数少ない30年来の幼馴染アルバム:Hunting High And Low/a-ha【CD千本ノック 0003本目】


a-haと言ったら80年代に「テイク・オン・ミー(Take On Me)」がヒットした一発屋というイメージを持つ方がほとんどかもしれない(若い人にとっては、曲はおろか名前も知らないかもしれないけれど…)。

この曲の他にも、007の映画の主題歌になった「リビング・デイライツ(The Living Daylights)」など、何度か注目されるような時期もあったが、それほど派手な活躍をしてきたバンドとは言えないだろう。

それでも、地道にアルバムを発表したり、ライブ活動を続けてきており、2010年にいったん解散をするものの、その後、再結成、オリジナル・アルバムをリリースするなど、30年以上、音楽シーンの前線に存在し続けていることになる。

こうした長生きの秘訣は、もしかするとノルウェー出身ということにあるのではないだろうか。アメリカやイギリスのように、巨大で、世界中から注目されるシーンと、やや距離を保った場所にいたため、トレンドを必要以上に意識したり、追われたりすることなく、自分たちがよいと思える音楽を追求でき、長く音楽活動を続けてこられたのかもしれない。

さて肝心の「Hunting High and Low」というアルバムについて語ると、私自身中学生ころに手に入れてからずっと、手放すことなく手元に置いてきた。たまにではあるが思い出すとCDを再生してきた“幼馴染”のような存在だ。

長らく聴きついでこれたのは、1曲目の「テイク・オン・ミー」が懐かしかったからだろうと思われがちだが、むしろ私にとって最も愛着があった曲は、アルバム・タイトルでもある「ハンティング・ハイ・アンド・ロー(Hunting High and Low)」であった。

a-haを知るきっかけにもなった「テイク・オン・ミー」は、もちろん未だに名曲だと思っているものの、3曲目の「ハンティング・ハイ・アンド・ロー」が紡ぎ出す情緒感、落ち着き、伸びやかさは、私にとって掛け替えのないものだ。

過去を単純に遡るだけでも、30年の年月は生半可な年月ではないと感じるのは当然だろう。それでも、一曲への思いが変わらず、ずっと評価が不変であるのは、ロックを聴き続けた自分においてもかなり稀有なことなのである。

Hunting High And Low/a-ha(1985)
1.Take On Me
2.Train Of Thought
3.Hunting High And Low
4.The Blue Sky
5.Living A Boy’s Adventure Tale
6.The Sun Always Shines On T.V.
7.And You Tell Me
8.Love Is Reason
9.I Dream Myself Alive
10.Here I Stand And Face The Rain

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