立ち尽くす、すべてのものが終わる:The Doors/The Doors【CD千本ノック 0051本目】


「ロック好きなら、ドアーズくらい聴いておかなきゃ」くらいの気持ちで、『ハートに火をつけて(The Doors)』を購入した。ただアタクシは、バンド・サウンドのオルガンやらキーボードやらがやや苦手。そんなこともあり、キーボードが目立つ彼らのファースト・アルバムは、好んで聴く感じではなかった。

しかし、映画『地獄の黙示録』で「ジ・エンド」が流れているのを聴いて、「スゴイ曲が入っていたんだー」とすっかり認識を新たにした。こんな名曲にちゃんと気づいていなかったなんて、恥ずかしい限りである。

さらに恥の上塗りだが、今回ライナーノーツを読んだり、あれこれ調べていて、「ジ・エンド」の歌詞に深い意味があるのを知った。冒頭の「This is the end」というフレーズは、何より強く印象に残っていたのだが、後半で父親を殺したいと語り、母親を求めるくだりがあったのだ。この曲が「エディプス・コンプレックス」をテーマにしていたと、全然知らないままで聴いていたのである。

アタクシのつたない英語力ではあるが、ボーカルのジム・モリソンが書いた「ジ・エンド」の詩を読むと、人間の奥底にある欲望と、それを追い求めることで「終焉」に直面してしまう様子が、叙情的に描かれていた。発表当時も、物議を醸したようだが、本当に衝撃的な歌なのである。アタクシが言うのもナニだが、もしこのアルバムや「ジ・エンド」を聴くことがあったら、併せて歌詞も堪能してほしいと思う。

The Doors/The Doors(1967)
1. Break On Through (To The Other Side)
2. Soul Kitchen
3. The Crystal Ship
4. Twentieth Century Fox
5. Alabama Song (Whisky Bar)
6. Light My Fire
7. Back Door Man
8. I Looked At You
9. End Of The Night
10. Take It As It Comes
11. The End

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EDM王子による最新鋭「フィーリング・グッド」:Stories/Avicii【CD千本ノック 0050本目】


学生の頃からロッキング・オンを読んでいて、今でも買い続けている。ただ、読むのは数年遅れとかもあって、トレンドとは関係なく、やや文献化している状態だ。

アヴィーチーを知ったのは、そんなロッキング・オンの記事から。EDMの王子様的な扱いで、「そんなにスゴイのか~」と興味を持った。だが、既にDJは引退すると話していたと思うので、完全に周回遅れである。

早速何枚かCDを入手して聴いたが、「これは王子様かしら~」というのが第一印象。エッジも効いているいるし、キャッチーさはあるのでヨイとは思うものの、すごく体がうずくとか、長く記憶に残るという感じではない。少なくともアタクシ的には、突き抜けた感覚は体験できなかった。

ではどうして、こうしてエントリーを書いているかというと、この『ストーリー』(日本独自のCDのみではあるが)に「フィーリング・グッド」が収録されているから。アタクシ、この曲をニーナ・シモンのカバーでちゃんと知ったのだが、アヴィーチー版は最新カバーということもあってか、刺激的で聴きごたえがある。

どうやらボルボの広告キャンペーン用に作られた曲のようだが、伸びやかに広がる感じは、ニーナ・シモンの歌いっぷりとは別の魅力がある。アヴィーチーの再解釈は成功ではないだろうか。

ちなみに、オリジナルはギルバート・プライスという人らしい。ネットで検索して書いているだけだけです。ごめんなさい。

Stories/Avicii(2015)
1. Waiting For Love
2. Talk To Myself
3. Touch Me
4. Ten More Days
5. For A Better Day
6. Broken Arrows
7. True Believer
8. City Lights
9. Pure Grinding
10. Sunset Jesus
11. Can’t Catch Me
12. Somewhere In Stockholm
13. Trouble
14. Gonna Love Ya
15. The Days
16. The Nights
17. Levels (Radio Edit)
18. I Could Be The One (Nicktim Radio Edit)
19. Silhouettes (Radio Edit)
20. X You (Radio Edit)
21. Feeling Good

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「ただの1秒が 永遠より永くなる 魔法みたい」:Documentary/秦基博【CD千本ノック 0049本目】


もう「アイ」を聴きたくて買ったアルバムである。アタクシ的には、あまり一曲だけのためにCDを購入することはないのであるが、そうした意味ではやや例外的な一枚になるだろう。

ただ、それくらいこの曲はグッとくるし、秦さんの歌いっぷりも魂こもっているのだ。インターネットで検索していたら、素敵な動画も出てきたので共有したい。

曲の中では、下記のように歌われる。
「目に見えないから 愛なんて信じない/そうやって自分を ごまかしてきたんだよ」
「遠く遠くただ 埋もれていた/でも 今 あなたに出会ってしまった」
「その手にふれて 心にふれて/ただの1秒が 永遠より永くなる 魔法みたい」

こうした歌詞が、少なくともアタクシには身に染みる。そして、恋愛の達人でもないし、愛の伝導士でもないのだが、この「ただの1秒が 永遠より永くなる 魔法みたい」という歌詞が、特別なフレーズだと思う。

感情や人の気持ちによって、時間的感覚がねじれるような感覚を端的に語っている。こんな言葉に、やたらと感情移入してしまうアタクシは、ナイーブすぎだと言われてしまうのだろうか。

Documentary/秦基博(2010)
1. ドキュメンタリー
2. アイ
3. SEA
4. oppo
5. 猿みたいにキスをする
6. Halation
7. 透明だった世界
8. 今日もきっと
9. パレードパレード
10. 朝が来る前に
11. Selva
12. アゼリアと放課後
13. メトロ・フィルム (Album ver.)

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映画『恋する惑星』で「夢中人」に恋をする:樂樂精選/王菲【CD千本ノック 0048本目】


フェイ・ウォン(王菲)を知ったのは、映画『恋する惑星』。女優として出会ったのだが、劇中で使われた「夢中人」の伸びやかな歌声に魅了され、アタクシとしてはシンガーとしての方が評価が高い。

どうしても「夢中人」を聴きたくて、そして、フェイ・ウォンの歌声を堪能しようと、当時アルバムをあれこれ探して、この『樂樂精選』にたどり着いた。逆から言うと、サントラ以外で「夢中人」を収録していたのは、このCDだけだったと思う。今なら音楽配信で自由に取捨選択できるだろうから不便ではあった(それはそれで面白い体験ではあるのだが…)。

今回、改めてCDとして『樂樂精選』を探してみると、現在は入手できないようだ。AmazonではCDとしても出てこないし、Wikipediaではオリジナル・アルバムにもなっていない。

アルバムの内容については、中国語が中心で、ちょっと演歌っぽい曲調のものもあり、洗練された一枚とは言えないだろう。それでも、やはりフェイ・ウォンの声は美しく、軽やかで気持ちヨイ。もちろん「夢中人」では、アタクシ的にグッと盛り上がる。

この「夢中人」、フェイ・ウォンの曲だとばかり思っていたが、原曲があることを知った。クランベリーズ(The Cranberries)の「ドリームス(Dreams)」だそう。「夢中人」好きとしては、原曲もチェックしなくちゃいけないなあ。

樂樂精選/王菲(1996)
1. 曖昧
2. Di-Dar
3. 夢中人
4. 討好自己
5. Summer Of Love
6. 夢遊
7. 愛與痛的邊縁
8. 天與地
9. 如風
10. 知己知彼
11. 浪漫風暴
12. 執迷不悔(Mandarin Ver.)
13. 背影
14. 紅粉菲菲
15. 一人分飾兩月
16. 回憶是紅色天空


ゆる名曲「行け行けじゅんちゃん」を擁する哲学ファンク・アルバム:続いてゆくのかな/Flying Kids【CD千本ノック 0047本目】


通称「イカ天」、『平成名物TV・三宅裕司のいかすバンド天国』で初代グランドキングになってデビューしたファンク・バンド、フライング・キッズ。そのファースト・アルバムが『続いてゆくのかな』である。

イカ天はチョコチョコ見る程度だったが、フライング・キッズは結構すぐに好きになり、このデビューCDから購入したし、1998年に解散するちょっと前くらいまではフォローしていた(ちなみに、2007年に再結成して現在も活動中)。

なので、彼らのCDは4~5枚くらい持っていたと思う。ただ今手元に残っているのは、残念ながらこの『続いてゆくのかな』だけである。一度、CDを大量に断捨離したことがあって、その際に多分中古CD屋さんに売ってしまったのだ。

しかし、この一枚だけは絶対に手放せなかった。もう圧倒的にお気に入りのCDだったからだ。ボーカルの浜崎貴司が荒々しく、そして生き生きとしているし、コーラスの浜谷淳子との掛け合いが絶妙で、本当に気持ちのヨイアルバムなのである。

それぞれの曲を見ても、「みんなあれについて考えてる」という意味深なフレーズが飛び出す「あれの歌」、「続いてゆくのかな 行け行け」「続いてゆくのかな やだやだ」と、とぼけたように繰り返す「行け行けじゅんちゃん」、エモーショナルで劇的な哲学ファンク「我思うゆえに我あり」、慈愛に満ちたデビューシングル「幸せであるように」など、硬軟取り混ぜた名曲ぞろいだ。

再結成後のアルバムや曲など、フライング・キッズのすべての音源に触れているわけではないが、アタクシ的には彼らの最高傑作だと思っている。何よりCD全体を通してバンド・メンバーの勢いやグルーブ感が、過剰なほどにあふれている点でも特別なアルバム。決して忘れることのできない一枚なのである。

続いてゆくのかな/Flying Kids(1990)
1. あれの歌
2. キャンプファイヤー
3. 行け行けじゅんちゃん
4. ちゅるちゅるベイビー
5. ぼくはぼくを信じて~満ち足りた男
6. 我思うゆえに我あり
7. 幸せであるように
8. きのうの世界
9. 君が昔愛した人
10. おやすみなさい
11. あれの歌(再び)

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底抜けのポップさを武器にメガセールスを記録した名盤:Dookie/Green Day【CD千本ノック 0046本目】


みんな大好きグリーン・デイ。このパンク・ロックバンドが、1994年に出した通算3作目で、メジャー・デビュー・アルバムが『ドゥーキー』である。2011年時点で1500万枚以上売り上げているようで、まさにメガヒット・アルバムだ。

発売当時、シングル・カットされた「ロングビュー」「ウェルカム・トゥ・ザ・パラダイス」「バスケット・ケース」「シー」「ホエン・アイ・カム・アラウンド」などが、あちらこちらで流れてきて、望むと望まざるとにかかわらず何度も耳にしていた。人気もすごく、誰もが高く評価していた記憶がある。

曲自体をたくさん聴く機会があったものの、アタクシはこのアルバムが好きになれなかった。そのころ、よく音楽について話していた友人から「グリーン・デイ、どう?」と聞かれると、「何か好きになれないんだよね」と答えていた。なので、自分ではCDを買わないままだった。

「何か」と言っていたくらいなので、それほど明確な理由はなかったのだが、グリーン・デイの特徴であり、良さであるポップさや明るさが、根暗な自分にはフィットしなかったのかもしれない。「暗いロックの方がエライ」みたいな気持ちもあったのだろう。

しかしながら、次作の『インソムニアック』が出たことで、彼らの見方が変わった。『ドゥーキー』と比べてやや落ち着いた感じがあって、これなら聴いてみようと思ったのだ。そうしてグリーン・デーをちゃんと聴いてみると、「何だ凄いヨイじゃん」となった。そんなこともあり、『ドゥーキー』は後戻りする形で聴いて、今は大好きで、繰り返し聴くCDになっている。

ただ、アタクシの性格の暗さは変わらないため、「ちょっと『ドゥーキー』は明るすぎるから、ほかのアルバムを聴こう」と思うこともなくはない。それでも、彼らの底抜けのポップさはやはり一番の武器だと思うし、その良さが曲にきちんと具現化されたからこそ、ビッグ・セールスを記録できたのだと思う。

Dookie/Green Day(1994)
1. Burnout
2. Having A Blast
3. Chump
4. Long View
5. Welcome To Paradise
6. Pulling Teeth
7. Basket Case
8. She
9. Sassafras Roots
10. When I Come Around
11. Coming Clean
12. Emenius Sleepus
13. In The End
14. F.O.D.

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あなたは「信頼」がわかる大人ですか?:Faith/George Michael【CD千本ノック 0045本目】


ポップデュオ「ワム!」を解散したジョージ・マイケルが、ソロシンガーとして1987年に発表したのがこの『フェイス』だ。それまでワム!として、メロウな曲もあったが、基本的にはポップなイメージだったので、ソロになってかなりの様変わりに、えらく面食らってしまった。アタクシが、まだまだ幼かったこともあるだろう。

今まで優しくしてくれていた爽やかな歌のお兄さんが、ある夜セクシー美女とデートを楽しんでいて、偶然それを見かけてしまったような感じだった。曲や音楽性のどうこうよりも、リード・シングルの「アイ・ウォント・ユア・セックス」のように、過激なタイトルなんかにドギマギしてしまったのである。

子どもにとっては“お兄さんの変容”に思え、やや引いてしまったのたが、セールス的にはアメリカだけでも1000万枚以上、全世界では2500万枚以上を売り上げたようだ。シングル曲の「フェイス」「モンキー」など、4曲以上全米ナンバー1を獲得したりと、商業的に大成功したスーパーアルバムである。

ジョージ・マイケルとしては、ワム!では実現できなかった、自分のやりたい音楽を素直につくった結果らしい。歌われる内容とともに、音楽的にこれまでのポップス路線からR&B寄りに大きくサウンドが変わった。

今にして思えば、そうした音楽性の変化も、アタクシがなかなか受け入れづらかった理由にあるだろう。発売当時から少し時間が経って自分も大人に成長するにつれて、彼のソロ作品の素晴らしさ感じられるようになった。そうした意味では、大人か子どもかを見分けるリトマス試験紙的なアルバムなのかもしれない。

Faith/George Michael(1987)
1. Faith
2. Father Figure
3. I Want Your Sex (Parts 1&2)
4. One More Try
5. Hard Day
6. Hand To Mouth
7. Look At Your Hands
8. Monkey
9. Kissing A Fool
10. Hard Day (Shep Pettibone Remix)
11. A Last Request (I Want Your Sex Part 3)

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真っ赤な髪の毛と聖書の言葉:Heaven’s Kitchen/Bonnie Pink【CD千本ノック 0044本目】


リード・シングル曲の「ヘブンズ・キッチン」を聴いて、ボニー・ピンクを知った。当時、彼女の髪の毛は真っ赤で、ビジュアル的にもかなりインパクトはあったが、アタクシとしては音楽そのもののパワーを強く感じて、アルバムを手に入れる。

アルバム全曲を聴いても、やはり「ヘブンズ・キッチン」という曲は図抜けた存在だと思う。どうやら、ボニー・ピンクが初めてつくった曲のようだが、ロック・サウンドとしても、力が入りすぎておらず、バランス感が絶妙で気持ちヨイ(この辺りは、カーディガンズの仕事で有名なプロデューサー、トーレ・ヨハンソンの功績かもしれない)。

そして、あまり誰も言及しない部分だが、「ヘブンズ・キッチン」冒頭の「名前があって/そこに愛があって」という歌詞が、個人的にはとても印象的だった。「名前があって」というフレーズは、聖書の「はじめに言葉があった」という著述を意識しているように感じたのである。事の真偽はわからないが、アタクシはこの言葉使いで、ボニー・ピンクを信じてしまったのだ。

Heaven’s Kitchen/Bonnie Pink(1997)
1. Heaven’s Kitchen
2. ほほえみの糧
3. It’s gonna rain!
4. Do you crash?
5. Silence
6. Mad Afternoon
7. Lie Lie Lie
8. Melody
9. Pendulum
10. Get In My Hair
11. Farewell Alcohol River
12. No One Like You

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イド(id)とは、生まれつき持つ無意識の本能的衝動:Merkinball/Pearl Jam【CD千本ノック 0043本目】


アタクシにとっては、ニルヴァーナかパール・ジャムかというくらい好きなバンドであるが、パール・ジャムは、少なくとも日本でそれほど人気がない。非常に残念ではあるが、あまり彼らが好きという話しは聞かないのである。

個人的には、横浜で見たライブなんかも思い出されるし、アルバムでは『Ten』や『Vs.』だけでなく、『バイタロジー 』や『ノー・コード』なども興奮して聴いたが、彼らのファンというとかなりレアになるだろう。

そんな中で、アタクシが紹介したいのはシングルCDである『マーキングボール』。ニール・ヤング御大とアルバム『ミラーボール』を作り上げる中で、同時に録音された曲のようだ。パール・ジャムのオリジナル・アルバムなどに収録されていないため、忘れられた曲とも言えるのだが、アタクシはずっと記憶に残り、心に引っかかっている。

「アイ・ゴット・イド」も「ザ・ロング・ロード」も、音自体に派手さはなく、穏やかで、静かな曲ではあるが、彼らのアイデンティティーを示すような、何とも奥行きを持った曲だ。対訳の歌詞を読んでも、明晰にメッセージがわかるわけではない。それでも、その荘厳なサウンドとともに聴くと、人間の存在論に深く根ざした曲のように感じられる。

アタクシ自身、何かはっきりしない不安を感じているようなときに聴くことが多かった。もしかすると、自己の存在に悩んでしまうような人にとって、この2曲は癒しになったり、ある意味福音のようなものなのかもしれない。

Merkinball/Pearl Jam(1995)
1. I Got Id
2. The Long Road

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美しい横顔からもれる色鮮やかなジャージー・ボイス:Songs Of Colored Love/Winterplay【CD千本ノック 0042本目】


ウィンタープレイというか、この『ソングス・オブ・カラード・ラヴ』というアルバムを知ったのは、土曜日の朝7時半から始まる『サワコの朝』というTVのトーク番組を見ていたから。決まって見る番組でもなく、その前にアニメ番組があって、子どもが見ていたTVをたまたま消さずにつけていて…という全くの偶然だ。

そのときのゲストが坂上みきさんで、心に響く曲として「クァンド、クァンド、クァンド」が紹介された。緩やかだけどリズミカル、どこか旅先で美しい風景を眺めているような気分になった。それでも、その時はヨイ曲だなと感じておしまいだったのだけど、カラフルなジャケット写真も印象に残っていて、後からネットで検索して、何とかアーティスト名やアルバム名を調べてCDを購入したのである。

Quando, Quando, Quando/Winterplay

アルバムを通して聴いて、ハングルで歌われる曲もあり、韓国発のジャジー・ポップ・ユニットだと知った。ただ、1曲目の「ソングス・オブ・カラード・ラヴ」はEGO-WRAPPIN’の「色彩のブルース」を英語でカバーしたものだったり、6曲目の「ムーン・オーヴァー・バーボン・ストリート」もスティングのカバーで、特定の国やジャンルに縛られず、ある意味無国籍的な音楽と言える。

ユニットとしては、やはり女性ボーカル、ヘウォンの歌声が一番の特徴だろう。少し抜けたような軽さがある一方で、きちんと艶っぽさもあって、何とも聴いていて心地よい。ずっと聴き続けていられるので、夜ワインを片手に彼女の声を独り占めしてもヨイし、休日の昼下がりなど、日の当たるカフェでのんびりと聴いてもヨイのではないか。

少し調べていたら、彼女は既にウィンタープレイを脱退しており、偶然にも今このタイミングでソロシンガーとして、『Kiss Me』という新たなアルバムをリリースしたばかりであることがわかった。今の自分として、改めて「クァンド、クァンド、クァンド」も歌い直しているようで、こちらも聴いてみたいと思う。

Songs of Colored Love/Winterplay(2010)
1. Songs Of Colored Love
2. Hot Sauce
3. Melon Man
4. Serivora
5. Quando, Quando, Quando
6. Moon Over Bourbon Street
7. Who Are You?
8. Happy Bubble
9. Cannot Forget
10. I Need To Be In Love
11. Hey Bob
12. You’re In My Heart
13. Men Are No Good

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