ホフマンスタール【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#036】


【2月5日】ホフマンスタール:1874.2.1~1929.7.15

絵から絵へと眼を移しながら、ぼくはある何かを感じることができた。形象と形象とが交互に入りまじり、並びあい、色のうちに形象の奥にひそむ命がほとばしり、色と色とが互いにいかしあい、あるときにはひとつの色がふしぎに力強くほかの色すべてを支えているのが感じられた。そして、あらゆるもののうちに、ひとつの心、ひとつの魂、絵を描いた人間の魂、絵を描くことによって、はげしい懐疑から生じる硬直性痙攣に対してこのヴィジョンをもって答えようとした男の魂を、見てとることができた。(「帰国者の手紙」)

『チャンドス卿の手紙 他十篇』檜山哲彦訳、岩波文庫、1991年

【アタクシ的メモ】
引用は、1901年、アムステルダムでまだ無名のゴッホの絵を見ての印象を述べた件だそう。ホフマンスタールは、既にゴッホを見い出していたということなのだろうか。