鳴るべき場所を選ぶ音楽なのだろうか:Pink Moon/Nick Drake(1972)【CD千本ノック 0114本目】


アタクシが敬愛するニック・ドレイクの3枚目にして最後のオリジナル・アルバム。『ピンク・ムーン』は、30分足らずの11曲で構成されている。録音当時の彼は、精神科医にかかっている状態で、心はもちろん体調もよくない状況だったようだ。

サウンドは、ギターとわずかなピアノ、そして彼の声だけで成り立っているにもかかわらず、とても奥行きのあるものになっているように思う。音楽を聴いているだけでは、彼の置かれたシンドイ事態に気づかないほどである(アタクシの耳が悪いだけなのかもしれないが…)。

収録を担当したエンジニアのジョン・ウッドは、このミニマルな音楽をデモテープと思い「どうアレンジして欲しいのか」と問うと、ニック・ドレイクは「アレンジはいらない、装飾はいらないんだ」と答えたそうだ。確かにこれまでの2作と比べても、むき出しな感覚があり、彼が奏でた音、彼が歌った声が耳元で聴こえてくる。

発表当時のニック・ドレイクが受けた商業的な低調な評価通り、再評価されリスナーが増えた現在においても、ポピュラリティの高い音楽、アルバムではないのかもしれない。それでも、アタクシにとっては、手放せない作品であり、聴き続けるアーティストである。そうした意味では、鳴るべき場所を選び、細々と聴き継がれていく音楽なのかもしれない。

Pink Moon/Nick Drake(1972)
1. Pink Moon
2. Place To Be
3. Road
4. Which Will
5. Horn
6. Things Behind The Sun
7. Know
8. Parasite
9. Free Ride
10. Harvest Breed
11. From The Morning

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半世紀近く前に奏でられた穏やかで美しき歌:Bryter Layter/Nick Drake(1970)【CD千本ノック 0112本目】


初めて聴いたときから、どこか懐かしさを感じるCDで不思議な印象だった。実際に一部の曲を、どこかで聴いていたのかもしれない。ただ、明確に聴いたと言えるのは、リマスター版を購入した2000年以降である(ただ買った時期もあいまいなので、iTunesの登録時期を見ると明言できるのは2006年以降になる)。

そんなこともあり、いつ買ったのか、どうして買ったのか、ほとんど明確でないのが正直なところ。気づいたら家にあって、ヘビーローテーションしているアルバム、アーティストというのが実態である。このように入り口は、かなりあいまいで恥ずかしいのだけれど、ニック・ドレイクはアタクシにとって偉大なスターなのだ。

今回紹介する『ブライター・レイター』は、彼のセカンド・アルバム。ケンブリッジ大学を中退して制作した作品であるが、当時のセールスは1万5000枚とほとんど売れなかったようだ。お世辞にも派手で、ポップな曲が満載というわけではない。どれも地味だと言ってしまったら、確かにその通りなのだ。

だが発売当初、どうしてそれほどリスナーに注目されなかったのかを、振り返って推し測るのは容易ではないと思う。それくらい、美しい調べ、印象深い歌が多いのである。ボーカルのない1曲目「Introduction」なんかでも、その良さは色褪せないのだ。

誰もが知っているポップなアーティストではないし、音源としても50年近く経っているが、知らなかった、聴いたことがなかったという方には、試しに聴いて欲しいものである。

Bryter Layter/Nick Drake(1970)
1. Introduction
2. Hazy Jane II
3. At The Chime Of A City Clock
4. One Of These Things First
5. Hazey Jane I
6. Bryter Layter
7. Fly
8. Poor Boy
9. Northern Sky
10. Sunday

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タイトルは手巻きタバコ用巻紙の印刷「残り5枚」に由来:Five Leaves Left/Nick Drake(1969)【CD千本ノック 0110本目】


ニック・ドレイク(Nick Drake)は、1948年6月19日生まれのイギリス人シンガーソングライター。父親の仕事の関係で、生まれ自体はビルマ(現ミャンマー)だそう。アタクシ的には自分の誕生日と同じなのが、何だかとてもうれしいのである。本当に好きなアーティストだから。

彼は、このファースト・アルバム『ファイブ・リーヴス・レフト』を含め、『ブライター・レイター(Bryter Layter)』、『ピンク・ムーン(Pink Moon)』と3枚のアルバムを残している。生前は商業的成功に恵まれず、その死後に評価が高まった。

今こうして彼の音楽を堪能している身からすると、あまり信じられないのだが、発表当時の反応は周囲や専門家を除き、ほとんど芳しいものではなかったのだ。彼が亡くなったのは26歳。抗鬱薬の過剰摂取が原因である。

アタクシが初めてニック・ドレイクを聴いたのは、恐らくリマスター版CDが出た2000年以降だったと思う。発表から30年以上の時を経て聴くと、サウンド自体に古さを感じた。それでも、穏やかな旋律、歌声はグッと心に染みわたり、掛け替えのない音楽としてアタクシの中に定着したのである。そして、不思議なくらい懐かしさも感じた。

ニック・ドレイクが再評価されたのは1980年代以降。ドリーム・アカデミーやブラック・クロウズのリッチ・ロビンソン、ポール・ウェラーといったミュージシャンたちが、ニックからの影響を公言しているようである。もし生前にちゃんと評価されていたら、彼が創り出した音楽をもっと聴けたかもしれない。遅れて来たファンとしては、彼が残した3枚の素晴らしいアルバムを聴けることに感謝しつつも、どうしても生前の評価が残念でならないのだ。

Five Leaves Left/Nick Drake(1969)
1. Time Has Told Me
2. River Man
3. Three Hours
4. Way To Blue
5. Day Is Done
6. Cello Song
7. The Thoughts Of Mary Jane
8. Man In A Shed
9. Fruit Tree
10. Saturday Sun

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