<意味>
サブスクリプションコマースは、毎月一定の金額を支払うと、特定の商品が定期的に届くサービス。端的な表現で言えば、定期購入のことである。昨今、アメリカで注目を集めていることもあり、日本でも脚光を浴びるようになってきた。
考え方自体は決して新しいものではなく、通信販売でよく実施されてきた「頒布会」も同様の手法だ。そのほか水やサプリメントの宅配や雑誌の定期購読なども、サブスクリプションコマースの1つと言え、以前から頻繁に行われてきた販売方法である。
<解説>
こうした手法が改めて見直されている背景に、市場に商品があふれている状況がある。消費者にとって商品の選択肢は膨大になっており、商品情報を収集、整理するだけで多大な労力を伴う。特に多忙を極めるビジネスパーソンなどにとっては、商品を買うための作業が負担になり、消費行動が鈍化する要因になっている。
サブスクリプションコマースであれば、消費者自身がいちいち商品を選択する必要はなく、買い物に出かける手間もかからない。半ば自動的に自分のほしいものが手に入る。提供コストを抑えやすいこともあり、商品に対して値ごろ感、割安感を感じる場合も少なくない。
提供する事業者にとっても、メリットがある。「顧客を長期的に囲い込み、安定的な売上が見込める」、「商品の販売数も予測が立ちやすく、在庫リスクが軽減される」、「一回の購入ごとに対応するわけではないため、オペレーションコストを抑制できる」などが挙げられる。
<課題>
最近のサブスクリプションコマースでは、先述した水の宅配のように同じ商品を定期的に届けるというよりも、事業者があるカテゴリーの中で、その都度送る商品を選ぶ例が多い。そのため消費者における定期購入の付加価値は、便利、手ごろだけでなく、どれだけ気の効いたセレクトをしてもらえるかに重点が移ってきている。つまり、提供者側に商品を“目利き”する能力が問われているのだ。
こういった点を踏まえると、提供者は商品に対する専門性を持っていることはもちろん、社会のトレンドや顧客の好みなど、多面的に商品を企画する必要が出てくる。商品を受け取ったときや使ってみたときの印象、実感が重視されるため、ユーザーの生活シーンを考慮し、どのような体験を演出できるかのという、顧客目線での商品企画が欠かせなくなるだろう。