その名も知らず、ダイナミックな音像に包まれる:A Memory Stream/The American Dollar【CD千本ノック 0010本目】


多分、誰も知らないバンドだと思うのだが、実はアタクシもよく知らないのである。今はなき渋谷のHMVであれこれCDを物色していたとき、視聴コーナーに並んでいたのが、アメリカン・ダラーの『ア・メモリー・ストリーム』だ。

その当時は、今よりももっと、ギターを中心としたロックロックした音楽ばかり聴いていたと思うので、アタクシ的にはちょっとストライクゾーンから外れていたのだが、視聴して気持ちよかったので購入した。

ライナーノーツによれば、アメリカン・ダラーはニューヨーク州クイーンズ出身のリチャード・クボロとジョン・エマニュエルの2人が2005年に結成したインストゥルメンタルのユニット。この『ア・メモリー・ストリーム』は3作目に当たり、2015年までに6枚のスタジオ・アルバムをリリースしているようだ。

「ようだ」という通りで、アタクシ自身がこのバンドをほとんどフォローしておらず、持っているCDも『ア・メモリー・ストリーム』のみである。個人的にはある種匿名的なバンドではあるが、メランコリックでダイナミックな音像がとても印象に残っており、時々思い出しては音源を引っ張り出してドラマチックなメロディーに浸ったり、ちょっとマニアックなロック好きの友人に薦めたりしてきた。

もちろん万人受けするような音楽だとは思わない。それでも、既存のロックやポップスに少し飽きてきてしまった人、人の声抜きで美しいアンビエンスに包まれたいという人には、一聴の価値があるのではないだろうか。

A Memory Stream/The American Dollar(2008)
1.The Slow Wait (Part One)
2.The Slow Wait (Part Two)
3.Call
4.Bump
5.Intermission
6.Lights Dim
7.Transcendence
8.Our Hearts Are Read
9.Anything You Synthesize
10.We’re Hitting Everything
11.Starscapes