アタクシが敬愛するニック・ドレイクの3枚目にして最後のオリジナル・アルバム。『ピンク・ムーン』は、30分足らずの11曲で構成されている。録音当時の彼は、精神科医にかかっている状態で、心はもちろん体調もよくない状況だったようだ。
サウンドは、ギターとわずかなピアノ、そして彼の声だけで成り立っているにもかかわらず、とても奥行きのあるものになっているように思う。音楽を聴いているだけでは、彼の置かれたシンドイ事態に気づかないほどである(アタクシの耳が悪いだけなのかもしれないが…)。
収録を担当したエンジニアのジョン・ウッドは、このミニマルな音楽をデモテープと思い「どうアレンジして欲しいのか」と問うと、ニック・ドレイクは「アレンジはいらない、装飾はいらないんだ」と答えたそうだ。確かにこれまでの2作と比べても、むき出しな感覚があり、彼が奏でた音、彼が歌った声が耳元で聴こえてくる。
発表当時のニック・ドレイクが受けた商業的な低調な評価通り、再評価されリスナーが増えた現在においても、ポピュラリティの高い音楽、アルバムではないのかもしれない。それでも、アタクシにとっては、手放せない作品であり、聴き続けるアーティストである。そうした意味では、鳴るべき場所を選び、細々と聴き継がれていく音楽なのかもしれない。
Pink Moon/Nick Drake(1972)
1. Pink Moon
2. Place To Be
3. Road
4. Which Will
5. Horn
6. Things Behind The Sun
7. Know
8. Parasite
9. Free Ride
10. Harvest Breed
11. From The Morning
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