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第1週第6日(土)
6 哲学
現象と実在
哲学の歴史を通じて、現象と実在の違いは、常に大きなテーマの1つとして論じられてきた。この違いを、最初期の哲学者たちは思想の中心に据えていた。彼らは、古代ギリシアの哲学者ソクラテス(紀元前470年~紀元前399年)より前の時代に生きていたことから、「ソクラテス以前の哲学者」と呼ばれている。
ソクラテス以前の哲学者たちは、実在するものの根本的な本質は、通常目にしている姿、つまり現象と大きく異なっていると考えていた。
例えば哲学者タレスは、万物の根源は水だと唱えた。ヘラクレイトスは、世界は火からできているし、万物は常に流転すると説いた。他にも思想家パルメニデスは、何物も実際には運動しておらず、運動と見えるものはすべて幻想にすぎないと主張した。
ソクラテス以前の哲学者たちは、普段の無批判的な観察からは誤った世界像しか得られないと疑っていた。そして、実在するものすべてが、もっと根源的な実体でできている可能性を探った。
こうした彼らの思索は、哲学のみならず現代科学の先駆けでもあったと言える。プラトン、スピノザ、ライプニッツなど、後の多くの哲学者たちも、こうした思想の系譜に連なっている。
【アタクシ的ポイント】
実在の探求。それが哲学の始まりであり、もしかすると大いなる勘違いの始まりであったのかもしれない。