よそ者のブルースを奏でる「あのバンド」:The Band/The Band(1969)【CD千本ノック 0116本目】


ザ・バンドのセカンド・アルバム『ザ・バンド』のCDを買ったのは、確かファースト・アルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』を聴いて、気に入ったからだったと思う。このバンドなら、外れはないだろうと考えたのだ。

ライナーノーツには、ザ・バンドのファーストとセカンド・アルバムは傑作だと書かれていた。そうした意味では、効率のヨイ買い物をしたのだろうか。

彼らのサウンドは、フォーク、ブルース、カントリーといったアメリカのルーツ・ミュージックをベースにしたロックだ。そして、このアルバムは南部的なアメリカン・ミュージックの到達点とも言える内容だと思う。

ただしメンバーは、アメリカ人は1人しかおらず、残り4人はカナダ人だった。そんなこともあり、アメリカの音楽評論家グリール・マーカス(Greil Marcus)は、ザ・バンドの音楽を「よそ者のブルース」と評したそうだ。

もしかすると、そうした外部の視点からアメリカンのルーツ・ミュージックを見ていたからこそ、様々な音楽の良さを上手くまとめ上げられたのかもしれない。

アタクシ的に、一押しの一曲があるわけではないが、逆にどの曲を聴いても心地よいバイブが流れている。アルバム全体を通して、本当に気持ちがヨイのだ。ほぼ半世紀の間、聴き継がれているのは伊達ではないのだろう。

ちなみに、彼らのシンプルなバンド名は、周囲から実際に「あのバンド」と呼ばれていたことに由来するという。

The Band/The Band(1969)
1. Across The Great Divide
2. Rag Mama Rag
3. The Night They Drove Old Dixie Down
4. When You Awake
5. Up On Cripple Creek
6. Whispering Pines
7. Jemima Surrender
8. Rockin’ Chair
9. Look Out Cleveland
10. Jawbone
11. The Unfaithful Servant
12. King Harvest (Has Surely Come)
13. Get Up Jake (Outtake­Stereo Mix)
14. Rag Mama Rag (Alternate Vocal Take­Rough Mix)
15. The Night They Drove Old Dixie Down (Alternate Mix)
16. Up On Cripple Creek (Alternate Take)
17. Whispering Pines (Alternate Take)
18. Jemima Surrender (Alternate Mix)
19. King Harvest Has Surely Come (Alternate Performance)

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このアルバムを教えてもらったことだけ覚えている:Wild Wood/Paul Weller(1993)【CD千本ノック 0115本目】


音楽好きが集まると、必ずと言ってヨイほど聞くのは「一番好きなアーティストは?」「一番好きなアルバムは?」という質問である。

記憶は定かではないが、学生の頃だったか、ロックが好きな人たちが集まって飲んだことがあった。大体全員が初対面だったので、好きなアーティスト、好きなアルバムの質問大会になっていたと記憶している。

その際、隣合わせたある同年代の男性に尋ねると、好きなアーティストはポール・ウェラー、中でも(その当時)一番好きなのは『ワイルド・ウッド』という答えだった。

アタクシは、もちろんポール・ウェラーを知っていたが、それほど注目していたわけではないし、特にソロになってからの動向は全く気にしていなかった。メジャー感のあるアーティストでもなかったので、ややビックリしてしまった。

それでも後日、彼の言に従って『ワイルド・ウッド』を購入した。早速聴いてみると確かに格好ヨイではないか。やはり大ヒットしそうな感じはしないものの、ロック好きならきっと受け入れられて、楽しめるアルバムなのである。

こうした偶然の出会いではあったが、ポール・ウェラーのこの頃のアルバムは長く聴き続けている。サウンド自体が持つ若々しさのおかげで、今だとちょっと眩しい音に聴こえるかもしれない。

それにしても、音楽は不思議だ。残念ながら、このアルバムを教えてくれた彼の名前や顔は全く覚えていない。それでもCDは目の前に残っていて、いつもアタクシに何らかの感情を思い出させてくれるのだから。

Wild Wood/Paul Weller(1993)
1. Sunflower
2. Can You Heal Us (Holy Man)
3. Wild Wood
4. All The Pictures On The Wall
5. Instrumental 1
6. Has My Fire Really Gone Out?
7. Instrumental 2
8. 5th Season
9. Country
10. The Weaver
11. Moon On Your Pyjamas
12. Shadow Of The Sun
13. Holy Man (Reprise)

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バンドとしてオーラス前のアルバム:共鳴/チャットモンチー(2015)【CD千本ノック 0111本目】


2018年中に解散することを発表しているチャットモンチー。本人たちの表現に従えば、「完結」することになるらしい。そしてこの『共鳴』は、現時点で彼女たちにとって最も新しいオリジナル・アルバムになる。

なお、間もなくの解散をにらんでか、2018年3月には初のトリビュート・アルバム『CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~』がリリースされたし、2018年6月27日には『誕生』と題したラスト・アルバムの発売も予定されている。解散と言っても、湿っぽい感じとは程遠いようだ。

前作『変身』から2人編成のバンドになって、音楽性も随分と変わったと感じていたが、この『共鳴』ではさらにその変化が顕著だと思う。バンド・サウンドはすっかり後退しており、Jポップ・アルバムといった方がヨイだろう。

率直に言って、チャットモンチーのロック・サウンド、3ピースの織り成す音楽が好きだったアタクシにとっては、聴きやすいアルバムではない。気がつけば、購入時に1回聴いたきりになっていたくらいだ。

ただ、セルフ・プロデュースで制作されたアルバムだから、彼女たちにとって最も鳴らしたい音を鳴らしたと考えるべきだと思う。既存のファンも基本的に好意的に受け止めている。アタクシ個人としては最終アルバム『誕生』で、どんな音を聴かせてくれるのか期待したい。

共鳴/チャットモンチー(2015)
1. きみがその気なら
2. こころとあたま
3. ぜんぶカン
4. 隣の女
5. 毒の花
6. 私が証
7. 楽園天国
8. 最後の果実
9. 例えば、
10. いたちごっこ
11. ときめき
12. ドライブ

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