<意味>
競争やレベルアップといったゲームならではの要素を、ビジネスやITサービス、情報システムに適用すること。利用者が使用する頻度を高めたり、マニュアルを見なくても操作できるようにするのが狙いだ。ゲーム性によってユーザーの興味関心を引き、継続的な利用や生産性向上を促す。
ゲーミフィケーションの概念自体は古くからあるものだが、米国で2010年に注目を集め始め、日本では2011年後半ころから一気に広がりを見せた。新たなキーワードとして、拡大した背景に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やライフログの普及がある。
<事例>
代表的なゲーミフィケーションの事例として、よく挙げられるのが「foursquare(フォースクエア)」と「Nike+(ナイキプラス)」である。
「foursquare」は位置情報の投稿を軸に、人とのコミュニケーションを図るSNS。利用者はスマートフォンのGPS機能を使って、自分が訪れた場所で「チェックイン」を行う。そのチェックインごとにポイントがたまり、同じ施設でのポイントが高まると「メイヤー(市長)」という称号を得られる。
利用者に具体的なメリットがあるわけではないが、ポイントや称号といった要素で、サービス利用を促進させている。
もう1つの「Nike+」は、ランニングの愛好家向けに提供されているサービスで、携帯音楽プレイヤーなどを使い、ユーザーの走行距離や時間、経路を記録するというもの。もともとは、ランニングに対する個人のモチベーションアップや記録用という意味合いが強かった。
ただ今では、「走る」という行為を通じて、国を問わず他の参加者とチームを組んだり、競い合ったりできるようになった。FacebookなどSNSと連携することで、ランナーの投稿に合わせ、Facebook上の友達から声援をもらうなど、様々なサービスや機能も提供されている。
<課題>
最近では、自社サイトやプロモーションにゲーミフィケーションを採用するケースも増えた。しかしながら、ユーザーの行動に対してポイントをつけるだけといった、安易な導入、運用で失敗するケースも少なくない。口コミサイトで投稿がポイント目的になり、クオリティが低下し、サービス自体の品質を担保できなくなるといった例だ。
このように、本来のビジネス、サービスとゲーム性とのバランスが難しい。また、ユーザーもしばらくは使うが、段々と飽きやすくなるというように、中長期的に利用し続けてもらうことは簡単ではない。そのため、単純にゲーム的要素のあるサービスを投入するだけでなく、運用開始後に利用状況を検証し、チューニングを施す、新しい機能を追加するなど、PDCAを継続的に実施していくことが欠かせないだろう。