「選挙の日」という歌がポップスになるのか今でもわからない:So Red The Rose/Arcadia【CD千本ノック 0005本目】


1985年に発表されたアーケイディアの『情熱の赤い薔薇(So Red The Rose)』と言っても、「何だそれ?」という人がほとんどかもしれない。もう30年以上前のアルバムということもあるだろうが、アーケイディア名義はこれ一枚で、セールスも全英で30位、全米でも23位とそれほどヒットしたわけではないからだ。

それでも、アーケイディアのメンバーはデュラン・デュランのサイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーの3人。同時期に、やはりデュラン・デュランのジョン・テイラーとアンディ・テイラーらが、ロバート・パーマーをボーカルに立てて、パワー・ステーションという別のバンドを結成していたと言ったら、少し昔を思い出してくれる人がいるだろうか。

当時のアタクシは、ロックを聞き始めたばかりの頃で、デュラン・デュランの『リオ』や『セヴン&ザ・ラグド・タイガー』、ライブアルバムの『アリーナ』などを気に入って聴き込んでいた。

その注目しているグループから、2つのバンドが派生したのだからもちろんチェックする。まずはパワー・ステーションが売れ出した。今になって聴くと、パワー・ステーションもいい曲をプレイしていたのだが、何故かその時はあまり好きになれず、遅れてリリースされたアーケイディアのファーストシングル「エレクション・デイ」に、「これだ!」と飛びついたのだ。

アルバムが出るとすぐに買って(LPだったかもしれない)、やたらと聴いた。ちょっと玄人っぽい感じがすることもあって、その当時一番好きなアルバムは『情熱の赤い薔薇(So Red The Rose)』であった。あまりはっきりとした記憶ではないが、結構周りの友人たちにも薦めたような気がする。

そのころの自分にとっては、パワー・ステーションのようなパワフルで割とストレートなロックサウンドよりも、アーケイディアのミステリアスで、グラマラスな音楽の方が心地よかった。そうした好みがあったから、後にニルヴァーナに代表されるようなグランジにも傾倒したのかもしれない。

やはり特に好きだった曲は、リードシングルであり、アルバムの一曲目でもあった「エレクション・デイ」。ふとタイトルの意味を調べ、日本語に訳してみると「選挙の日」ではないか。まだ若かった自分にとっては、選挙の日が曲になるなんてちょっと理解の範疇を超えていたが、タイトルや歌詞の意味よりもどんな音が鳴っているかが何より大切だったのだ。

So Red The Rose/Arcadia(1985)
1. Election Day
2. Keep Me In The Dark
3. Goodbye Is Forever
4. The Flame
5. Missing
6. Rose Arcana
7. The Promise
8. El Diablo
9. Lady Ice

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