誰にとっても通じるもの【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0020】


【短編小説】鏡/星新一
悪魔が出てくるが、あまり存在感はなく、夫婦の悪意を受け入れるだけの存在。最格的には、悲劇的な状況になるが、それも必然的なようで、十三日の金曜日だけで説明されても納得しづらいのではないか。鏡という題名は、悪魔を呼び出す道具といるより、自身を写し出すものという意味だと思う。

【詩・俳句・短歌・歌詞】表札/石垣りん
ちょうど表札をつくらなければ、と思いっていたこともあり、ある意味でタイムリーだった。「ハタから表札をかけられてはならない」というのは、まさにその通りだと思う。それにしても、詩というよりも、独白や宣言のように聞こえた。

【論考】歴史について/森本哲郎
その人によって真理がある、ということに違和感があると言ったら言いすぎなのだろうか。歴史はさておき、真理はそれぞれと言ってしまったら、それは単なる想対主義になってしまう。文化によって大切なものが違うというのはわかるが、真理とは、誰にとってもじ通じるものでなければないたろう。


今は、二元論が成立しにくい時代【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0019】


【短編小説】デラックスな金庫/星新一本
どうして「私」は、全財産をつぎこんで、豪華きわまる大金庫をつくってたのか。すべての財産を使ってしまったら、金庫にしまう財産は無くなってしまうだろう、しかも家を手放してしまっているという。矛盾する状況。でも、最後には、大金庫の実利が明かされる。とは言え、個人的にそれほで腑に落ちたわけではなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】永訣の朝/宮沢賢治
永訣とは、永遠に別れること、死別。この詩は、妹の死について詠んだだそうだ。解説には「不思議に透明で暗くはない」と書かれている。古い言葉使い、ひらがなばかりなど、何度も目を通して、やっと少し読めた気がした。透明で、暗くないのは、筆者に深い覚語があったからではないだろうか。

【論考】豊かさについて/森本哲郎
物質と精神の対立は、この文が書かれた時代とは達って、現代においては、それほど強力なものではなくなっているだうう。それには、社会が圧倒的に便利になって、物質的に恵まれていることが背景にあると思う。そうした意味では、「2023年の豊かさ」とは何かを考え続けたい。


最大の謎は、なぜ存在し、生成するのか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0018】


【短編小説】冬の蝶/星新一
理想的な未来の世界。人の生活をテクノロジーと電気が支えるというか、完全に依存している。そのため、停電によって、人は何もできず、ただ冬の寒さに震えるのみなのだ。人はもはやサバイブする力を持っておらず、ペットだったサルだけが、力強く生き残っていくのだろう。

【詩・俳句・短歌・歌詞】君死にたまふことなかれ/与謝野晶子
原文を読んだだけでは、少し理解が浅く、現代語訳にも目を通した。弟の安全を思う気持ちが、本当に色濃く感じられる詩だと思う。その理由を、自分なりに考えてみると、「君死にたまふことなかれ」とくり返すことと、身近な家族の様子を直接的に表現しているからのように思えた。

【論考】目ざめについて/森本哲郎
「目ざめ」とは、人生の不条理に気づくこと。そもそも「私」が生ているのは、自らの意志ではなく、完全なる所与の産物である。だからこそ、自己や人間の存在を合理的に説明するのは困難であり、哲学的な問いになるのだと思う。そして、もう一つの謎は、時間とともになぜ存在者は変化、生成していくのか。


満されない精神が自己を束縛するのだろうか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0017】


【短編小説】ねらわれた星/星新一
地球と思われる星をやっつけようとする金属質のウロコを持つ生物。自己の視点で相手を困らせようとしたが、それはあさってな行動に過ぎなかった。やや堅苦しく言えば、普通性をどう見い出すのか。たとえ意地悪であっても、相手をよく知らなければ、すっとんきょうな行動で、結果は伴わないのである。

【詩・俳句・短歌・歌詞】ココアのひと匙/石川啄木
解説を読むまで、社会主義運動に関連した詩だとは思えなかった。背景情報を確認しなければ、著者の真意も全く理解できていなかっただろう。すべての詩がとまでは言わないが、やはり時代
や社会と、作品は切り離せないのだなと思った。

【論考】快楽について/森本哲郎
快楽を一義的に求めたり、自己中心的な行動が何かと憚られる昨今、改めて快楽とは何かと考えることは重要に思う。書かれていることで言うと「足るを知る」こと。自足することで、自由になれるのだという。何か欲望にとらわれてしまうと、欲求の底なし沼に、簡単に落ち込んでしまうだろう。


人間はいつも幸福を捨てている?【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0016】


【短編小説】年賀の客/星新一
生まれかわりとシンクロニシティの物語と言えるのだろか。所々で、星新ーさんにしては珍しい情緒的な表現が出てくる。それでも、何だかゴクリと飲みづらいもの(ストーリ)があるような気がしてしまった。なぜ生まれかわりが、老人の孫でなければならなかったのかが、よく理解できていないからかもしれない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】小景異情(その二)/室生犀星
少し理解が曖味だったので、あれこれ調べてみると、どんな状況で詠んだのか、著者の心情の解釈もさまざまあるようだ。その揺らぎこそ必要で、魅力であるとまで言わないが、揺らいでいるから読み手の自由が許され、そっと作品が指し出されているようにも感じる。

【論考】幸福について/森本哲郎
幸福は身近にあり、内在されているという筆者の主張にとても賛同する。個人的には、幸せな感じる機会が少ないと考えているものの、幸福は所有物や物質的な満足感ではないと思っているし、外部からもたらさせるものではないだろう。幸福を感じるのは人だから、いつも内側を見つめるしかないのだ。


「汚れつちつた悲しみ」とは【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0015】


【短編小説】悲しむべきこと/星新一
プレゼントで借金が膨らみ、強盗をするに至ったサンタクロースの話。エス氏の冷静沈着ぶりも目を見張ったが、オチの飛躍感や無我田引水の卑近さが、何だか心地よかった。タイトルの「悲しむべきこと」とは対極で、よくわからないが清々しさを感じる。

【詩・俳句・短歌・歌詞】汚れつちまつた悲しみに……/中原中也
この詩はもちろん知っている。「汚れつちまつた悲しみ」は、完全にパワーワードだと思う、ただ、「汚れちまった」ではなく、「汚れつちまつた」というのは、今回初めて気がついた。最後の行が、「なすどころもなく目は暮れる……」で終わる通り、詩の全編に前向きな言葉は全くないが、私自身はとても惹かれる。根暗がすぎるだろうか。

【論考】読書について/森本哲郎
自分にとって大切な本を見つけ、じっくりと読むべしという考にえは全くの同意。自分がやっている小説の書き写しなどは、まさにゆっくり読むことである。現なは情報が多すぎて、本の海に埋もれてしまって選べないといった件も、さとなおオープンラボで学んだことの確認になる。


魂と言うけれど、その正体は何だろか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0014】


【短編小説】生活維持省/星新一
細かな仕組は表現されていないが、国民全員の幸福を担保するため、人の生死を国が決定するようだ。しかし、幸福が人間の外部に存在するような考え方には同意できない。生きている人間にしか、幸せは感じられないはずだし、人によって幸福であることは同じではないからだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】北の海/中原中也
中原中也の時集本は持っているが、特にこの詩が記接に残っているわけではない。それでも、淡々と特に前向きでもない記述が続く、この詩の印象は、思いのほかよかったかもしれない。海にいるのは、人魚ではなく、浪ばかり。現実には、理想的な存在は乏しく、違うもので満たされている。

【論考】魂の深さについて/森本哲郎
冒頭で取り上げられるネルーはインドの初代首相だそうだ。調べて初めて知った。そして、魂、魂の深といった言葉が使われるが、魂の意味がやや曖昧なまま話が進む。そのため、真の理解には 至ないというのが本音である。魂をすごくカジュアルに定義付けすると、国の価値観、何を大切にするか、ということだろうか。


今も絶望から始めなければならない【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0013】


【短編小説】不眠症/星新一
不眠症だけに、いわいる夢オチだった。眠れない段階での話は、非常識ながらも、不思議なほどスムーズに読めた。ただ薬を使ってからの話は、何だか急ブレーキがかかってしまった。星新一さんのショートショートのカタルシスも感じられなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】いまこの庭に/三好達治
グッと踏み込んで読まないと、なかなか詩の世界に没入できないように思うものの、詩では情景描写だけで構成されているのに、個人的にはとても好感を持てた。心情を著k説吐露されるよりも、むしろ行間や情感が想像でき、文章を読んでいる快楽を実感できるたのではないだろうか。

【論考】情報について/森本哲郎
「人間は、情報的動物である」という主張に、完全に同意するものの、現在のように情報化が極限にまで進んでいる状態では、ちょっと大きすぎるテーマだと思う。改めてさとなおオープンラボに通った意義や、情報を取り扱う難しさと感じていた。「絶望から始めよう」。


社会における“正しさ”の源泉【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0012】


【短編小説】猫と鼠/星新一
相手を脅す人物は、別の人物から脅されていた。負の連鎖は、もしかすると連綿と続いていなくのだろうか。嫌な予感がする。この話は、そもそも殺人者が招いた連鎖であり、一般人からすると教訓にしづらかったり、メッセージも受け取りづらいように思う。

【詩・俳句・短歌・歌詞】冬が来た/高村光太郎
細い言葉使いに共感しづらさもあるが、冬が来たことへの高場感が、強く伝わってくる。詩の醍醐味が感じられ、理屈ではなく、感覚として好感を持てた。『智恵子抄」のイメージしかなかったが、高村光太郎さんの熱が心地ヨイ。

【論考】人生について/森本哲郎
結末はどうであれ、過程こそ人生なのだ、という主張には同意する。結果ばかり求める現在の風潮が、短絡的だという指摘もその通りだと思いう。とは言え、社会という観点で考えると、本質や正しさがいつも担保されているわけではなく、マジョリティーであることが、正しさの源泉になったりするだ。


銀色に輝く飛行物体がどこからともなく現れる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0011】


【短編小説】約束/星新一
銀色に輝く飛行物体がどこからともなく現れてしまうのにも、少し慣れてきた。無垢なる子供と悪をなす大人との対立。しかし、それは時間軸が違うだけで、子供と大人は実は同じなのである。ある意味で必然的な帰結なのである。最後のオチは、結構早めに想像できてしまった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】わたしを束ねないで/新川和江
昭和生まれで、男性と女性が明確に区別されていた時代を見ていた世代としては、筆者の気持ちが、それなりによくわかると思う。私は男性だが、男性としても、子供としても、よく束ねられていた。まだ世問というものもあって、類型的な人になることを、誰もがよしとしていたと記憶している。

【論考】理想について/森本哲郎
ハムレット、ドン・キホーテ、ファウスト、ドン・ファンが世界文学の四大主人公だという。名前は知っているものの、物語などは浮かんでこない。無知であることを突きつけられた感じだ。教養に乏しいから、論述にもなかなかついていけなかった。ゲーテは好きだから、ファウストは読もうかなと思った。地道に自分を耕すしかないのだ。