先輩から可愛がられる10代のシンガー・ソングライター:Illuminate/Shawn Mendes【CD千本ノック 0103本目】


ショーン・メンデスは、1998年8月8日にカナダのトロントで生まれたシンガー・ソングライターである。年齢は現時点で19歳と、まだとても若いアーティスト。しかし、音楽においては若さよりも、むしろ落ち着きや手堅さを感じる。

この『イルミネイト』も、日本ではデビュー・アルバムになるが、自国などでは2015年にファースト・アルバム「ハンドリトゥン(Handwritten)」をリリースしており、彼のキャリアとしては2枚目に当たる。また、ファースト・シングルを2014年に出していたりと、ベテランとは言えないものの、ティーン・エイジャーではあるが駆け出しではないのだ。

先輩アーティストからの評価も高い。テイラー・スウィフトが北米ツアーのオープニング・アクトに抜擢したり、ジャスティン・ビーバーがアルバムを絶賛したりと、文字通りの可愛がりエピソードに事欠かないのである。

その音楽性において、彼自身が憧れ、強く影響を受けたミュージシャンはジョン・メイヤーだという。そのせいか、1曲目の「ルーイン」は、ジョン・メイヤーを思い出させる曲で、「あれ、これって彼のカバーだっけ」と勘違いしたくらいだった。

もちろん、ジョン・メイヤー風の楽曲ばかりではない。少し南米を感じさせる曲やピアノの演奏で歌い上げる曲など、思った以上に収録曲はバラエティーに富んでいる。聴き手を選ばない、サウンドや歌の幅広さがショーン・メンデス最大の強みなのかもしれない。

Illuminate/Shawn Mendes(2017)
1. Ruin
2. Mercy
3. Treat You Better
4. Three Empty Words
5. Don’t Be A Fool
6. Like This
7. No Promises
8. Lights On
9. Honest
10. Patience
11. Bad Reputation
12. Understand
13. Hold On
14. Roses
15. Mercy (Acoustic)
16. Stitches
17. Treat You Better
18. Ruin [Live]

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傑作を1枚残したまま行方不明:Finelines/My Vitriol【CD千本ノック 0102本目】


マイ・ヴィトリオールは、2001年だったかにサマー・ソニックで初めて見て、まさにひとめぼれしてしまったバンドである。サマー・ソニックが終わると、いそいそとCD屋に向かって、この『ファインラインズ』を入手した。

一枚しかアルバムがなかったこともあり、アタクシはこのCDを繰り返し聴いた。鋭く叩きつけるようなドラムとノイジーなギターによって、疾走感が生まれ、激しさとクールさが見事に調和した音楽が鳴っている。

バンドの紹介に際しては、「マイ・ブラディー・バレンタインとニルヴァーナの融合」とも表現されたようだ。実際に、バンドのフロントマンであるソム・ウォードナー(Vo&G、作詞作曲担当)は、「音楽面では、カート・コバーンが僕のヒーローだね。だって彼に触発されてギターを始めたんだから」と答えている。グランジとシューゲイザーのいいとこ取りした音楽と言えるかもしれない。

ただ残念なことに、このファースト・アルバム以降、彼らはあまり活動をしておらず、ある意味傑作を1枚だけ残して行方不明になってしまった感じなのである。音楽としての完成度も高く、アタクシ含めリスナーの評価も非常に良かったので、本当にもったいないと思う。何らかの形で復活してくれたら、また聴きたいし、応援したいのになあ。

Finelines/My Vitriol(2001)
1. Alpha Waves
2. Always: Your Way
3. Gentle Art of Choking
4. Kohlstream
5. Cemented Shoes
6. Grounded
7. C.O.R. (Critic-Oriented Rock)
8. Infantile
9. Ode to the Red Queen
10. Tongue Tied
11. Windows & Walls
12. Taprobane
13. Losing Touch
14. Pieces
15. Falling Off The Floor
16. Under The Wheels
17. All Of Me
18. Another Lie
19. Safety Zones And Crumple Zones

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セカンドにして円熟する歌声:The Thrill Of It All/Sam Smith【CD千本ノック 0101本目】


「サム・スミスは、やはりサム・スミスだった」と、このセカンド・アルバム『スリル・オブ・イット・オール』を聴いて思った。何じゃそりゃな感想かもしれないが、それくらい彼の声に存在感があり、圧倒的だったのだ。

デビュー作『イン・ザ・ロンリー・アワー』でグラミー賞を4冠獲得するなど、ワールド・ワイドで大ブレイクしたサム・スミス。現役のボーカリストだと、女性ならアデル、男性なら彼が、声の力、説得力など、抜群に頭抜けた実力を誇っていると思う。

そんなサム・スミスが3年ぶりにリリースしたのが、このアルバム。ファースト・アルバムと単純に比べてしまうと、サウンド自体は地味になった感じがするかもしれない。

ライナー・ノーツにあった彼の言葉を借りると、「できる限りオーガニックな音楽にしようとしているんだ」とのこと。サウンド・プロダクションとしての抑揚は押さえられているが、そのおかげで彼の歌唱力がより際立っていると感じた。

『イン・ザ・ロンリー・アワー』について、すごくヨイCDだとは思っていたのだが、実は意外と聴かずにきてしまった。だが、このセカンドは、今後ことあるごとに再生するアルバムになるだろう。彼が追求したオーガニックさが、少なくともアタクシの耳には、本当に絶妙に気持ちよく響いたのである。

The Thrill Of It All/Sam Smith(2017)
1. Too Good At Goodbyes
2. Say It First
3. One Last Song
4. Midnight Train
5. Burning
6. HIM
7. Baby, You Make Me Crazy
8. No Peace
9. Palace
10. Pray
11. Nothing Left For You
12. The Thrill Of It All
13. Scars
14. One Day At A Time
15. Leader Of The Pack
16. Blind Eye

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ビートルズに肩を並べる奇跡の一枚:(What’s The Story)Morning Glory?/Oasis【CD千本ノック 0100本目】


いきなり「ワンダーウォール」に関するディテールの話しで恐縮だが、冒頭「ゴホン」と咳ばらいから始まるアルバム・バージョンの方が、何もないシングル・バージョンより好きだ。「これから歌い始めるぜ」という感じがするからだろうか。

この『モーニング・グローリー』は、1995年にリリースされたオアシスのセカンド・アルバム。もう20年以上前のアルバムになるが、彼らにとって最大のセールスを記録しているし、今でも聴き継がれていて数多くのリスナーに愛されているから、珠玉のロック・クラシックと言ってヨイだろう。

アタクシ自身、発売当初からずっと聴いてきたCDであるが、その時に感じたメロディの美しさ、歌声の力強さ、サウンドの瑞々しさは、今聴き直しても、全く変わらない。これからもエバーグリーンとして、彼らが敬愛するビートルズのように、世界中の人にずっと聴かれ続けていくのだと思う。

これだけ駄曲がなく、何度聴いても、いつ聴いても、グッとくるロック・アルバムは本当に珍しい。アタクシの私見ではあるが、少なくともこの『モーニング・グローリー』については、ビートルズに肩を並べたアルバムと評価している。そうした意味でも、20世紀を代表する奇跡の一枚と言えるだろう。

(What’s The Story)Morning Glory?/Oasis(1995)
1. Hello
2. Roll With It
3. Wonderwall
4. Don’t Look Back In Anger
5. Hey Now!
6.
7. Some Might Say
8. Cast No Shadow
9. She’s Electric
10. Morning Glory
11.
12. Champagne Supernova

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レッドベリーのカバー曲は、ロック史上に残る超名演:MTV Unplugged in New York/Nirvana【CD千本ノック 0099本目】


音楽が好きで、CDを買い込んでいると話すと、「おススメのCDはありますか?」と聞かれることがある。もちろんアタクシ、おススメしたいアルバムやアーティストは少なくないのだが、質問した方がきちんと満足することを考えると、この問いは簡単なようでいて結構回答が難しいお題だと思う。

ただ、そんな場合でも臆せず推薦できるアルバムが、ニルヴァーナの『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』である。顧客満足度、推奨度の指標NPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)で言ったら、アタクシはもうパンパンの10点満点だ。

アルバム自体は、アコースティック曲を中心に据えたセットを収録したライブ盤。1993年11月18日に、ニューヨークのソニースタジオで録音されたという。彼らのオリジナル曲だけでなく、カバー曲も数多く演奏されているのが特徴である。

タイトルの通り、全曲ノイジーなエレキギターが封印され、穏やかでエモーショナルなサウンドに終始している。そのせいかカート・コバーンも観客も、非常にリラックスしたヨイ雰囲気なのが印象的。彼のボーカルも、腹から存分に声が出ていて、魂のこもった歌声が聴ける。

彼らの普段の持ち味である大音量やノイズにあふれるグランジ・ロックではないのに、どの曲も聴き手の心を捉える新鮮な魅力をまとっているのもスゴイところだろう。

中でも、ラスト2曲の「オール・アポロジーズ」から「ウェア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト」への盛り上がりは圧巻である。特に、伝説的な黒人フォーク・シンガー、レッドベリーのカバーである最終曲は、ロック史上に残る超名演だ。時代や場所を越えて一人ひとりの心を揺れ動かす強い力があるからこそ、いつままでもこのアルバムは色褪せないのだろう。

アタクシのおススメを信じてみてもヨイという方は、アルバム全曲を聴いてほしいところだが、この「ウェア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト」だけでも試してみてほしい。ここでしか聴けない、至高の音楽体験ができるはずだ。そして、もし気に入ったら、DVDで実際の映像も合わせて確認してもらえるとうれしい。

MTV Unplugged in New York/Nirvana(1994)
1. About A Girl
2. Come As You Are
3. Jesus Doesn’t Want Me For A Sunbeam
4. The Man Who Sold The World
5. Pennyroyal Tea
6. Dumb
7. Polly
8. On A Plain
9. Something In The Way
10. Plateau
11. Oh, Me
12. Lake Of Fire
13. All Apologies
14. Where Did You Sleep Last Night

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いつか“アタクシの音楽”になるのだろうか:Memories…Do Not Open/The Chainsmokers【CD千本ノック 0098本目】


確かロッキング・オンで強くプッシュされていて、いわばその情報を鵜呑みにする格好で、『メモリーズ…ドゥー・ノット・オープン』を購入した。これまで聴いたことのないCDやアーティストを聴き始めるには、誰かのオススメを妄信するしかないだろう。当たるも八卦当たらぬも八卦、なのだ。

ザ・チェインスモーカーズは、アンドリュー・タガート (Andrew Taggart) と、アレックス・ポール (Alex Pall) の2人からなるユニット。ライナーノーツによれば、ジャンルはポストEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)になるようだ。EDMをそんなんい聴いていないアタクシからすると、 「EDMの次」と言われてもなぁと思わないこともない。これはあくまでも、アタクシの事情だが。

実際にアルバムを聴いてみると、人気が出たり、注目が集まりそうな曲ばかりだった。リズムにエッジや切れがあるし、メロディアスな曲もちゃんと用意されている。また、コールド・プレイのクリス・マーティンを筆頭に、凄腕ボーカリストを多数招いていて、ボーカルの歌声に説得力は十分。そうした意味でも、売れることがとても納得できるCDである(日本盤では人気のある曲をボーナス・トラックとして収録している)。

とは言え、なぜかアタクシ自身は、全曲通して聴いてもグッと来ないままであった。エレクトロニック・ミュージックということが影響しているのだろうか。まだまだ聴き馴染んでいないからかもしれない。何れにせよ、現段階では、“アタクシの音楽”と思えないのだ。

もちろん、彼らに何か問題があると言いたいわけではない。いくらヨイ曲をたくさん聴かせてもらっても、ちゃんと心が動くかどうかはまた別のことなのだ。好きなアーティストでも、ライブで聴くとしっくり来ないなんてこもとある。一筋縄でいなかないからこそ、音楽は面倒であり、面白いのかもしれない。

Memories…Do Not Open/The Chainsmokers(2017)
1. The One
2. Break Up Every Night
3. Bloodstream
4. Don’t Say
5. Something Just Like This
6. My Type
7. It Won’t Kill Ya
8. Paris
9. Honest
10. Wake Up Alone
11. Young
12. Last Day Alive
13. Closer
14. Don’t Let Me Down
15. Roses

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「変わる」と「変わった」との違い:変身/チャットモンチー【CD千本ノック 0097本目】


ドラムを担当していた高橋久美子が脱退して、2人編成のチャットモンチーとして最初のアルバム。アルバム・タイトルにもなっている「変身」という曲から始まる。

高橋脱退の理由は、当時発表された「音楽に向かっていくパワーがなくなっている」くらいしか知らないので、もちろん詳細や真相を理解しているわけではないだろう。

そんなアタクシにとってこのアルバムは、残念ながらドラムが刻むべきリズムに欠けてしまったCDである。ドラム自体は、橋本絵莉子や福岡晃子が担当することで何とか賄っているが、全体の音数が減っていたり、リズムそのもの気持ちよさが、物足りないというのが正直なところである。

「きらきらひかれ」や「満月に吠えろ」みたいに、チャットモンチーらしいロック・ナンバーもあるし、「ふたり、人生、自由ヶ丘」のような、東京の交通網、地名をうまくいかした微笑ましい曲もあり、全く精彩がないとは言わないまでも、かつて彼女たちが鳴らした、切なさと隣り合わせの瑞々しいオルタナティブ・ロックのサウンドは姿を見せていないのではないか。

当然、音楽に誰もが納得する正解はないし、真剣に鳴らされた音楽に文句をつけるのは、ゲスの極みであるだろう。それでもアタクシ自身は、このアルバムをなかなか好きになれずにいる。実際リリース後に1度聴いたら、その後何度も聴き直す感じにはなれなかった。

変身/チャットモンチー(2012)
1. 変身
2. ハテナ
3. テルマエ・ロマン
4. 少女E
5. コンビニエンスハネムーン
6. Yes or No or Love
7. 初日の出
8. 歩くオブジェ
9. きらきらひかれ
10. ふたり、人生、自由ヶ丘
11. ウタタネ
12. 満月に吠えろ

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オーガニック・リーチで、何度でも新しく好きになる:何度でも新しく生まれる/MONDO GROSSO【CD千本ノック 0096本目】


モンド・グロッソ(大沢伸一)は、以前から名前だけは知っていたけれど、ちゃんと音楽を聴いたことはないアーティストだった。そんな中、ある日Facebookでシャアされてきたのが、満島ひかりがボーカルを取った「ラビリンス」の動画である。

身の回りの人からの数多くのオーガニック・リーチ、絶賛の言葉に背中を押され、アタクシも動画を見た。多分、2~3度繰り返して再生したと思う。そして、この一曲の動画ですっかりモンド・グロッソが自分の頭の中にゆるぎない存在となったのである。

この「ラビリンス」も収録されている『何度でも新しく生まれる』は、モンド・グロッソとして、14年ぶりのオリジナル・アルバムだ。

モンド・グロッソ初級者のアタクシは知らなかったが、初めてボーカルが全曲日本語詞になったという。先の満島ひかりのほかに、bird、UA、齋藤飛鳥(乃木坂46)など、多彩なボーカリストとコラボしている。

ボーカリストだけでなく、サウンド・クリエイションも一つの手法にとどまらず、多彩多様な曲が編み上げられているのが大きな特徴だろう。全体的にスタイリッシュなサウンドではあるが、曲の途中でテンポが変わったりと、独自の美意識やクリエイティビティを感じさせるのも、聴き手の心をとらえる。

アタクシは、この『何度でも新しく生まれる』一枚だけで、すっかり大沢伸一のサウンドが気に入ってしまった。なので、過去にさかのぼる形で、あれこれ昔のアルバムにも手を伸ばし始めているところだ。

何度でも新しく生まれる/MONDO GROSSO(2017)
1. TIME
2. 春はトワに目覚める (Ver. 2)
3. ラビリンス (Album Mix)
4. 迷子のアストゥルナウタ
5. 惑星タントラ
6. SOLITARY
7. ERASER
8. SEE YOU AGAIN
9. late night blue
10. GOLD
11. 応答せよ

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スーパー早とちりで三文の徳:Volume 1/BNQT【CD千本ノック 0095本目】


実は、インディー・ロックのスーパー・グループが結成されたと聞き、焦ってCDを購入してしまったのである。

「BNQT」の読み方は「バンケット(Bansuet)」で「宴会」を意味する。ミッドレイクのエリック・プリードの呼びかけによって、フランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノス、バンド・オブ・ホーセズのベン・ブライドウェル、トラヴィスのフラン・ヒーリィ 、グランダディのジェイソン・ライトルらが集結した。

改めてメンバーを列挙すると、次の通りだ。
ミッドレイク:エリック・プリード(G&Vo)、マッケンジー・スミス(Dr)、ジョーイ・マクレラン(G)、ジェシー・チャンドラー(Key)
グランダディ:ジェイソン・ライトル(V&G&Key)
バンド・オブ・ホーセズ:ベン・ブリッドウェル(Vo&G)
フランツ・フェルディナンド:アレックス・カプラノス(Vo&G)
トラヴィス:フラン・ヒーリィ(Vo&G)

初めてこのバンドの情報を見たとき、「うわー、メンバーは自分の好きなバンドばかりだあ」と思ってCDの購入をすぐに決心した。しかし、実際にアルバムを手に取ってよく確認してみると、アタクシが知っているバンドはフランツ・フェルディナンドとトラヴィスだけだった。おかしい…。

そんな早とちりは置いておくとして、ちゃんと彼らの音楽に耳を傾けてみるとヨイ曲ぞろいのアルバムある。スケール感のある「リスタート」という曲から始まり、AOR調の曲やエリオット・スミスやドアーズを思わせる曲など、ポップさ、キャッチーさで勝負するのではなくじっくり聴かせる佳曲ばかりではないだろうか。

日本国内では、あまり話題になっていないようではあるが、スーパー・バンドのアルバムというよりも、粒ぞろいの曲をリリースしたイケてるプロジェクトと理解されたら、もう少し注目が集まるかもしれない。

ちなみに、このバンケットのメンバーは固定化されておらず、今後新メンバーが登場する可能性もあるようだ。そんなメンバー候補に、ルーファス・ウェインライトやノラ・ジョーンズの名前も挙がっている。このアルバムがきちんと評価されることもさることながら、ボリューム2、ボリューム3と続く新しい展開にも期待したいところである。

Volume 1/BNQT(2017)
1. Restart
2. Unlikely Force
3. 100 Million Miles
4. Mind Of A Man
5. Hey Banana
6. Real Love
7. Failing At Feeling
8. L.A. On My Mind
9. Tara
10. Fighting The World

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音楽を鳴らすのは人であり、形式ではない:Kitty, Daisy & Lewis The Third/Kitty, Daisy & Lewis【CD千本ノック 0094本目】


キティー・デイジー&ルイスは、イギリス・ロンドン生まれの3兄弟のロックンロールバンドだ。父親はマスタリング・エンジニアで、母親もポストパンク・バンドのメンバーと、まさに音楽一家である。

『キティー・デイジー&ルイス・ザ・サード』は、2015年にリリースされた名前通りサード・アルバム。2008年にはファースト・アルバムを出しているので、若いながらも結構なキャリアになる。

ただ、アタクシ自身はつい最近知ったバンドなので、このアルバムが彼女たちの初体験だし、正直それほど聴きこんでいるわけではない。

CDのライナーノーツなどによれば、レコーディングにあたり音楽機材は最新のものを利用せず、自分たちで探し出して結構古いアナログ機材を使っているのだとか。

それも、手法としてアナログ回帰を目指しているのではなく、自らが鳴らしたい音を求めているうちに、そうした機材に行き当たると彼女たちは話している。

10代前半から音楽活動を始めて、今でもまだ20代のようであるが、自分たちのスタイルや見え方に耽溺せず、本質的に音楽を探求しているように感じる。

実際に彼女たちの演奏は、形式としてはオールド・ファッションではあるが、その一つひとつの音や声はビビッドで、どこかで聴いたことのある懐かしさと今だから聴ける初々しさのようなものがない交ぜになっていると思う。そして、それがとても新しいものとして響いてくる。一言で表現すると、温故知新バンドなのかもしれない。

そう言えば、キティー・デイジー&ルイスはテレビ番組の『関ジャム』でも取り上げられていた。どうやらライブが圧巻らしいので、このCDだけでなく生の演奏を体感したいと思っている。

Kitty, Daisy & Lewis The Third/Kitty, Daisy & Lewis(2015)
1. Whenever you see me
2. Baby bye bye
3. Feeling of wonder(feat.Mick Jones)
4. No action
5. Good looking Woman
6. Turkish delight
7. It ain’t your business
8. Ain’t always better your way
9. Never get back
10. Bitchin’ in the kitchen
11. Whiskey
12. Developer’s disease
13. I should have known

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