中井正一【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#045】


【2月14日】中井正一:1900.2.14~1952.5.18

一体人間は、二つの魂の誕生をもっているといえよう。世界がこんなに美しく、世の中がこんなに面白いものかと驚嘆する時がある。これが第一の誕生である。そしていつか、それとまったく反対に、人間がこんなに愚劣であったのか、また自分も、こんなに下らないものだったのかと驚嘆し、驚きはてる時がくる。これが第二の、魂の誕生なのである。しかし、この時、人々は、ほんとうの人生を知ったというべきであろう。(「美学入門」)

『中井正一評論集』長田弘編、岩波文庫、1995年

【アタクシ的メモ】
中井正一は、美学者、評論家、社会運動家だったとのこと。国立国会図書館の初代副館長でもあった。上の記述は、美醜による二元論的な人間理解だったということであろう。