心地よく、美しく、切ない未来の不在:Modal Soul/Nujabes【CD千本ノック 0035本目】


この『モーダル・ソウル』がリリースされたときに、確かタワレコなんかで猛烈にプッシュされていて、やや渋々手に取ったのだったと思う。ヒップホップはそんなに得意ではなかったし、第一印象は何だか格好つけているように感じたからだ。

Nujabes(ヌジャベス)というアーティスト名は、本名である瀬葉淳をローマ字表記にした「SEBAJUN」を逆さにしたものだということも、かなり後になって知った。だから最初はCDを手にしながら、その名前に奇妙な印象しか受けなかった。

ただ、そのサウンドはアルバムを通して、ひたすら心地よく、美しく、切ない音が奏でられている。それほどヒップホップを聴き込んでいるわけではないが、このアルバムの完成度は圧倒的に高く、ある意味孤高のアルバムに感じるほど。何か特別なものに触れている気がするのだ。

気持ちのよいリズム、きれいなメロディーがあれば、その瞬間は聴き手を満足させられるかもしれない。しかし、アーティストとして印象に残ったり、一枚のアルバムとして長く記憶してもらうのは、誰にでもできることではない。だが、今でもこのアルバムは聴き継がれている。

Nujabesは、2010年に交通事故で亡くなっているので、このセカンド・アルバムが最後のオリジナル・アルバムとなってしまった。もう彼の新しい音楽を聴くことはできないのだ。それゆえに自然と、『モーダル・ソウル』の先にどんな音が鳴ったのだろうと思ってしまう。やはり彼の不在が残念でならない。

Modal Soul/Nujabes(2005)
1. Feather
2. ordinary joe
3. reflection eternal
4. Luv (sic.) pt.3
5. Music is mine
6. Eclipse
7. The Sign
8. Thank you
9. World’s end Rhapsody
10. Modal Soul
11. flowers
12. sea of cloud
13. Light on the land
14. Horizon

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「音楽と私」で世の中に発信できる凄さ:Music & Me/Michael Jackson【CD千本ノック 0034本目】


いやあ、圧倒的な1枚だと思う。「音楽と私」という題名からも、その凄さが伝わるのではないだろうか。マイケル・ジャクソンは『スリラー』というイメージもあるし、少しさかのぼっても、『オフ・ザ・ウォール』だと思うが、アタクシはこのアルバムを聴いたとき、彼の音楽の核や本質がもう確立しているように感じた。

その声は、まだ声変わりする前。年齢や聴こえてくる声から、子どものアルバムと言えなくもないが、自分にはそんな風にはとらえられなかった。ある種、決意の音楽にも聴こえたのである。15歳くらい、日本で言えばまだ中学生や高校に入るころに発表したアルバムだったのではあるが。

初めて聴いたのも結構最近で、当時の正確な状況は分からないため、勝手に想像するしかない。マイケル・ジャクソンのソロとしてもそれほどヒット曲が出ているわけでもないようで、もしかすると世間的には小粒なアルバムととらえられているのかもしれない。

ただ、アタクシにとっては早熟の天才を体現する音楽、アルバムだと感じる。『オフ・ザ・ウォール』や『スリラー』『バッド』のような、メガアルバムを聴く前に、一度チェックしておいてもヨイのではないだろうか。

Music & Me/Michael Jackson(1973)
1. With A Child’s Heart
2. Up Again
3. All The Things You Are
4. Happy (Love Theme From “Lady Sings The Blues”)
5. Too Young
6. Doggin’ Around
7. Johnny Raven
8. Euphoria
9. Morning Glow
10. Music And Me

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ストーンズだからって、知ってるつもり?:Out Of Our Heads/The Rolling Stones【CD千本ノック 0033本目】


タワーレコードには「タワレコチョイス」という、対象商品を3枚以上買うと1枚500円割り引きするキャンペーンがある。以前は、年に何回かという頻度だったけど、最近は割と途切れなくやっている感じがする。いわゆる定番アルバムが対象になるのだけど、それだけCDが売れていないのかなと思っている。

そんなタワレコチョイスのおかげで出会ったのが、このローリング・ストーンズの『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』である。このアルバムも、タワレコチョイスの対象になっていたので、割と気軽な気持ちで購入した。お得だしー。

早速アルバムを聴いてみると、あれ初めて聴くアルバムだけど何だか聴きなれた音がするなと曲名を確認する。そして「『サティスファクション』じゃん」となった。「サティスファクション」は、ストーンズの代表曲だから、もちろんこれまで何度も聴いてきたけれど、収録しているオリジナル・アルバムを全く知らなかった。やだー。

しかもこのCDには「USヴァージョン」と書かれている。あれっと思って少し調べてみると、ストーンズの初期のアルバムにはUS盤、UK盤があるそう。また、版権所有者が別にいて彼らの自由にならず、自国であるUKヴァージョンは廃盤になっているのだとか。これも全然知らなかった。何だよ、知ってるつもりー。

このようにストーンズについて知らないことだらけで、胸を張って言いづらいものの、彼らの初期の音楽はまだまだブルースの手触りが強くて、アタクシの好みである。やや素朴な音ではあるが、「サティスファクション」も入っているし、やはり格好ヨイと思う。ただ、早計にわかったつもりにならず、繰り返し聴きいていかなきゃいけないねー。

Out Of Our Heads/The Rolling Stones(1965)
1. Mercy Mercy
2. Hitch Hike
3. The Last Time
4. That’s How Strong My Love Is
5. Good Times
6. I’m All Right [Live]
7. (I Can’t Get No) Satisfaction
8. Cry To Me
9. The Under Assistant West Coast Promotion Man
10. Play With Fire
11. The Spider And The Fly
12. One More Try

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「知る人ぞ知る隠れた名シンガー・ソングライター」と勘違い:O/Damien Rice【CD千本ノック 0032本目】


このアルバムを初めて見かけたのは、タワレコかどこかのフジロック特集コーナーではなかったか。ダミアン・ライスは2007年のフジロックに出ることになっており、結局前日にキャンセルになってしまったのだが、多分そのCD売り場で視聴したのが出会いだった。

楽器はギターくらいで、そこに自身のボーカルを乗せただけのシンプルな音楽ではあるが、穏やかながらも力強い歌声に魅了された。アタクシにとってそれまで全く知らないアーティストだったので、自分勝手に「知る人ぞ知る隠れた名シンガー・ソングライター」として何度も聴くようになった。

ただ実際は、この『オー』というアルバムも全世界で300万枚以上を売り上げているし、彼の出身であるアイルランドの老舗音楽誌『HOTPREES』が発表した偉大なるアイリッシュ・アルバム・トップ100では、U2の『ヨシュア・トゥリー』に続く第2位に選出されたそうだ。全然隠れたりしておらず、自国だけでなく、世界中から高く評価されているアーティストだったのだ。

このダミアン・ライス、かなりのメディア嫌い、取材嫌いのようで、プロモーションの時期に失踪してしまい、1カ月間連絡がとれなかったこともあるとのこと。どうやら聴き手に対して、自分の曲を説明したりするのがとても嫌なようで、「人それぞれが思うように自分の中に取り込んでくれたほうがもっと興味深くなる」と考えるからだという。

ちなみに、このアルバムを聴くと特に1曲目の最初のほうで、何とくなくハナレグミを聴いているような感覚があった。最近、ハナレグミのアルバムを聴いたばかりだったということがあるのかもしれない。また、3曲目の「ザ・ブロウワーズ・ドーター」は、ジュリア・ロバーツやジュード・ロウらが出演した映画『クローサー』の挿入歌になっているそうだ。

O/Damien Rice(2002)
1. Delicate
2. Volcano
3. The Blower’s Daughter
4. Cannonball
5. Older Chests
6. Amie
7. Cheers Darlin’
8. Cold Water
9. I Remember
10. Eskimo

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「女性ボーカルによる甘美なアルバム」とずっと思っていた:Woman/Rhye【CD千本ノック 0031本目】


そのジャケットは、大きくのけぞった首筋の流麗な曲線と、モノクロのシンプルなデザインで構成されており、多くの人が美しさにパッと目を引かれるのではないか。

『ウーマン』と題されたアルバムタイトルや、そのジャケットのイメージから、自然と清らかでフェミニンな音楽を想像するだろう。実際に音を聴いてみると、シャーデーを彷彿させるようなけだるく、スモーキーな歌声が流れてくる。自分の第一印象は、間違っていなかったと感じる。

ライは、マイク・ミロシュ (Michael Milosh)とロビン・ハンニバル (Robin Hannibal)による音楽デュオ。カナダ出身のマイクとデンマーク出身のロビンが、ロサンゼルスで再会したことをきっかに2人組としての活動を始めたという。

男性2人のユニットであるから、CDを聴いて初めに思ったのは、ボーカルを自分たちが選んだ女性に依頼しているのだな、ということ。自分たちの音楽性に合ったボーカリストを探し出して、音楽制作をする人たちだと考えていた。そう、初めて聴いてから、ずっと…。

しかし、今回改めてCDのライナーノーツを読んで、まさにのけぞった(逆から言うと、ずっと読んでいなかった…)。アタクシがずっと女性だと思っていたボーカリスト、シャーデーにも似たあの歌声は、何とマイク本人だったのだ。自分にとっては、本当に衝撃の事実がさらっと書かれていたのだ。

再度、男性と分かって聴き直しても、やや納得できないような感じが正直なところ。歌声を聴くだけでは、男性だと気づくのは難しい。もちろん、女性であれ、男性であれ、美しい歌声であれば、性別にこだわる必要はないのだが…。

たまたまアタクシは、ボーカルが男性だったことに驚きまくっているが、『ウーマン』で奏でられる歌は、上質なシルクのような感触。それこそシャーデーやThe XXのような音楽が好きな人には、彼の甘美な声を、一度体験してもらいたいと思う。

Woman/Rhye(2013)
1. Open
2. The Fall
3. Last Dance
4. Verse
5. Shed Some Blood
6. 3 Days
7. One Of Those Summer Days
8. Major Minor Love
9. Hunger
10. Woman
11. Verse (Live)
12. Open (Live)

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切り刻まれた音がビートを奏でている:Surrounded By Silence/Prefuse 73【CD千本ノック 0030本目】


プレフューズ 73ことスコット・ヘレンのアルバム『サラウンデッド・バイ・サイレンス』(何枚目かはよくわからず…)。

ウィキペディアによれば、彼は「エレクトロニカに属するアーティストの中でも、いち早くヒップホップへのアプローチを行い、数々のエレクトロニカアーティストへの影響を残した。ラップをサンプリングし、ズタズタに分解・再構築する『ボーカル・チョップ』という技法を生み出し、数々のフォロワーを生んだ」とのこと。

確かにこのアルバムで、プレフューズ 73というアーティストを初めて聴いたとき、ビートが切り刻まれているのに、どうしてこんなに音は心地ヨイのだろうと不思議に思った。細かく裁断されているのに、すべてつながっているような、ばっさりと音を切断しているのに、それ自体がリズムを立ち上げ、奏でてているような感じがした。

スコット・ヘレンは数多くの名義で活動しているが、このプレフューズ 73においては、ルーツとなるヒップ・ホップに取り組み、それをより深めているようだ。音自体に派手さや激しさはないものの、聴いているアタクシにはグッときたし、こうした新しい音の試みは次の世代にも残っていくのではないだろうか。

Surrounded By Silence/Prefuse 73(2005)
1. I’ve Said All I Need To Say About Them Intro
2. Hydeyaface feat. Ghostface and El-P
3. Bad Memory Interlude One
4. Ty Versus Detchibe feat. Tyondai Braxton
5. Expressing Views Is Obviously Illegal
6. Pastel Assassins feat. Claudia + Alejandra Deheza
7. Pagina Dos feat. Brooks
8. Silencio Interlude
9. Now You’re Leaving feat. Camu
10. Gratis (Pedro Versus Prefuse)
11. We Go Our Own Way feat. Kazu (Blonde Redhead)
12. Mantra Two feat. Tyondai Braxton
13. Sabbatical With Options feat. Aesop Rock
14. It’s Crowded feat. Claudia Deheza
15. Just The Thought feat. Masta Killa + Gza
16. La Correccion Exchange feat. D.J. Nobody
17. Hydeyaface Reprise (Reminder Version)
18. Morale Crusher feat. Beans
19. Minutes Away Without You
20. Rain Edit Interlude
21. And I’m Gone feat. Prefuse Versus Piano Overlord Versus Broadcast Versus Cafe Tacuba
22. Travel Journal

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「ウッ、アーアア、アーアァー♪」は永久に不滅です:Kasabian/Kasabian【CD千本ノック 0029本目】


カサビアンは英国のロックバンドで、オアシスの弟分的存在だった。ロックバンドとは言ったものの、結構エレクトロニック・サウンドを取り入れており、曲によっては全くバンドの演奏がないこともあったように思う。

この『カサビアン』は、2004年にリリースされたセルフタイトルのファースト・アルバム。リードシングルの「クラブ・フット」(ファースト・シングルだとばかり思っていたが、どうやらセカンド・シングルらしい)を聴いたときは、本当に衝撃だった。文字通り一発でノックアウトされ、アタクシはクラブ・フット病にかかってしまったのである。

イントロからのた打ち回る不穏極まりないベース音が特徴的で、一度、曲を耳にすると、誰もがきっと興奮に包まれるはずだ。印象的な「ウッ、アーアア、アーアァー♪」という声も含めて、中毒性が高く、何度も何度も繰り返し聴いてしまうだろう。実際にアタクシのiTunes上でも、このアルバムの他の曲と比べても、再生回数は2~3倍多い。

デビューから10年以上経っている今でも、カサビアンとというと真っ先に「クラブ・フット」をイメージしてしまう。将来、これを超えるような曲が発表されるかもしれないが、「クラブ・フット」の輝きが衰えることはないと思っている。

Kasabian/Kasabian(2004)
1. Club Foot
2. Processed Beats
3. Reason Is Treason
4. I.D.
5. Orange
6. L.S.F. (Lost Souls Forever)
7. Running Battle
8. Test Transmission
9. Pinch Roller
10. Cutt Off
11. Butcher Blues
12. Ovary Stripe
13. U Boat
14. Club Foot (Jagz Kooner Vocal Mix)
15. Sand Clit

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ニール・ヤングを結婚披露宴の入場曲にしたのは正解だと思っている:Live At The Fillmore East/Neil Young & Crazy Horse【CD千本ノック 0028本目】


ニール・ヤングのアーカイブ集第一弾。CDの発売は2006年だが、音自体は1970年代のものである。何十年も経っていて音が古びていないのは本当にスゴイ。ニール・ヤングって、人を超えて、もう妖怪のような感じがする。それくらい、今聴いていても十分通用するロックなのである。

それと、このアルバムがアタクシにとってよく印象に残っているのは、「カモン・ベイビー・レッツ・ゴー・ダウンタウン」を結婚披露宴の新郎入場の時のBGMにしたこと。当時、ある意味ピンときて、この曲をセレクションしたのである。

結婚式自体は家族だけでこじんまりと出雲大社で行ったのだが、披露宴は当時の職場の人たちなどを多数招いて、東京會舘で行った。せっかく改めて披露宴をするのだから、流す音楽は自分で全部選ぼうと思い、iTunesをひっくり返してあれこれ選曲し、新郎入場にはニール・ヤングに決めたのだ(ちなみに、新婦入場は本人の希望でオアシスの「レイラ」になった)。

正直、割と気軽な気持ちでこの曲を選んだのだが、招待した同僚からは「ニール・ヤングを結婚式に使うなんて珍しい。変わっている」と言われた。そんなに披露宴や二次会に出席している方ではないので、その評価が正しいのかどうかはよくわからないままだ。

ただ、自分としては実にヨイ曲で結婚披露宴に入場できたと感じている。一応主役であるアタクシも変な緊張をしなくてすんで、グッドな選曲だった。そんな意味でも、ニール・ヤングって実はとっても優しい曲を奏でているた人だと思っている。どうもありがとう。これからも、よろしく。

Live At The Fillmore East/Neil Young & Crazy Horse(2006)
1. Everybody Knows This Is Nowhere
2. Winterlong
3. Down By The River
4. Wonderin’
5. Come On Baby Let’s Go Downtown
6. Cowgirl In The Sand

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ボーカルの声なき、ギタリスト2人の尽きない熱情:9 Dead Alive/Rodrigo Y Gabriela【CD千本ノック 0027本目】


ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ (Rodrigo y Gabriela) は、メキシコ出身のアコースティック・ギターデュオだ。もし動画なども見てもらえれば、男女の二人組だということがわかる。

基本的にボーカルなどはなく、インストゥルメンタルではあるが、非常にリズミカルでもあるし、速弾きを駆使しており、あまりボーカルや声がないということは気にならないと思う。

この2人組に出会ったのは、ロッキングオンの記事だったと思う。雑誌なので、もちろん音は聴けなかったのだが、やたらとテンションが高そうなので、とても気になった。実際に音を聴いてみても、先ほど言った通りボーカルなど人の声はないのだが、ハイテンションとハイスピードで聴く者を圧倒するギタープレイだった。

もちろん、こうした圧が髙く、スピーディイーな音楽、ギター音が苦手な人もいるのだろ。それでも、アタクシ自身はとても気に入っているし、聴くたびにワクワクしてしまう。

ある種の南米っぽさを感じながらも、インストゥルメンタル・ギターの可能性も感じさせてくれる部分も、うれしい限りだ。人の声は聴きたくないけど、楽器の盛り上がりに熱狂したいという人には最適なのかもしれない。

9 Dead Alive/Rodrigo Y Gabriela(2014)
1. The Soundmaker
2. Torito
3. Sunday Neurosis
4. Misty Moses
5. Somnium
6. Fram
7. Megalopolis
8. The Russian Messenger
9. La Salle Des Pas Perdus
10. The Soundmaker [Live]

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スター誕生前夜、等身大のホイットニー:Whitney Houston/Whitney Houston【CD千本ノック 0026本目】


ホイットニー・ヒューストンというと、映画『ボディーガード』の「I Will Always Love You(オールウェイズ・ラヴ・ユー)」を、真っ先に思い浮かべる人が多いかもしれない。「アンダーーーイ♪」である。

ただ、アタクシにとってホイットニー・ヒューストンというと、ファースト・アルバムである『そよ風の贈り物』(原題:Whitney Houston)なのだ。このアルバム・リリース後すぐに爆発的に売れて、一躍トップスターに駆け上がったのだが、自分としては売れる前からその良さに気づいていたとの自負もあり、印象深く、ずっと忘れることができない作品である。

特に好きだったのは「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」や「セイヴィング・オール・マイ・ラヴ・フォー・ユー」(日本語題:すべてをあなたに)など。曲の美しさやホイットニーの歌声の素晴らしさはもちろんのこと、何だか自分が大人になった気分になれたのが、今思うと大きかったのかもしれない。

リリースから30年以上経った今、このアルバムを聴くと、音楽自体は流石に少々古臭い感じもあるだろう。それでも、ホイットニー・ヒューストンがまだスターになる前、等身大の姿を見せてくれている気がして、歌声を聴くだけで自然と心洗われてしまうのである。卒業アルバムなどで、あの人の若かりしころを振り返るのと似ているかもしれない。

Whitney Houston/Whitney Houston(1985)
1. How Will I Know
2. All At Once
3. Take Good Care Of My Heart
4. Greatest Love Of All
5. Hold Me
6. You Give Good Love
7. Thinking About You
8. Someone For Me
9. Saving All My Love For You
10. Nobody Loves Me Like You Do

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