【4月3日】李賀:791~817
長安に男児有り
二十にして 心已に朽ちたり
楞伽 案前に堆く
楚辞 肘後に繋かる
人生 窮拙有り
日暮 聊か酒を飲む
祇だ今 道已に塞がる
何ぞ必ずしも白首を須たん長安の一人の男。
二十にして心はすでに朽ちた。
楞伽経を机の前に積み上げ、
楚辞を手元に置く。
人生、行き詰まることがあり、
日暮れてまずは酒でもあおる。
今この時、道はもう先がない。
白髪になる時を待つこともないのだ。(「陳商に贈る」)『新編 中国名詩選』(下)川合康三訳、岩波文庫、2015年
【アタクシ的メモ】
20歳で心が朽ちるというのが、なかなか想像できなかったが、李賀本人のことを詠ったようだ。若くして天才と呼ばれ、能力も高かったが、科挙の受験を拒まれ出世の道を断たれ、失意のまま27歳で亡くなったという。