その声に宿るのは美しさではなく、人を魅了する力:Jake Bugg/Jake Bugg【CD千本ノック 0057本目】


あのノエル・ギャラガーが、「この子こそ、音楽の未来」と言ったのだそうだ(ライナーノーツによれば)。『ジェイク・バグ』は、その“音楽の未来”が最初にリリースしたセルフタイトルのアルバムである。

ノエルに認められただけでなく、世間からボブ・ディランの再来とも言われ、どこからも評判がヨイ。ただアタクシ自身は、そんな音楽シーンや周囲からの評価は知らず、CD屋で視聴して「あ、これはスゴイ新人だ」と直感的に感じ、いそいそとアルバムを購入した。

音楽を聴いてもらえればわかるが、特に凝ったサウンド・プロダクションはなく、彼のギターと声だけが鳴っているシンプルな構成だ。ジェイク・バグを知らない人に、音だけ聴かせて、70年代のフォーク・ロックだと言ったら、信じる人は少なくないだろう。

しかし、決してジェイク・バグの音楽が古臭いわけではない。ギター・ロックというお馴染みの方法論を彼が選択しているだけで、ファースト・アルバムに収められた17曲はどれも特別な存在感を放っている。

中でも声が印象的で、不思議なほど聴き手の耳にドッと飛び込んでくる。ギターと声という最小限の要素しかないサウンドだからこそ、かえって彼の声が強く響くのかもしれない。

しかも、彼の声はいわゆる美声ではないのである。ミック・ジャガーなどがそうであったように、美しさだけではなし得ない、人を魅了する何かを手に握りしめている点でも、非常にロック・シンガーらしいアーティストだと思っている。

Jake Bugg/Jake Bugg(2012)
1. Lightning Bolt
2. Two Fingers
3. Taste It
4. Seen It All
5. Simple As This
6. Country Song
7. Broken
8. Trouble Town
9. Ballad Of Mr Jones
10. Slide
11. Someone Told Me
12. Note To Self
13. Someplace
14. Fire
15. Kentucky
16. Love Me The Way You Do
17. Green Man

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