6 ライフスタイルと予防医学:タンパク質
タンパク質は、骨や筋肉、皮膚をつくり、維持するめに欠かせない栄養素。平均的な成人は、1日に50~65グラムのタンパク質を必要とするが、脂質や全脂乳製品に含まれる飽和脂肪は避けたい。豆、魚、鶏肉がより健康的な選択肢である。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365
6 伝統・文化:元号
日本で元号が使われるようになったのは、遣唐使が中国の暦を日本に持ち帰ってからと言われている。日本で最初の元号は「大化」。改元は、縁起の良いことにあやかって政治を良い方向に運んだり、凶事をリセットし悪いことが続くのを防ぐために行われていた。

■1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】
6 人物:伊弉諾尊・伊弉冉尊
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)は、日本神話に最初に登場する夫婦であり、兄妹。協力して日本レットの島々をはじめ、木の神、山の神などを生み出した。伊弉冉尊が黄泉の国に行った後には、天照大神(あまてらすおおみかみ)、月読尊(つきよみのみこと)、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を生み出した。


岡本太郎【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#007】


【1月7日】岡本太郎:1911.2.26~1996.1.7

いつも読書しながら、一種の絶望感をおぼえる。確かに面白い。対決もある。だが目と頭だけの格闘はやはり空しい。人生はまたたく間もないほど短いのである。ハイデッガー、ヤスパース、サルトルにしても、実存を説きながら、なんであのようにながながと証明しなければならないのか。その間に絶対の時間が失われてしまう。サルトルに言ったことがある。「あなたの説には共感するが、あのびっしりと息もつまるほど組み込まれた活字のボリューム。あれを読んでいる間、いったい人は実存しているだろうか。」彼は奇妙な顔をして私を見かえした。
私はいま生きているこの瞬間、全空間に向かって、八方に精神と肉体を飛び散らしたい。(「思想とアクション」)

『エッセイの贈り物』2、岩波書店、1999年

【アタクシ的メモ】
岡本太郎らしい言葉。目と頭だけの格闘ではなく、精神と肉体を飛び散らす――。こんな発言を聞くだけで、パワーとワクワク感をもらえるから不思議である。