【気になるマーケティング用語】Fコマース


<意味>
Fコマースとは、Facebook上で行われるEC(電子商取引)のこと。Facebookページやニュースフィード、決済機能をはじめ、「いいね!ボタン」といったソーシャルプラグイン(追加機能)などをプラットフォームとして使う。Facebookを活用した販売促進の活動を含めて、Fコマースと呼ぶことも多い。

「ソーシャルコマース」という言葉もある。ECや販促にソーシャルメディアを利用することを言い、その中でFacebookに限定して用いられるのがFコマースである。

<解説>
オンラインで買い物をするECサイトは、既に多く存在している。では、なぜFコマースが登場し、期待が寄せられているのか。サービスを提供する企業が、ソーシャルグラフ(利用者同士の交友関係情報)を利用したプロモーションなど、Facebookならではの口コミや伝播力に魅力を感じているからだ。

Facebookは、友達関係を軸とした人と人とのつながりで形成されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。Facebook上で店舗を運営していれば、商品に対する購入意欲の有無にかかわらず、人的関係性に基づいて人が集まりやすい環境にある。

ECサイトに訪れて、商品を購入するユーザーにとって重要なのは、品揃えの豊富さ、納品までのスピード、商品や送料の金額など、購入するための具体的なサービスや機能。それは商品購入へのモチベーションを十分に持っているためである。

しかし、「潜在顧客」のような購入意欲が顕在化していない顧客候補になると、購入検討はおろか、ECサイトへの来訪すら覚束ないのが実情だろう。Fコマースであれば、こうした層へアプローチでき、これまで開拓できなかった新規顧客の獲得や、効率的な集客を実現できる可能性がある。

<課題>
Fコマースの持つ潜在力に将来性を感じる企業がいる一方で、懐疑的に捉える企業もある。「Facebookなどソーシャルメディアはあくまで会話の場。モノを売る場ではないのだから、いくら多数の人がいても商品は買ってもらえない」。こうした意見が、Fコマースに疑問を持つ企業の代表的な見解ではないだろうか。

事実、Fコマースで成功した事例を聞く機会は少なく、市場全体としても活況を呈しているとは言えない状態。そうした意味では、Fコマースで新たな顧客を獲得し、マーケットを切り拓くのは決して容易ではない。

Facebook上に店舗を置きさえすれば、従来コミュニケーションできなかった顧客層が現れ、売上にも貢献すると考えるのは早計である。メリットとデメリットを十分に踏まえたうえで、Fコマースへどのように進出すべきか、あるいは進出しないのか、冷静な戦略が求められている。